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新人SEと学ぶ!Nutanixのキホン〜構築編〜 第1回HCIとNutanixの紹介

ストレージ / HCI
2024.09.19

はじめに

はじめまして!SB C&Sの川衞です。

この記事は「新人SEと学ぶ!Nutanixのキホン ~構築編~」の第1回となります。第1回では、 HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)の概要と、HCIの代表的企業であるNutanix、およびNutanix導入のメリットを紹介いたします。

「新人SEと学ぶ!Nutanixのキホン」シリーズでは、SB C&Sの新人SEメンバーがNutanixの「構築」「運用」「AHV機能」など、いくつかのテーマごとに検証した内容を連載記事として公開しています。今回の「構築編」では、Nutanix環境の構築方法を理解するために、Nutanix専用アプライアンスを用いてクラスターおよびAHVの仮想化基盤を構築していきます。これからNutanixを学びたい方はぜひ参考にしていただければ幸いです。以下「構築編」シリーズのリンクを掲載していますのでご参照ください。

~構築編~シリーズ連載記事

第1回 HCIとNutanixの紹介
第2回 Nutanix専用サーバーの中身をご紹介 
第3回 Nutanixとスイッチ構成のご紹介   
第4回 Foundation VMの構築(仮)
第5回 Foundationの設定(仮) など
第6回以降も作成予定

HCIとは

みなさんは"HCI"という言葉を聞いたことがありますでしょうか?"HCI"とは"Hyper Converged ​Infrastructure​"の略称です。すなわち、「超統合された基盤」という意味です。では具体的に、何が、どのように統合され、どのようなメリットがあるのでしょうか。

HCIに関して、今流行りのChat GPTさんに聞いてみました!

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とてもわかりやすい回答が返ってきました!
こちらの回答を参考に、HCIについて一つずつ見ていきたいと思います。

3Tier構成からHCIへ

従来の仮想化インフラは、3Tier構成と呼ばれ、「サーバー」「SANスイッチ」「ストレージ」の3つの別々のハードウェアによって構成されていました。3Tierは各物理ホストから外部共有ストレージに接続する構成として、VMwareなどの仮想化基盤で一般的に利用されてきました。

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しかし、3Tierは3種類のハードウェアで成り立っていることから、以下のような課題がありました。

・サーバやリソース追加といった拡張作業が大変
・接続方法の検討、設定、運用管理が煩雑になる
・トラブル時の切り分けに時間がかかる

こうした課題を解決する新たな統合基盤が、HCIです。

HCIは「サーバー」「SANスイッチ」「ストレージ」の3つの機能が一つに統合された製品です。ストレージを仮想化して管理する「SDS」(Software-Defined Storage)の技術を用いることで、複雑なハードウェア構成を避けたシンプルな仮想化基盤の構築が実現できます。HCIでは、個々のサーバーのことはノードと表現されます。

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ちょっと一息 ~CIとHCI~

ここまでHCIについて、その特徴とメリットに関して話してきました。しかし、HCI(超統合基盤)という言葉を聞いて、CI(統合基盤)はあるのかと疑問に感じた方もいるかもしれません。実はCIも存在します!

CIとは、サーバー、ネットワーク、ストレージ、ソフトウェア(ハイパーバイザーや運用管理ツールなど)を、1つのパッケージに統合した製品です。最適化された構成のため​、導入期間を大幅に短縮でき、また検証済みの状態のため安定的に稼働​します。1つにパッケージされているため、サポート窓口も1本化されています。

一方、統合されているとはいえ、CI は従来のインフラ同様ハードウェアを中心としたコンポーネント上に構築されるため、基本的に3Tierの課題の根本的解決には至りません。 ハードウェアに依存しているCIとは異なり、HCIのインフラストラクチャの運用は物理ハードウェアから論理的に分離しており、ソフトウェアで定義されたとも言えます。HCIは、CIとは根本的に異なるアーキテクチャを採用することで、操作性、拡張性、柔軟性を発展させた製品といえます。

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Nutanix

ここまでHCIについて紹介してきましたが、ここからはそんなHCI製品の代表的企業である、Nutanixを紹介いたします!

