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Power BIで数字の羅列を戦略に変える"伴走型レポート"を作ってみた!~データドリブンなパートナー支援の第一歩~

RPA
2025.09.29

※生成AIで作成した画像です。
 

こんにちは、安藤です。
記念すべき1本目のブログになります。

 

今回は私がPower BIを使って当社のUiPathパートナー様の実績を可視化・分析する仕組みを作ってみた!というご紹介です。

 

UiPathビジネスを展開する中で、私たちが常に直面する課題のひとつが「パートナー様の活動をどう正しく把握し、どう支援につなげるか」です。
感覚や経験だけでは、成長機会を見落としてしまうこともあります。

 

そこで構築したのが、「パートナー分析レポート」
これはデータに基づいた戦略立案を支える基盤であり、パートナー様と共に成長するための"コンパス"となる仕組みです。
実際にパートナー様にもこのレポートをご提供し、活用いただいています。

 


目次

1.はじめに
2.データ構成の全体像
3.データモデリングの工夫
4.可視化と分析の事例
5.運用面での工夫
6.今後の展望
7.まとめ


1.はじめに

このレポートは、パートナー様の売上や案件の動きをまとめて見える化する仕組みです。
従来は「売上の把握は担当者ごと」「案件情報は別のファイル」など、バラバラに管理されていて、全体像をつかむのが難しい状態でした。

この仕組みを作成した目的は3つです。

①現状を見える化する
 パートナーごとの売上や案件状況を一元的に把握できる
 
②戦略を描くための材料にする
 成長領域や重点支援先を客観的に特定できる
 
③施策の効果を検証する
 打ったアクションが成果につながったか、定量的に確かめられる

 

つまり、このレポートは「ただの数字管理表」ではなく、ビジネスを前進させるためのコンパスなのです。

 

画像3.png

2.データ構成の全体像

「どうやってデータをPower BIで可視化しているのか?」を図解したのがこちらです。

 

画像4.png

※↑の画像の数字はダミーです

 

複数のソースに散らばっていたデータ(Input)を集約し、Power Queryを使い、データを成形。そしてビジュアル化(Output)します。
定期的に更新しながら最新の情報を反映しています。
これにより、パートナー様のビジネスを俯瞰して見ることができます。

 

特に重要なのは、「パートナー別」「業種別」「新規 vs 既存」といった多角的な切り口で分析できることです。
これによって、施策立案の精度が大きく向上しています。

 

3.データモデリングの工夫

データをただ集めるだけでは「数字の羅列」で終わってしまいます。
そこで役立つのが「スタースキーマ」という整理方法です。

(今回はFactテーブルが複数存在する形でスターにはなっていないです)

 

■参考リンク

スター スキーマと Power BI での重要性を理解する

 

画像1.png

  • Factテーブル(事実の表)
    売上や粗利といった数字を集めた表。イメージは「売上明細表」。

  • Dimensionテーブル(説明の表)
    企業名、業種、案件タイプ、日付など。数字に意味を与える表。

 両者をキーでつなぐことで、

「製造業の新規案件はどれくらい伸びているか?」

「パートナーAとBでは、どちらが継続案件に強いか?」
といった分析が一瞬でできるようになります。

 

つまり、数字にストーリーを与える仕組みがデータモデリングの工夫です。

 

4. 可視化と分析の事例

Power BIで可視化すると、数字の羅列が「気づきを与えるグラフ」に変わります。

 

たとえば:

  • パートナー別売上ランキング
    → 「今どのパートナーが伸びているか」を一目で把握

  • 業種別の導入傾向
    → 「どの業界に成長余地があるか」を発見

  • 新規 vs 既存案件の比率
    → 「攻め」と「守り」のバランスを確認

  • 四半期ごとの推移
    → 成長スピードを客観的に把握

画像2.png

※実際に作成したダッシュボード(数字はダミーです)

 

5. 運用面での工夫

良い仕組みでも「更新が大変」「管理がバラバラ」では続かないので
運用面でもいくつか工夫をしています。

 

・Power BIでのスケジュール更新の設定
 毎月月初の○○時に更新などの設定。なお、重要な施策検討などに合わせて随時更新も可能。

・できる限りエラーや作り直しが発生しない
 ソースファイル名を「UiPath案件.xlsx」など固定した名前にすることで、誰が作業しても処理が崩れず、最新データを社内システムからダウンロード・格納し、ワンクリックで更新が可能。

 

 それでもエラーが発生したら、、、
 ChatGPTにスクリーンショットを添えて相談すれば解決策が見つかることも多いです。
 私は困ったらまずChatGPTに聞いています。 

 

こうした工夫で、チームの誰でも安心して使い続けられるレポートになっています。

 

6. 今後の展望

今後は、さらに一歩進めて「提案してくれるレポート」へと進化させたいと考えています。

 

  • RPAによる自動化
    Inputとなる社内システムデータのダウンロード・指定フォルダへの格納の自動化

  • AIによる異常検知
    売上や案件の急な変動を自動で検出し、知らせてくれる

  • 生成AIによるインサイト抽出
    「このパートナーが伸びているのは製造業での新規案件増が理由です」といった背景まで自動で解説

これが実現すれば、データ分析は「ただ見る」から「次の一手を提案してくれる存在」になりそうです!

 

7. まとめ

今回ご紹介したパートナー分析レポートのポイントは次の3つです。

"ビジネスのコンパス"としての役割
 売上や案件のデータを一元化し、Power BIで直感的に可視化。いま何が起きているのかを瞬時に把握できます。

感覚に頼らない戦略立案
 データモデリングにより数字に意味を与え、多角的な切り口から分析。根拠ある戦略を描けるようになります。

パートナー様との前向きな共創
 データを共通言語にすることで、パートナー様と根拠のある会話ができます。

 

データ活用を通じて、意思決定のスピードと質を高める。
これこそが本レポートの最大の魅力であり、私たちが目指したい姿です。
これからも、パートナー様と一緒に成長していくための"伴走するレポート"として進化させていきます!

 

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 先端技術統括部 DXコンサルティング部 ストラテジー&データサイエンス課
安藤 里奈