SB C&Sの最新技術情報 発信サイト

C&S ENGINEER VOICE

SB C&S

Universal Credits にアラートを設定してみた(残高と消費状況の確認)

パブリッククラウド
2025.11.27

AIが生成した画像です

 

 

みなさま、ごきげんよう。永瀬です。

OCI を利用する際、気になるポイントの一つが「コスト管理」ではないでしょうか。
プリペイド方式である Universal Credits (UCM) を契約している場合も、
 「今どれくらい消費したのか?」
 「残高はあとどれくらいあるのか?」
を把握しておくことは非常に重要です。

 

今回は、うっかり使いすぎて予算オーバー...という事態を防ぐために、
OCI の「予算」機能を使って、消費額に応じたアラートメールを受け取る設定手順をご紹介します。

 

 

今回やること

1.現在の残高と消費状況を確認する

2.月間の予算とアラート・ルールを設定する

【おまけ】年額の契約総額に対するアラート

まとめ

 

 

1.現在の残高と消費状況を確認する

まずは、現在の「持ち金(残高)」と「使った金額(消費量)」がどこで見られるかを確認しましょう。

 

残高消費量有効期限コスト管理の概要ページで確認できます。

  1. OCI コンソールにログインします。

  2. OCI コンソール左上のハンバーガーメニュー(三本線)をクリックします。

  3. 「請求とコスト管理」を選択します。

  4. 「コスト管理」の「概要」をクリックします。
    universal_credits_alert_on_spending_and_balance 04.png

  5. 表示されるコスト管理の概要ページに、グラフや数値で情報が表示されます。
    universal_credits_alert_on_spending_and_balance 05 masked.png

    この画面では棒グラフのオレンジ色の部分にマウスカーソルを合わせると、
    以下の情報が確認できます。

    • 残高 (Remaining): まだ利用可能な金額
    • 有効期限: クレジットがいつまで使えるか

    また、棒グラフの緑色の部分が消費量です。

 

💡 ポイント
Universal Creditsには有効期限(通常 1 年など)があります。
「使い切れるペースかどうか」を確認するためにも、
ここのチェックは定期的に行うのがおすすめです。

 

 

2.月間の予算とアラート・ルールを設定する

ここからが本題です。
うっかり使いすぎてしまい、しかもそれに気づくのが遅れてしまうことのないよう、
設定した金額を超えそうになったらメールが届くようにします。

 

Step 1: 「予算」の作成

まずは基本となる「月次」の予算設定です。

  1. ハンバーガーメニューから 「請求とコスト管理」>「予算」 を選択します。
  2. 「予算の作成」ボタンをクリックします。
  3. 以下の項目を設定します。
     
     設定項目  説明・入力例
     名前  わかりやすい名前(例: Monthly-UCM-Budget
     説明  任意(例: 月額予算監視用
     予算範囲  コンパートメントを選択し、
     ルートコンパートメント(テナンシ全体)を指定します。
     スケジュール  毎月 を選択します。
     予算金額  その月に消費する予定の金額を入力します(例: 100000)。
     予算処理の開始日付  1 日(デフォルトのままでOK)

    ※ 予算範囲で子コンパートメントをターゲットにする場合でも、
      テナンシのルート・コンパートメント内の予算を管理し、
      予算を作成および使用する権限を持っている必要があります。

     
    universal_credits_alert_on_spending_and_balance 06 masked.png

    ⚠️ 注意点
    Universal Credits の場合、ここでの「予算金額」は残高ではなく
    月々の消化目標額(または許容額)」を入力します。

 

Step 2: アラート・ルールの設定

予算の箱ができたら、次は「いつ通知するか」というルールを決めます。
「予算の作成」画面の下部、または作成後の詳細画面から設定できます。

  1. 「予算アラート・ルール(オプション)」に以下のように設定します。

    • しきい値メトリック(予算作成時にはどちらかを選択):

