
みなさん、こんにちは。SB C&S 市島です。
2026年9月28日~30日の3日間、米国フロリダ州のオーランドで、Omnissaの年次カンファレンス「Omnissa ONE 2026 Orlando」が開催されました。VMware by BroadcomのEUC(End User Computing)部門から独立して創業されたOmnissaですが、独立後としては3回目の年次カンファレンスとなります。
今年は当社から、私を含め4名のメンバーが現地オーランドへ飛び、Omnissa ONE 2026 Orlandoに参加してきました。今回のイベントでは、従来からの主力製品である「Omnissa Horizon」「Omnissa Workspace ONE」のアップデート以外にも新たなプロダクトの発表もあり、新しいOmnissaを感じられるとても有意義なイベントでした。本ブログでは、Omnissa ONE 2026 Orlandoで発表された内容から最新情報をピックアップしてお届けします。
盛りだくさんの発表だったこともあり、今回のイベントレポートは前編・後編の2回に分けてお届けします。前編では、Keynoteで語られたOmnissaの柱となるビジョンと、新プロダクト「Omnissa Elara(エララ)」を中心にご紹介します。
※可能な限り正確な情報を掲載するよう努めていますが、イベント発表直後の内容を含むため、後日の修正が必要となることや、情報が古くなることで正確性を保てなくなる可能性もあります。必ずしも情報の正確性を保証するものではない事をあらかじめご了承ください。
Omnissa ONE 2026 Orlando イベント概要
Omnissa ONEは、世界各国のIT管理者、エンジニア、パートナーが集まるOmnissaのフラッグシップイベントです。2026年は、仮想デスクトップやエンドポイントマネジメントのキーワードだけでなく、AI Agentに注目が集まったイベントでした。AI Agentが企業の業務やIT運用へ参加することを前提に、安全な実行環境とガバナンスをどう実現するか、多くのセッションや展示会場で語られています。
●展示会場のOmnissaブース

イベントの中心として新しい発表が期待されるKeynoteセッションは9月29日に開催されるスケジュールでしたが、なんと前日28日に新CEOとしてAmit Singh氏が就任することが発表されました。Amit Singh氏はPalo Alto NetworksのPresidentやGoogle Cloudの共同創業者兼Presidentを務めた経歴を持つ方です。
直前のこのような発表もあり、今回のKeynoteセッションは新CEOがOmnissaの今後の方向性を語る最初の大きな場として、より一層注目度が高いセッションとなりました。
Keynoteで語られた「Agentic Endpoint」
Keynoteセッションは、OmnissaのChief Product Officer(CPO)のBharath Rangarajan(バラット・ランガラジャン)氏がAmit Singh氏を紹介する形から始まりました。

※上記写真の右側がAmit Singh氏です。
Amit Singh氏がKeynoteで示した中心的な考え方の1つが「Agentic Endpoint」です。
これまで企業が管理してきたPCやスマートフォンは、主にユーザーがアプリケーションを利用するためのデバイスでした。しかし今後は、さまざまなAI Agentが企業内で利用され、エンドポイント上でもAgentがユーザーの権限やコンテキストを利用して処理を実行するようになります。
Amit氏は、今後企業内にはSDKなどを通じて数多くのAgentが存在するようになり、AgentがユーザーのIDや資格情報を伴って重要な処理を行うようになるとの見方を示しました。その上で、「Agentic Endpointの時代はすでに来ている"I think the era of agentic endpoints is here."」と述べています。
こういった変化に伴い、エンドポイントは人が作業する場所であるだけでなく、AI Agentが動作する実行環境としても重要になります。一方で、強力なAgentを安全に利用するためには、Agentを安全に実行する環境、機械的な速度で問題へ対応するEndpoint Remediation(修復)、そしてAgentやAIの利用を統制するGovernance・Policy Layerが必要だと説明しました。
Amit氏は、企業が直接コントロールできる重要な場所としてエンドポイントを挙げ、Omnissaがこれまで構築してきたワークスペース基盤を、AI Agentの時代へ拡張していく方向性を示しています。
こうしたAmit氏の発言から、今後のOmnissaは、従来のEUCやEndpoint Managementの強みをベースに、人とAI Agentが共存するAgentic Endpointを安全に実行・管理・統制できるプラットフォームへと機能を拡張していく、そんなビジョンを描いていることが感じ取れました。
Autonomous Workspaceを支える3つのレイヤー
続いてKeynoteでは、Agentic Endpointを企業として安全に運用していくための考え方として、Omnissaが以前から掲げてきたビジョン「Autonomous Workspace(自律型ワークスペース)」が紹介されました。
Omnissaは、このAutonomous Workspaceを3つのレイヤーで実現していくと語られています。
1つ目は「AI-ready Workspace」です。
人とAI Agentの双方に、企業ポリシーが適用された安全なアプリケーション、データ、コンピュート環境を提供します。

