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みなさま、ごきげんよう。永瀬です。
OCI を利用する際、気になるポイントの一つが「コスト管理」ではないでしょうか。
プリペイド方式である Universal Credits (UCM) を契約している場合も、
「今どれくらい消費したのか?」
「残高はあとどれくらいあるのか?」
を把握しておくことは非常に重要です。
今回は、うっかり使いすぎて予算オーバー...という事態を防ぐために、
OCI の「予算」機能を使って、消費額に応じたアラートメールを受け取る設定手順をご紹介します。
今回やること
1.現在の残高と消費状況を確認する
まずは、現在の「持ち金(残高)」と「使った金額(消費量)」がどこで見られるかを確認しましょう。
残高や消費量と有効期限はコスト管理の概要ページで確認できます。
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OCI コンソールにログインします。
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OCI コンソール左上のハンバーガーメニュー(三本線)をクリックします。
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「請求とコスト管理」を選択します。
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「コスト管理」の「概要」をクリックします。

- 表示されるコスト管理の概要ページに、グラフや数値で情報が表示されます。
この画面では棒グラフのオレンジ色の部分にマウスカーソルを合わせると、
以下の情報が確認できます。- 残高 (Remaining): まだ利用可能な金額
-
有効期限: クレジットがいつまで使えるか
また、棒グラフの緑色の部分が消費量です。
💡 ポイント
Universal Creditsには有効期限(通常 1 年など)があります。
「使い切れるペースかどうか」を確認するためにも、
ここのチェックは定期的に行うのがおすすめです。
2.月間の予算とアラート・ルールを設定する
ここからが本題です。
うっかり使いすぎてしまい、しかもそれに気づくのが遅れてしまうことのないよう、
設定した金額を超えそうになったらメールが届くようにします。
Step 1: 「予算」の作成
まずは基本となる「月次」の予算設定です。
- ハンバーガーメニューから 「請求とコスト管理」>「予算」 を選択します。
- 「予算の作成」ボタンをクリックします。
- 以下の項目を設定します。
設定項目 説明・入力例 名前 わかりやすい名前(例: Monthly-UCM-Budget) 説明 任意(例: 月額予算監視用) 予算範囲 コンパートメントを選択し、
ルートコンパートメント(テナンシ全体)を指定します。スケジュール 毎月 を選択します。 予算金額 その月に消費する予定の金額を入力します(例: 100000)。 予算処理の開始日付 1 日(デフォルトのままでOK) ※ 予算範囲で子コンパートメントをターゲットにする場合でも、
テナンシのルート・コンパートメント内の予算を管理し、
予算を作成および使用する権限を持っている必要があります。
⚠️ 注意点
Universal Credits の場合、ここでの「予算金額」は残高ではなく
「月々の消化目標額(または許容額)」を入力します。
Step 2: アラート・ルールの設定
予算の箱ができたら、次は「いつ通知するか」というルールを決めます。
「予算の作成」画面の下部、または作成後の詳細画面から設定できます。
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「予算アラート・ルール(オプション)」に以下のように設定します。
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しきい値メトリック(予算作成時にはどちらかを選択):
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実績支出: 実際に請求が発生した金額が閾値を超えたら通知。
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予測支出: 「このペースだと月末には超えそう」と予測した時点で通知。
・予測支出では 3 日以上のデータの蓄積が必要です。
・予測支出は1時間ごとに評価されます。
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しきい値のタイプ: 絶対金額、または、予算比率(何%に達したら通知するか)。
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電子メールの受信者: 通知を受け取りたいメールアドレス。
- 電子メールメッセージ: メール内に記載されるコメント。
(例: 予算に対して実績支出が80%を超えました。)
-
画面右下の「作成」 をクリックして完了です。

💡 ポイント
予算アラート・ルールは一つの予算に対して複数設定できますので、
予算の作成後に予算アラート・ルールを追加して
実績支出と予測支出の両方を設定しておくことをお奨めします。

【おまけ】年額の契約総額に対するアラート
Universal Credits は「1 年間で〇〇万円」といった契約形態が一般的です。
月々の管理だけでなく、
「契約期間全体を通して、計画通りに消化できているか?」
を監視したい場合もありますよね。
予算の「スケジュール」を「カスタム」で設定することで、年額に対するアラートも設定可能です。
設定手順
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通常通り 「予算の作成」 をクリックします。
-
設定項目で以下のように指定します。
-
スケジュール: 「毎月」ではなく 「カスタム」 を選択します。
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予算金額: 契約している Universal Credits の総額(例:
1200000)を入力します。 -
開始日と終了日: Universal Credits の契約期間(開始日と終了日)を入力します。
・最大1年間の範囲まで指定可能です。
・「予算」の作成時にのみ指定可能です(作成後に変更できません)。
-
⚠️ 注意点
現状、OCI ではひとつのコンパートメントにはひとつしか予算が作成できないので、
ルートコンパートメントにすでに月次の予算を作成していると
「このコンパートメントには予算がすでに存在します。
別のコンパートメントを選択してください。」
というエラーメッセージが出て作成できません。
テナンシー全体の予算として年額を設定する場合は、
タグのデフォルトを設定しておいて、そのタグを予算で指定するとか、
月次の予算は子コンパートメントを指定して、ルートコンパートメントは年額にするとか、
少し工夫が必要になります。
活用イメージ
この「カスタム予算」に対して以下のようなアラート・ルールを設定しておくと、
契約更新に向けた消化ペースの把握に役立ちます。
-
実績支出 50%通知:
「契約期間の半分が過ぎた頃に、ちゃんと半分(50%)消化できているか?」を確認するきっかけになります。 -
実績支出 80%通知:
「そろそろクレジットが少なくなってきた」という気付きになります。 -
予測支出 100%通知:
「このペースだと期間内にクレジットが足りなくなるかも?」という早期警告になります。
まとめ
OCI の「予算」と「アラート・ルール」は非常にシンプルですが、
Universal Credits を計画的に消化していく上で設定しておくことが必須の
ベストプラクティスといえる機能です。
・残高と消費量や有効期限はコスト管理の概要ページで確認できます。
・予算とアラート・ルールを設定して、
消費量が閾値を超えたらアラートメールを飛ばすことができます。
実績支出と予測支出の両方を設定しておくことがお奨めです。
・年額のクレジットに対しても予算を設定できますが、
ルートコンパートメントに月次の予算を設定している場合は少し工夫が必要です。
アラートメールが来るとは言え、できるだけ定期的に消費量を確認するようにして、
予期せぬ出費(あるいはクレジットの余らせすぎ)を防いで、快適な OCI ライフを送りましょう!
今回はここまで。
また次回まで、みなさまごきげんよう。
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著者紹介
先端技術統括部
DXコンサルティング部 デジタルイノベーション課
永瀬 晋作
みなさま、ごきげんよう。
