
VMware Cloud Foundation 9.1(VCF 9.1)が2026年5月12日(PST)にリリースされました。本リリースは「インフラの効率化」「アプリケーション配信の加速」「サイバーレジリエンスの強化」の3つの柱を中心に、各コンポーネントに多数の新機能が追加されています。
公式リファレンス:
- メーカーブログ:Announcing VCF 9.1: Modern Private Cloud Built for Efficiency and Resilience
- リリースノート:What's New(Overview)
- メーカーリンク集:VMware Cloud Foundation 9.1 Discover What's New
本記事では、VCF 9.1 の注目すべき新機能をコンポーネント(vSphere、vSAN、NSX、VCF Installer、VCF Operations、VCF Automation)ごとに、公式リリースノートおよびメーカー提供の情報をもとに、VCF 9.1 の主な新機能をコンポーネントごとに整理・解説します。なお記事中、Advanced Service は別ライセンスが必要なアドオン機能、Tech Preview は将来の正式提供に向けた先行機能をそれぞれ示しています。
VCF 9.1 新機能の概要・注目ポイント
VCF 9.1 の新機能の概要を以下の3つの観点でまとめてみました。
インフラ効率化
- NVMe Memory Tiering 強化
- vSAN ESA Global Deduplication・圧縮強化
- Topology Aware Scheduling
- Zero Touch Provisioning(ZTP)
- Ubuntu OS Image エンタープライズサポート
- VKS スケール向上
- Fleet サイズ拡大
高速アプリ配信
- Simplified Container-as-a-Service
- Linked Clones of FCD
- vSAN Native S3 Object Storage(Tech Preview)
サイバーレジリエンス強化
- オンプレミス クリーンルームへのサイバーリカバリー
- ACC による継続的コンプライアンス適用
- TPM 有効ホスト向けライブパッチング
以降では、各コンポーネントの新機能について、公式リリースノートをもとに詳しく解説していきます。
vSphere の新機能
① Enhanced NVMe Memory Tiering
VCF 9.0 で登場した NVMe メモリ階層化機能が VCF 9.1 でさらに強化されました。DDR(Tier 0)と NVMe(Tier 1)を組み合わせてサーバーコストを最大 40% 削減できるこの機能に、以下の改善が加えられています。
- ホスト再起動不要での有効化・デバイス選択が可能
- 低レイテンシVM・セキュリティVM・モンスターVMを含む全 VM 種別に対応
- RAID1 ソフトウェアミラーリング:2台目の NVMe でミラーリングし、デバイス障害時も継続動作を保証
- NVMe デバイスの健全性・消耗状況への可視性をプロアクティブに提供し、ダウンタイムリスクを低減
※Memory Tiering と AMD SEV-SNP / Intel TDX(Confidential Computing)は同一ホストで併用不可
②Zero Touch Provisioning(ZTP)
VCF 9.0 で非推奨となった Auto Deploy の後継として、ZTPが正式導入されました。Desired Image & Configuration を ZTP Auto Bootstrap に登録するだけで、ベアメタルサーバーへの ESX インストールとVCF ドメインへの組み込みまでを自動化することが可能となりました。
また、並列イメージング・自動検出・自動割り当てを行うことで、大規模なホスト展開を大幅に高速化することが可能となっています。
③ Topology Aware Scheduling
CPU 使用率・メモリ帯域・キャッシュ・コア数・ソケット数などを考慮したトポロジー対応スケジューリングにより、モダンな高密度サーバー上での VM 配置を最適化します。SQL Server・SAP HANA・Oracle・MySQL・PostgreSQL・VDI・VMMark など多数のワークロードで検証済みです。
④セキュリティ機能の強化
- User-Level Monitor(ULM)
VCF 9.1 では ULM(User-Level Monitor)がすべての VM のデフォルトモニターとなりました。VMM の処理を ESX カーネルの特権モードから切り離すことで、ゲスト OS からのエスケープリスクを大幅に低減します。
- AMD SEV-SNP / Intel TDX
VCF 9.0 で Limited Availability として提供されていた AMD SEV-SNP および Intel TDX が、VCF 9.1 で GA となりました。ハードウェアベースの TEE(Trusted Execution Environment)として機密ワークロードの完全性・機密性・真正性を保証します。AMD SEV-SNP は AMD EPYC Zen 3(Milan)以降、Intel TDX は Intel Xeon Gen 5(Emerald Rapids)以降のプロセッサが対象となります。
- vCenter Quick Patch