What is Nutanix?

Nutanixは、アメリカカリフォルニア州サンノゼに本社を置くクラウドコンピューティング企業です。Google (Google File System設計者)、Facebook、VMware、NetApp、Oracle、Citrix、Palo Alto Networks、Ciscoなどのコンピューター、ネットワーク技術のリーダーが参集した、各社のノウハウが統合された、まさに" Hyper Converged"な企業といえます!

2009年の設立以降、リーディングカンパニーとしてHCIテクノロジーを牽引してきました。Hyper Convergedマーケットにおいても高いシェア率を誇り、グローバルで数多くの企業に採用されています。また、Nutanixは、評価機関からHCI市場におけるリーダーポジションとしても評価されています。

〈参考リンク〉
Nutanixハイブリッド・マルチクラウド プラットフォームがリーダーに位置付け
https://www.nutanix.com/jp/press-releases/2023/nutanix-hybrid-multicloud-platform-recognized-as-a-leader

Nutanixのメリット

Nutanixのメリットには以下のようなものがあります。

①コスト削減

複数の機器を統合することによる物理コンポーネントの削減は、省スペース・省電力に繋がります。設備投資、維持管理費用といったTCOの削減に貢献します。また、Nutanixでは、Foundationと呼ばれるキッティングツールからストレージやサーバーノードのIP設定、ハイパーバイザーのインストールといったセットアップを一括で行えるため、従来までの面倒なキッティング作業が不要となり、導入までの工数や時間、​エンジニアコストの大幅削減にも繋がります。

②Prismによる運用・管理の効率化​

Nutanixでは、Prismと呼ばれる管理コンソールが用意されており、Webブラウザから接続できます。Prismでは、ハードウェアやストレージ、ネットワークから仮想マシンの操作までを一括管理することできます。各種設定やハードウェアの各種ステータスや仮想マシンの状況も確認可能​です。操作から状態の確認までを一括で行えるため、運用・管理を効率的に行うことができます。

③スケーラビリティ

3Tier構成の場合は拡張上限があったり、設計・構成変更といった部分が複雑だったりするため、リソースを増強することは簡単なことではありませんでした。一方ストレージとコンピュートリソースが一体となっているHCIは、ノードを1台追加するだけで不足したリソースを補うことができるため、垂直型にスケールアウトすることが可能となります。さらにNutanixでは、数クリックでノード追加が簡単に行えるため、初期構成では必要最低限のリソースで導入し、必要な時に必要な分だけノードを増やすという運用が可能となり、初期投資を抑え、無駄な投資を防ぐことにも繋がります。また、リプレースの際の負荷軽減にも繋がります。

This is Nutanix!

「Nutanix=HCIやハードウェアの会社ではない」これは皆様にぜひお伝えしたい考えです。Nutanixは、パブリッククラウドのように、インフラを意識せず柔軟で拡張性のある設計思想をオンプレミスにも取り入れることから始まりました。HCIの開発を行うことで物理構成をシンプルにし、運用面でも使い勝手のいい環境を実現してきました。Nutanixの設計思想はソフトウェア機能による柔軟なインフラやクラウド環境の実現であり、最近ではマルチクラウド環境におけるシームレスなデータのモビリティなどの開発にも積極的に投資しています。

Nutanixは単なる「HCIやハードウェアの会社」ではなく、HCIをはじめとしてハイブリッド・マルチクラウドにまたがった柔軟性の高いインフラ環境を提供するため、新しいテクノロジーを次々と生み出している会社なのです。

最後に

以上、ここまでHCIと、HCIの代表的企業であるNutanixについて紹介してきました。NutanixはHCIの提供を開始して以来、ユーザーからの評価も高く、現在まで大きく成長してきました。これからNutanixをキャッチアップされる方の中には、Nutanixの環境がどのように作られるのか気になる方もいると思います。

ここからは実際にNutanix環境の構築を行っていきます。作業を通して一緒にNutanix環境の構築方法を学んでいきましょう!次回の記事ではNutanixのラッキングをおこなっていきます、ぜひご覧ください!

第2回の記事はこちら

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
川衞 優大