      • 実績支出: 実際に請求が発生した金額が閾値を超えたら通知。

      • 予測支出: 「このペースだと月末には超えそう」と予測した時点で通知。
              ・予測支出では 3 日以上のデータの蓄積が必要です。
              ・予測支出は1時間ごとに評価されます。

    • しきい値のタイプ: 絶対金額、または、予算比率(何%に達したら通知するか)。

    • 電子メールの受信者: 通知を受け取りたいメールアドレス。

    • 電子メールメッセージ: メール内に記載されるコメント。
                 (例: 予算に対して実績支出が80%を超えました。)
  1. 画面右下の「作成」 をクリックして完了です。

    universal_credits_alert_on_spending_and_balance 07.png

 

💡 ポイント
予算アラート・ルールは一つの予算に対して複数設定できますので、
予算の作成後に予算アラート・ルールを追加して
実績支出と予測支出の両方を設定しておくことをお奨めします。

universal_credits_alert_on_spending_and_balance 08.png

 

 

【おまけ】年額の契約総額に対するアラート

Universal Credits は「1 年間で〇〇万円」といった契約形態が一般的です。

月々の管理だけでなく、
 「契約期間全体を通して、計画通りに消化できているか?」
を監視したい場合もありますよね。

予算の「スケジュール」を「カスタム」で設定することで、年額に対するアラートも設定可能です。

設定手順

  1. 通常通り 「予算の作成」 をクリックします。

  2. 設定項目で以下のように指定します。

    • スケジュール: 「毎月」ではなく 「カスタム」 を選択します。

    • 予算金額: 契約している Universal Credits の総額(例: 1200000)を入力します。

    • 開始日終了日: Universal Credits の契約期間(開始日と終了日)を入力します。

      ・最大1年間の範囲まで指定可能です。
      ・「予算」の作成時にのみ指定可能です(作成後に変更できません)。

 

⚠️ 注意点
現状、OCI ではひとつのコンパートメントにはひとつしか予算が作成できないので、
ルートコンパートメントにすでに月次の予算を作成していると
 「このコンパートメントには予算がすでに存在します。
  別のコンパートメントを選択してください。」
というエラーメッセージが出て作成できません。

テナンシー全体の予算として年額を設定する場合は、
タグのデフォルトを設定しておいて、そのタグを予算で指定するとか、
月次の予算は子コンパートメントを指定して、ルートコンパートメントは年額にするとか、
少し工夫が必要になります。

 

活用イメージ

この「カスタム予算」に対して以下のようなアラート・ルールを設定しておくと、
契約更新に向けた消化ペースの把握に役立ちます。

      • 実績支出 50%通知:
        「契約期間の半分が過ぎた頃に、ちゃんと半分(50%)消化できているか?」を確認するきっかけになります。

      • 実績支出 80%通知:
        「そろそろクレジットが少なくなってきた」という気付きになります。

      • 予測支出 100%通知:
        「このペースだと期間内にクレジットが足りなくなるかも?」という早期警告になります。

 

 

まとめ

OCI の「予算」と「アラート・ルール」は非常にシンプルですが、
Universal Credits を計画的に消化していく上で設定しておくことが必須
ベストプラクティスといえる機能です。

残高消費量有効期限コスト管理の概要ページで確認できます。

・予算とアラート・ルールを設定して、
 消費量が閾値を超えたらアラートメールを飛ばすことができます。
 実績支出と予測支出の両方を設定しておくことがお奨めです。

・年額のクレジットに対しても予算を設定できますが、
 ルートコンパートメントに月次の予算を設定している場合は少し工夫が必要です。

 

アラートメールが来るとは言え、できるだけ定期的に消費量を確認するようにして、
予期せぬ出費(あるいはクレジットの余らせすぎ)を防いで、快適な OCI ライフを送りましょう!

 

 

今回はここまで。

また次回まで、みなさまごきげんよう。

 

他のおすすめ記事はこちら

著者紹介

先端技術統括部
DXコンサルティング部 デジタルイノベーション課
永瀬 晋作

みなさま、ごきげんよう。