vCenter をゼロ〜5 分のダウンタイムでパッチ適用できる Quick Patch が追加されました。セキュリティや重大なバグ修正を含むパッチが対象となっており、メジャーアップグレードには元バージョンでは非対応となります。
- File Integrity Monitoring(FIM)
vCenter 9.1 に NIST SP 800-115 準拠の FIM 機能が追加されました。デフォルトで有効化され、4時間ごとに静的ファイルの変更・改ざんを検出します。API または syslog 経由で VCF Operations にレポートを送信可能です。
⑤ その他の vSphere 注目機能
| 機能名 | 概要 |
|---|---|
| Encrypted vMotion with Intel QAT | Intel QAT に暗号化処理をオフロードし vMotion 中の CPU 使用を最大 70% 削減(Broadcom 内部テスト)。AI・非AI アプリ共通で効果。ホスト再均衡化の同時 vMotion も高速化 |
| 最大 5,000 ESX ホスト(2倍) | VCF 9.0 の 2,500 ホストから倍増。並列クラスターアップグレードも 64→256クラスター(4倍)に拡大 |
| Topology Aware Scheduling | モダンな高コア数プロセッサー向けに DRS ライクなスケジューリングを最適化。CPU・キャッシュ・メモリ相互作用を考慮した VM 配置 |
| vSphere DRS / vMotion 強化 | Streaming vMotion Orchestrator(動的並行数制御)、ノンディスラプティブメンテナンスモード、CPU/メモリ競合の高速解消 |
| Linked Clones of FCD | First Class Disk のリンクドクローンに対応。VKS コンテナストレージの高速プロビジョニングに活用 |
vSAN の新機能
① vSAN ESA Global Deduplication
VCF 9.1 の vSAN ESA で グローバル重複排除(Global Deduplication) が正式導入されました。外部ストレージアレイと比較すると、ストレージ TCO を最大 39% まで削減可能となりました(Broadcom 内部テスト)。
vSAN ESA Global Deduplicationの特徴:
- クラスタ全体を対象とした post-processing 方式
- データ暗号化(data-at-rest encryption)と組み合わせても重複排除の効果を維持
- vSAN ESA 圧縮もよりパフォーマンスオーバーヘッドなしで高い容量削減率が可能
- Auto RAID-6:VCF 9.1 から vSAN ESA クラスターのデフォルト RAID レベルが RAID-6 へ変更
② vSAN Native S3 Object Storage(Tech Preview)
vSAN に S3 互換オブジェクトストレージ が Tech Preview として追加されました。マルチテナントのセルフサービス S3 オブジェクトストレージを、IT ガバナンスを維持しながら開発者に提供可能となります。
ブロック・ファイルと同一ワークフローで管理でき、目的特化型オブジェクトストレージと比較してストレージ TCO を最大 34%削減可能としています(Broadcom 内部テスト)。正式 GA は 9.1.x 以降の予定です。
③ VCF Protection & Recovery
VCF 9.1 では「VMware Live Recovery」が「VCF Protection & Recovery」に改称されました。ローカル運用回復・リモート DR・オンプレミス クリーンルームへのサイバーリカバリー・マルチテナント対応 VM セルフサービス DR の4機能を統合しています。
また、オンプレミス クリーンルーム機能を利用するには、別ライセンスであるAdvanced Cyber Compliance(ACC)が必要です。
オンプレミス クリーンルームへのサイバーリカバリーのポイント:
- vSAN スナップショット + NSX VPC 分離によるエアギャップ環境を構築
- AI/ML 検証によりファイルレス・ファイルベース双方のマルウェアを検出・除去
- EDR 統合:Carbon Black(同梱サービス) または CrowdStrike(別ライセンス必須) を選択可能
- VLR Orchestrator によるエンドツーエンドのワークフロー自動化
④ vSAN for Recovery
vSAN for Recovery では、ネイティブレプリケーション・イミュータブルスナップショット・隔離回復環境を組み合わせ、別途バックアップ・リカバリーソリューションを導入することなくサイバーレジリエンスを実現します。VCF Operations の「Data Protection & Recovery」メニューから一元管理できます。
⑤ その他の vSAN 注目機能
| 機能名 | 概要 |
|---|---|
| vSAN Replication Seeding | 新規レプリケーション作成時に既存レプリカを活用し差分のみ同期。帯域・時間を大幅削減 |
| 複数リテンションスケジュール | 日次・週次・月次など複数スナップショットスケジュールに対応。長期サイバーリカバリー戦略を支援 |
| 「any」to vSAN レプリケーション | vSAN ESA 以外のストレージで動作するワークロードも vSAN ESA をレプリケーション先として利用可能 |
