
はじめに
こんにちは。SB C&Sの吉水です。この記事では「若手SEと学ぶ!Nutanixの基本機能」シリーズの一つとして、クローン機能についてご紹介します。
Nutanixでは、仮想マシン(VM)を効率的に複製・展開するための仕組みとして「クローン」が用意されています。これを使用することで、システム構築や検証環境の準備などを迅速に行うことができます。
今回はクローンの活用例として、VMのひな型からクローンを展開する「テンプレート」機能も併せてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
クローンとは
クローンは既存のVMをコピーして新しいVMを作成する機能です。NutanixではPrismコンソール上から数クリックでクローンを作成できます。例えば、検証用で同じサーバーを複数台用意したい場合や、既存システムの状態を保ったまま検証を行いたい場合に非常に便利です。
クローンの実機操作
それではさっそく、Nutanix環境でのクローンの実機操作をご紹介します。まずは、Prismの「仮想マシン」画面でクローン対象のVMを右クリックし、「Clone」を選択します。
続いて、クローンの作成数と名前を入力します。「Starting Index Number」を1に指定すると、名前の末尾に1, 2, 3, ...が付与されます。
クローンで作成するVMスペック(vCPU数、vCPUあたりのコア数、メモリ容量)は必要に応じて変更できます。
なお、クローンでは元VMの仮想ディスクを参照しますので、ディスクを変更することはできません。
次にNICを選択します。デフォルトでは元VMと同じ仮想ネットワークが選択されます。
「Custom Script」にチェックを入れると、cloud-initやSysprepの応答ファイルを埋め込むことも出来ます。今回はそのまま「Save」をクリックして、クローンを開始します。
クローンを実行すると指定した数のVMが自動で展開されます。ちなみにNutanix環境でのクローンは、元データを参照して新規データのみを書き込むため、高速かつ効率的にVMを複製できます。
これでクローン機能の紹介は以上です。続いては、テンプレート機能についてご紹介します。
テンプレートとは
テンプレートは特定のVM構成を登録し、いつでも展開できるようにする機能です。たとえば、OSインストールし、セキュリティパッチ適用済みのVMをテンプレートとして保存しておくことで、すぐに利用可能なVMを迅速にデプロイできます。このテンプレートからのデプロイの際、内部的にはクローンが利用されます。
テンプレートの作成
それでは、Nutanix環境でのテンプレートの実機操作をご紹介します。ちなみに、テンプレートに関する操作はPrism Centralでのみ行うことができます。
まず、Prism Centralの「VMs」画面で対象の仮想マシンを選択し、「Actions」→「Create VM Template」をクリックします。
続いて、テンプレート名を入力します。テンプレートを作成する際もクローン同様、Sysprepなどのスクリプトを設定できます。今回はそのまま「次へ」をクリックします。
最後にテンプレートの内容を確認し、「Save」をクリックして保存します。
作成したテンプレートは「Templates」画面から確認できます。こちらに様々なOSやVMスペックのテンプレートを用意しておくことで、用途に合ったVMを簡単にデプロイできます。
テンプレートからのVMデプロイ
ここからは、作成したテンプレートを用いてVMをデプロイします。対象のテンプレートを選択して、「Deploy VMs」をクリックします。

続いて、名前とデプロイする台数を入力します。「Advanced Deploy」をクリックすると詳細項目の設定ができます。

テンプレートに設定されているCPUやメモリの値は、変更することができます。今回はそのまま「次へ」をクリックします。
クローンと同様にディスクは変更不可です。NICの設定を行い、「次へ」をクリックします。

タイムゾーン等の設定を確認して、「次へ」をクリックします。

入力内容を確認して「Deploy」をクリックします。
デプロイを実行すると、指定した台数のVMが作成されていることが確認できます。この際、テンプレートとして保存したデータをもとにVMがクローンされます。
今回ご紹介したテンプレートは既存のVMと区別して作成できるため、VMと混合せず管理しやすいのが特徴です。また、テンプレートは内容を更新して新しいバージョンとして世代管理することも可能です。
まとめ
今回はNutanixにおけるクローンとその活用例としてテンプレートをご紹介しました。クローンを使用することで、VMを簡単かつスピーディーに複製することができます。さらに、テンプレートを利用して構成を管理することで、VM展開を効率化できることがお分かりいただけたかと思います。
今後も「若手SEと学ぶ!Nutanixの基本機能」シリーズでは、Nutanixの便利な機能をわかりやすく紹介していきます。ぜひ次回もご覧ください。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 1課
吉水 崚 - Ryo Yoshimizu -