2つ目は「Autonomous Endpoint Management」です。
デバイス管理、セキュリティ、DEXの情報を統合し、問題の検出から修復までをAIによってより自律的に実行できる環境を目指します。

3つ目は「Agentic Workflows」です。
管理者が定義したガードレールの中で、AI Agentが推奨するだけでなく、設定変更や修復などの処理まで実行します。必要な操作ではHuman-in-the-Loopによる承認を残すことができ、実行された処理の履歴も確認できる形にします。

そしてこの3つが個別に動くだけではなく、1つのプラットフォームとして統合されることでAutonomous Workspaceになると説明しています。
本ブログの投稿者である私は長年OmnissaのEUC製品を追ってきましたが、この「Autonomous Workspace」というビジョンはBroadcomによるVMware買収やEUC部門の独立より前から掲げられてきた、変わらない方向性として受け止めています。
一方で、今回示されたAutonomous Workspaceを実現する3つのレイヤーを見ると、その中身は大きく変化しています。従来から目指してきたAutonomous Workspaceというビジョンはそのままに、AI-ready Workspace、Autonomous Endpoint Management、Agentic Workflowsという形で、AI Agent時代に合わせて進化していることを感じました。
Omnissa Elara の発表
そして、Keynote後半で発表されたのが、「Omnissa Elara(エララ)」です。
Omnissaはこれまで、HorizonとWorkspace ONEを中心にEUC製品を展開してきました。Elaraはそれらに加わる新しい製品ファミリーとして発表され、Keynoteでは「The authority layer for AI governance and high-impact actions(AIガバナンスと影響の大きいアクションを統制するAuthority Layer)」と説明されました。

なぜElaraのような仕組みが必要となるのか?
Omnissaが公表した「State of the Digital Workspace 2026」では、企業管理下のデバイスの平均75%で未承認のAIツールが確認されたとしています。また、Keynote後にExpo会場で開催されたElaraの専用セッションでは印象的な問いが投げかけられました。
「自社のユーザー数やデバイス数は答えられても、現在いくつのAI Agentが動いているか答えられますか?」
AIの利用が広がる中、企業が把握していないAI利用、いわゆる「Shadow AI」が課題になっています。しかしAI Agentの時代には、単にどのAIアプリケーションが使われているかを把握するだけでは十分ではありません。Agentはユーザーの代理として、ファイルへのアクセスや外部サービスとの連携、プラグインなどを利用しながら、複数のシステムや業務領域をまたいで処理を進める可能性があります。
Elaraのセッションでは、こうしたShadow AIが「Shadow Agent」を生み、さらにIT部門が把握していない処理である「Shadow Work」へと広がっていくという説明がありました。