| vSAN File Services SMB 高速化 | SMB メタデータ操作を最大 2 倍高速化 |
| vCenter 跨ぎの Stretched Storage | vSAN Stretched Storage クラスターが vCenter 境界を越えたストレージ共有に対応 |
NSX の新機能
① EVPN ベース統合ネットワークファブリック
Arista / Cisco / SONiC との標準 EVPN 統合により、VCF のバーチャルネットワーキングと物理ネットワークをシームレスに接続できます。NSX Edge への依存と静的 VLAN 設計を削減し、インフラ・運用コストを低減します。
② 高性能 NIC サポートと EDP 強化
主な強化内容は以下の通りです。
- Uniform Passthrough(UPT):NVIDIA ConnectX-7 / BlueField-2/3 へのオフロードで、標準 VMXNET3 のままほぼライン速度を実現。vMotion も維持可能
- Enhanced DirectPath I/O(EDPIO):AI/ML 向け最高スループット・最低レイテンシ。GPUDirect RDMA 対応(ConnectX-6 DX、ConnectX-7、BlueField-3 対象)
- EDP Standard の改善:投稿割り込みによる低レイテンシ化、SR-IOV 対応、AMD アーキテクチャ向け TLB 最適化、vSAN パフォーマンス向上
③ プラットフォーム改善
NSX アプライアンスのベース OS が Ubuntu 24.04 + Chiseled Containers に更新され、攻撃対象領域の最小化とパッチ管理の効率化が図られています。また、Management Domain の NSX Manager を Workload Domain と共有できるようになっており、NSX のリソース消費とライフサイクル管理オーバーヘッドを削減可能となりました。
④ その他の NSX 注目機能
VCF 9.1 では NSX の VPC ネットワーキング機能が大きく進化しました。
| 機能名 | 種別 | 概要 |
|---|---|---|
| Distributed EVPN-VXLAN 外部接続 | 新機能 | 集中型 NSX Edge 不要。Route Controller VM が BGP でファブリックの EVPN BGW とピアリング。ESX ホストから VXLAN で直接ファブリックに接続し、スケール・性能・運用を向上。 |
| Virtual Network Appliance(VNA) | 新機能 | 分散外部接続環境で集中型サービス(L4 LB 等)を提供する新アプライアンス。NSX Edge 不要の分散モデルに高度なサービスを追加。 |
| 複数 TGW / 複数外部接続 | 強化 | 1 プロジェクト内に集中型(CTGW)・分散型(DTGW)の Transit Gateway を複数混在可能。各 TGW に複数の外部接続を設定可能に。 |
| VPC Connectivity Policy | 新機能 | 同じ TGW 配下の VPC 間通信を「コミュニティ(通信可)」「アイソレート(隔離)」「プロミスキャス(全 VPC と接続)」で定義可能に。 |
VCF Installer の新機能
① Dual Stack(IPv4/IPv6)ネットワーキングのネイティブサポート
VCF 9.1 では Management Domain・Workload Domain での デュアルスタック(IPv4/IPv6)をネイティブサポートします。新規デプロイでは IPv4 のみまたはデュアルスタックを選択可能。既存環境も VCF 9.1 アップグレード後にデュアルスタックへ移行できます。
② LACP(Link Aggregation Control Protocol)UI サポート
これまで API のみだった vSphere Distributed Switch 上の LACP 設定が、VCF Installer および SDDC Manager の UI から直接設定可能になりました。物理ネットワーク側の事前バリデーションチェックも含まれています。
③ その他の VCF Installer 新機能
| 機能名 | 概要 |
|---|---|
| 統合プランニングワークフロー | デプロイトポロジーとコンポーネント選択を UI で定義すると CPU・メモリ・ストレージ・VLAN・FQDN の要件リストを自動生成。対象インフラへの事前バリデーションも実施 |
| デプロイ時パスワード自動生成 | システム管理・ブレークグラスアカウントの複雑なパスワードを自動生成。デプロイ後に取得可能。静的・共有パスワードのリスクを排除 |
| VCF Management Services 自動デプロイ | 新規デプロイ時に VCF Services Runtime・Fleet Lifecycle・Identity Broker・Software Depot・Salt RaaS・テレメトリ・ライセンスサーバーを自動展開。Day 0 から必要サービスが利用可能 |
| vSphere クラスターなし Workload Domain | vCenter + NSX Manager のみの Workload Domain 作成ワークフローを追加 |
| コンバージェンス対応範囲拡大 | vCenter 8.0 U2a 以降 + NSX 4.1.2.1 以降の既存環境、NSX Federation 構成、デュアルスタック環境からのコンバージェンス・インポートをサポート |
