
Palo Alto Networks が CyberArk を買収する──この一報は、同社が進めてきた「プラットフォーム統合」を Identity 領域まで拡張するシグナルにも見えます。
本記事では、買収の概要からIDを取り巻く現状、そして Strata / Prisma / Cortex との接続点を整理しながら、今後の展開を読み解きます。
全体像 (なにが起きたか)
まずは、昨年Palo Alto Networksが発表したCyberArkの買収が完了したことが先日メーカから正式リリースされました。
これは現金と株式を組み合わせた大型Dealであり条件はCyberArkの普通株1株あたり「現金45ドル + Palo Alto Networks普通株2.2005株」となっています。取引規模としては発表時点の評価額で約250億ドルとなっており、Palo Altoが実施してきた買収の中でも最大です。
この規模を見るだけでもいかに彼らがこの買収を重要視していたかが分かります。

CyberArk買収で何が変わるのか
ここで気になるのが買収によって今後何が変わるのかというところです。Palo Altoは以前より「Platformization」というメッセージを全面に打ち出しており戦略の柱としております。
以下で分かるように、Strata / Prisma / Cortexなどで様々な側面から包括的にセキュリティを実現出来る唯一無二の存在としていました。
そういった中で唯一足りなかったピースが「Identity Security」の部分であり、すなわち今回のCyberArkの買収に関わってくる箇所です。
CyberArkはPAM(Privileged Access Management=特権アクセス管理)を中核としたIdentity Securityを専門に扱っている企業であり、今後のPalo Altoのプラットフォーム戦略を強化するためにはこれ以上ない存在といえます。
※CyberArk製品は 単体プラットフォームとしても継続提供しつつエコシステムへ統合も進めることが明言されています。
Palo Altoもプレスリリースの中で プラットフォーム戦略(platformization)の中核に Identity Security を据える とコメントしており力の入れようが分かります。
Identityを取り巻く現状
Identityがセキュリティにおいて重要なのは言うまでもないですが、実はID周りは今非常に管理が難しくなっております。
企業でクラウド・自動化・AIが進むほど、人(Human)だけでなく、非人間(Non-Human Identity)やAIエージェント(Agentic)の"ID" が増え管理が煩雑化していきます。
一般的にはIdentity Securityというとまだまだ 人(human)をイメージしてしまいますが、実はこの人以外のIdentityの部分をどう管理するかが課題になっています。
Palo Alto側もリリースの中で「機械のIDが人のIDより80倍以上多い」「多くの組織で権限設計が過剰」などのコメントをしており 攻撃の主戦場がIDになるという問題意識を持っているのが分かります。
CyberArkの強み(特権アクセス管理など)を広げ、"管理者だけ"ではなく"あらゆるID"に特権セキュリティを拡張して、常時権限の削減・横移動抑止・ID起点の攻撃を早く止める、というストーリー。

今後の連携ストーリー
IDが最大の攻撃経路としてとらえることで、Palo Altoが従来より提供している、"ネットワーク/エンドポイント/クラウドの防御" に、CyberArkの "Identity(PAM・シークレット管理・NHI)統制" を足して、攻撃の主経路になっているID起点の侵害を防ぐことが出来ます。
以下のイメージのように全てのIdentityに対して、Cortex / Prisma / Strataと統合して検知〜封じ込めを即時に実行することが可能となっていきます。

まとめ
今回はPalo Alto Networks社によるCyberArk買収を考察しました。
Palo Alto のプラットフォーム戦略にとって、Identity Securityは「重要だけど外部にあった領域」でした。CyberArk という強いPAMのピースが入ることでより強力なプラットフォーマーになることは間違いありません。
我々も検証情報の共有など引き続き情報提供していきますのでぜひ今後の記事も楽しみにしていてください。
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著者紹介
SB C&S株式会社
技術統括部 第4技術部 2課
CISSP, PCNSE, PSE Strata/SASE/Cortex Professional
横山 章太郎 -Shotaro Yokoyama-