現在すでにこのような混乱状態にあり、今後は「どのAIを使っているか」だけでなく、どのAgentが、誰の代理で、何へアクセスし、何を実行しているのかまで把握する必要があると考えられます。
こうしたAI Agent時代の新しい課題に対して、Omnissaが示した解決ソリューションがElaraです。
Elaraは、ID管理、UEM、セキュリティ管理、ITSMなど複数のシステムを横断的に接続し、ユーザー、デバイス、アプリケーション、AI Agentなどの関係やコンテキストを把握できるようにすることを目指しています。KeynoteではWorkspace ONEだけでなく、Intuneなど他社製品も接続対象として想定していることも説明されました。様々なコンテキストをもとに、AIサービスやAI Agentの利用状況を可視化し、許可・制限などのポリシーを適用します。
また、重要な変更では影響範囲を確認した上で承認・実行するなど、人やAI Agentによる重要なアクションについて、企業として可視化・判断・統制できるプラットフォームを目指していると紹介されました。
Elaraの主な機能
Keynoteでは、製品デモとともにElaraの主要機能が紹介されました。
AIアプリケーションとAI Agentの可視化
Elaraは、企業内で利用されているAIアプリケーションやAI Agentを可視化し、非公認、要確認、公認といった状態で把握できるようにします。

Keynoteのデモでは、未承認のAIアプリケーションを検出し、その判断をポリシーへ反映する流れが紹介されました。全面的に禁止するだけでなく、特定のデバイスでは許可する、監視対象として残すといった運用も想定されています。
また、AI Agentについては、Agentが利用可能なプラグイン、MCP Server、AIサービスのスキルなどを確認し、有用なものを企業標準として登録したり、逆に利用を制限したりする構想も説明されていました。
AI Gatewayによるモデル利用・コスト・データ制御
Elaraでは、AI Gatewayを通じて、企業内でどのAIモデルが利用され、どれだけのトークンやコストが消費されているのかを可視化・制御する構想も示されました。

Keynoteでは、チームごとにAI利用のバジェットを設定したり、すべての処理を高性能で高コストなモデルへ送るのではなく、処理内容に応じて適切なモデルへ振り分けたりする例が紹介されています。
また、単に利用を許可するだけではなく、個人情報や企業の機密データなどがAIサービスへ送信されないようガードレールを適用することも想定されています。AI利用を許可する/禁止するだけではなく、どのモデルを、どの用途で、どの程度のコストで、安全に利用するかまで管理するのがOmnissa AI Gatewayの役割です。
AI Agentの行動を記録・再構成
Elaraは、AI Agentの個々のイベントを見るだけではなく、一連の行動を関連付けて記録し、後から再構成できる仕組みの実装を予定しています。

Keynoteのデモでは、API Keyを含む可能性のあるプロンプトを起点に、Agentがどのように判断し、どのツールを呼び出し、どのファイルへアクセスし、どのような権限を要求したのかを時系列で確認する様子が紹介されました。
また、指示を書き換えようとするプロンプト、未承認ツールへのアクセス、Shellでの処理、認証情報を含む可能性のあるファイルへのアクセスなど、別々に発生した出来事を関連付けて表示します。これにより、単に「問題が起きた」という結果を見るだけではなく、AI Agentがどのような経緯でその行動に至ったのかを後から確認し、その結果を新しいポリシーへ反映することができると紹介されています。
重要な変更を統制するChange Management
AI Agentの利用だけでなく、企業システムで行われる重要な変更を統制するChange Managementも重要な機能の1つとして紹介されました。
Change Managementでは、承認待ちの変更要求を単純な一覧で表示するのではなく、Risk Scoreと期限をもとに可視化し、どの変更を優先して確認すべきか判断できるようにします。Keynoteでは、リスクが高く期限も迫っている変更を「ACT NOW」として表示するなど、承認作業の優先順位付けを支援するデモ画面が紹介されました。

また、Change Managementの具体的なケースのデモとして、脆弱性対応のために店舗iPadのOS Update延期を解除する変更要求に対して、棚卸し期間中のChange Freezeとの競合を検知するシナリオが紹介されました。セキュリティ上は早急に更新したい一方、対象iPadは棚卸し業務にも利用されています。Elaraはこうした複数システムのコンテキストを横断して把握し、影響範囲を確認した上で、人がApprove / Rejectを判断できるようにします。