VCF Operations の新機能
VCF Operations 9.1 では UI 体験が全面刷新されました。「Build / Manage / Operate / Protect」の4ピラー体系に再編され、プライベートクラウドのライフサイクル全体を一元管理できる設計になっています。
① スタンドアロン Fleet Management Appliance の廃止・統合
VCF 9.1 では従来のスタンドアロン「Fleet Management Appliance」が廃止され、VCF Operations に組み込まれた Fleet Lifecycle コンポーネントに置き換えられました。Identity Broker・VCF Operations・VCF Automation・Log Management・Salt Master・Software Depot など、VCF 管理コンポーネント群のインストール・アップグレード・パッチ・バックアップ・リストアを一元管理することができます。
② ライフサイクル管理の大幅改善
ドメインアップグレード・パッチ適用の主な改善点以下の通りです。
- vCenter / NSX Manager のメンテナンスウィンドウ最適化:vCenter RDU(Reduced Downtime Upgrade)の準備フェーズをメンテナンスウィンドウ外に実施し停止時間を短縮
- NSX Edge のアップグレード順序変更:ドメインアップグレードシーケンスの最後に移動。vSphere ベストプラクティスに準拠し、最新 VMX バージョンを自動適用
- クラスターアップグレード時のホスト選択:問題のあるホストをスキップして特定ホストのみアップグレード可能
- 最大 256 クラスターの同時アップグレード:ドメイン作成・ホストコミッションの並列ワークフローにも対応
- コンポーネントバージョン一元表示:全コンポーネントの現在・ターゲットバージョンを Component Versions タブで確認可能
③ ライセンス管理の刷新
ライセンスを管理する機能が VCF Operations から独立したコンポーネントとして分離されました。これはVCF Operations 9.1 インストール時に自動的にデプロイされます。
接続モードでは 24 時間ごとにライセンスが自動更新される仕様へ変更されました。また、ESX 8.x と 9.x のホストのライセンス使用量を統合表示でき、特定のホストへのオーバーライドライセンスの割り当てにも対応しています。
④ Fleet 管理・IAM の強化
Identity and Access Management(IAM)が強化されています。汎用 OIDC ID プロバイダーサポート、VCF レベルの集中ロール割り当て、OAuth 2.0 API トークン、Symantec Identity Security Platform 対応などが追加されました。また Configuration Management(旧称:Configuration Drifts) に VCF 9.1 新機能として Desired State Cluster Template が追加されています。
⑤ リアルタイム観測性(Real-Time VCF Observability)
VCF Operations の Real-Time Metrics が強化され、CPU・メモリ・ディスク I/O・ネットワークスループットを秒単位(最小 2 秒)で取得可能になりました。PromQL ベースのカスタムクエリ・TopN チャート・ネットワークフロー分析・コマンドラインツール直接実行にも対応し、ミッションクリティカルワークロードのトラブルシューティングを加速します。
⑥Private AI モデル・GPU メトリクス
VCF Operations と Private AI Services(PAIS)UI に AI Observability ダッシュボードが追加されました。エンドツーエンドリクエストレイテンシ・トークンスループット・KV キャッシュ使用率・スケジューラー状態・MCP サーバー数など、AI モデル・エージェント向けの詳細メトリクスをリアルタイムで可視化します。
⑦その他の VCF Operations 注目機能
| 機能名 | 概要 |
|---|---|
| ESX / vCenter / NSX / vSAN Health ダッシュボード | 各コンポーネントの Health ダッシュボードを新設・強化。ESX の可達性・接続性・PSOD・利用率、vCenter のサービス監視(6種→18種)等を統合表示 |
| Unified Log Management | ログのマスキング・フィルタリング・フォワーディング・パーティショニング・アーカイブインポートを VCF Operations 内に統合 |
| VKS コスト管理・チャージバック | VKS ノード・クラスター・vSphere Namespace・プロジェクト・組織のコストを可視化。テナントへのメール通知・PDF 請求書送付にも対応 |
| VCF Operations HCX ライフサイクル管理 | HCX Manager のデプロイ・管理・アップグレードを VCF Operations から一元管理可能に |
| VCF on VxRail 9.1 アップグレード対応 | VCF on VxRail 5.2.2 環境からの VCF 9.1 へのアップグレードパスを提供(Dell Professional Services が支援) |
VCF Automation の新機能