こうした仕組みは、人だけでなくAI Agentが変更を起こすようになる時代に、より重要になる考え方です。
Omnissaはこの考え方を「Control before consequence」、つまり「影響が発生してから対処するのではなく、その前に制御する」と表現しています。また、承認・拒否といった判断やAI Agentによるアクションを記録し、後から追跡・再現できる仕組みも示されました。
Elaraの構成要素・連携イメージ
エンジニアとしては、このElaraがどういったアーキテクチャで構成されるかが気になってきます。Keynoteでは詳しく語られていませんが、すでに公開されているElaraのOmnissa Tech ZoneのWebページや、現地で開催されたElaraのセッションで概要を確認できた情報をご紹介します。
まずConnectorです。これは、Workspace ONEやHorizonに加え、ID管理製品、セキュリティ製品、ITSMなど既存のシステムを接続して情報を集めます。集めた情報は関連付けられ、ユーザー、デバイス、アプリケーション、ID、AI Agentなどがどのような関係にあるのかを、共通のコンテキストとして把握できるようにします。

Elaraはそのコンテキストをもとに、「誰が、または何がアクションを起こそうとしているのか」「今その操作を許可してよいのか」「どこまで影響するのか」「誰が承認すべきなのか」を判断します。制御可能なシステムでは直接アクションに介入し、それ以外では判断結果を既存システムへ連携して、承認や修復へつなげます。判断の経緯や結果も記録され、後から確認できる仕組みになる予定です。
管理者はElaraの管理画面から、こうしたAIガバナンスやChange Management、接続するシステムなどを管理します。

また、AIモデルへのアクセスを制御するためのOmnissa AI Gatewayも用意され、ユーザー、アプリケーション、AI Agentと、LLMなどのAIモデルやツールの間に配置されます。AI Gatewayでは、利用可能なモデル、ガードレール、トークン消費、AIサービス利用のルーティングなどを制御します。
さらにエンドポイント側にも、Elaraを構成するエージェント機能を配置する構想が示されています。会場の専用セッションでは、端末上でAIサービスの利用状況やAI Agentの振る舞いを把握するだけでなく、必要に応じて端末上でブロックなどのアクションを実行できるようにする構想についても説明されました。さらに、Workspace ONE管理端末ではよりシームレスに管理が行えるように、Intelligent HubへElaraのエージェント機能を組み込む方針も現地では紹介されていました。
前編のまとめ
前編のブログは、新CEOであるAmit Singh氏がKeynoteで示したメッセージと、新たに発表されたOmnissaのソリューションElaraを中心にご紹介しました。
Amit氏が語った「Agentic Endpoint」という考え方からは、Omnissaがこれまで培ってきたEUC・Endpoint Managementの強みを、AI Agent時代に向けてさらに拡張していこうとする今後の方向性を感じました。PC・モバイルデバイス・仮想デスクトップが人のための作業環境であるだけでなく、AI Agentが動作する実行環境にもなっていく中で、Omnissaがその管理・セキュリティ・ガバナンスまで担おうとしている点は、とても興味深い変化だと感じています。
中でもElaraの発表は、個人的にも非常にわくわくするものでした。AI Agent時代に求められる統合的なガバナンス基盤に対して、OmnissaがEUCで培ってきた技術やプラットフォームを活かして取り組む、新しい一歩だと受け止めています。
Elaraは現時点ではBetaとして案内されており未公開の仕様も多くありますが、会場のデモでは実際に動作する画面を確認できました。今後どのような機能が追加され、Workspace ONEやHorizonとどのように連携されていくのか、今後の展開がとても楽しみです。
Omnissaは、Elaraをブラウザ上で体験できるデモサイトを公開しています。本ブログ記事の一部画像もデモサイトのスクリーンショットから作成しています。Shadow AI、Agentの行動確認、Change Managementなどの画面イメージを確認できますので、ぜひ皆さんもアクセスしてみてください。
続きは後編へ
前編でのご紹介は以上です。
後編の記事では、HorizonやWorkspace ONEを中心としたアップデートをご紹介します。
続きは後編の記事へ
著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術統括部
第1技術部
市島 拓弥 - Takuya Ichijima -