VCF Automation 9.1 ではプロバイダー管理(Provider Management)と組織管理(Organization Management)の両面で機能が拡張されています。VKS(Supervisor)の新機能も合わせてご紹介しますが、詳細は VMware vSphere Supervisor Release Notes を参照ください。
① Live Application Stack Blueprints
VM・ネットワーク構成・ディスクを含む、稼働中のアプリケーションを丸ごとキャプチャして宣言型 YAML テンプレート(ブループリント)化し、カタログから同一または差別化された環境を繰り返し展開できます。開発・テスト・本番間の環境ドリフトを排除し、プロビジョニング時間を大幅に短縮します。
② Self-Service Lateral Security(Advanced Service)
VCF Automation に vDefend DFW(分散ファイアウォール)・GFW(ゲートウェイファイアウォール)のセルフサービス統合が導入されました。統合タグ・事前定義セキュリティプロファイル・テナントへのファイアウォール設定の委任が可能に。VKS も vDefend 分散 IDS/IPS で保護できるようになりました。「Turbo mode」IDPS(最大 9 Tbps)や vDefend ファイアウォール変換ツール(Tech Preview)も提供されます。
③ Automated Load Balancing(Advanced Service)
Avi Load Balancer が VCF Operations・VCF Automation と深く統合されました。VKS 向けゼロタッチ Kubernetes Ingress(LBaaS)、DevOps 委任ワークフロー、テナントレベルセルフサービス設定、MCP サポートによるエージェント AI アプリのロードバランシング(セッション永続・JWT 認証)に対応しています。
④ VKS / VM Fast-Deploy
vSphere で新たに対応した FCD(First Class Disk)のリンクドクローン技術を活用することで、VKS クラスターと VM のプロビジョニング・アップグレードが大幅に高速化されました。フルディスクコピーが不要となり差分のみを複製する仕組みのため、リソース効率も向上します。
⑤ VKS スケーラビリティ強化
VCF 9.0 の 190 クラスターから 500 クラスター(2.6倍) へと拡大されました。大規模マルチテナント環境や AI ワークロードの隔離にも対応し、Supervisor あたりの ROI が向上します。
⑥ Simplified Container-as-a-Service
複雑な Kubernetes の知識なしに、直感的な UI から vSphere Pod ベースの軽量コンテナワークロードをデプロイ・管理できます。VM・vSphere Pod・VKS クラスターを明確に選択できる UX により、ワークロードに適したランタイムを迷わず選択することができます。
⑦ その他の VCF Automation 注目機能
| 機能名 | 概要 |
|---|---|
| 複数外部接続(Multiple External Connections) | 組織ごとに複数の外部接続(集中型 Tier-0/VRF・分散型 VLAN の両方)を設定可能 |
| 共有 VLAN Extension サブネット | プロバイダーが VLAN Extension NSX サブネットを複数組織と共有。組織のワークロードが VLAN 上デバイスと直接通信可能 |
| 外部 IP ブロック(複数 CIDR 対応) | 旧称 IP Spaces から改称。1 ブロックで複数 CIDR・IP 除外範囲を設定可能。Infoblox ネットワークコンテナとの統合にも対応 |
| SQL Server DBaaS Advanced Service | Data Services Manager が提供する MS SQL Server の Database-as-a-Service。自動プロビジョニング・バックアップ・スケール・クラスタリングに対応 |
| プロジェクトコンテンツライブラリ | プロジェクトチームが独自のコンテンツライブラリを維持可能。Canonical Ubuntu LTS イメージのサブスクリプションライブラリも提供 |
まとめ
VCF 9.1 は「インフラ効率化」「高速アプリ配信」「サイバーレジリエンス」の3軸で VCF 9.0 をさらに磨き上げたリリースとなっています。
VMware by Broadcom はインフラチームが直面する課題として「環境はますます複雑化している一方で、予算や人員は横ばいのまま」という"運用のパラドックス"を挙げています。VCF 9.1 はこの課題により正面から向き合い、インフラ効率の向上、アプリケーション配信の高速化、サイバーレジリエンスの強化、エコシステムの拡張を通じて、よりシンプルかつスケーラブルに運用可能なモダン・プライベートクラウドの実現を目指したリリースとなっている印象を受けました。
以上、VCF 9.1 の What's New を紹介しました。各機能の詳細については公式ドキュメントも合わせてご確認ください。
関連記事はこちら
著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術統括部
第1技術部 1課
山田 和良 - Kazuyoshi Yamada -
VMware vExpert
