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VMware vSAN のご紹介

仮想化
2019.05.10

こんにちは。SB C&Sの幸田です。

VMware といえば、仮想化。
サーバーデスクトップの仮想化で高いシェアをもっているベンダーです。

サーバーの仮想化については vSphere と呼ばれるプロダクトで実現され、
デスクトップの仮想化では vSphere に Horizon というプロダクトを加えます。

これらのプロダクトでシステムを構成する際、
仮想化されたサーバーやデスクトップ自体のデータ置き場として、
「共有ストレージ」を別途用意するケースが一般的でした。

スクリーンショット 2019-05-08 18.11.25.png

共有ストレージはこの絵のように、
複数のサーバーからアクセスできるデータ置き場として機能します。
仮想環境での利用を前提に作られるストレージも多く、性能/機能ともに日々進化しています。

とはいえ、管理すべき機器はなるべく増やしたくないもの。
小〜中規模の組織/企業は特にそうですし、大規模であっても、
共有ストレージが無くても済むのならそのほうがよいと考えるユーザーは多いはずです。

じつは近年、このような共有ストレージとして使う機器を追加すること無しに、
共有ストレージと同等の機能を持ち、+αのメリットも得られる仕組みが普及しています。
今回は、その役割を担う vSAN というソフトウェアをご紹介します。

サーバー仮想化をおさらい

まずはサーバーの仮想化について簡単におさらいしておきましょう。

スクリーンショット 2019-04-25 15.27.32.png
一言にすると、1台のサーバー機器を複数あるように見せかける手法です。
複数に分けられた後のものは、仮想マシン。
元となるサーバー機器(一般にホストと呼ばれる)の中で動作し、
仮想マシンを作り出すソフトウェアは、ハイパーバイザーと呼ばれます。

仮想マシンは作ったり消したりを素早く柔軟に行えます。
また、仮想マシンはデータとして扱えるので、複製やバックアップが容易で、
複数のホスト間での移動も可能であったりと数多くの利点があります。
サーバー仮想化は、システム構築・運用のスピードと柔軟性を劇的に向上させました。

このサーバー仮想化を使って、
たくさんの仮想デスクトップ(PC用OSを入れた仮想マシン)をつくり、
そこへ多数のユーザーが様々なデバイス(PC,タブレット,スマホ等)から
リモートアクセスできるように構成したものが仮想デスクトップです。

vSANは「複数ホストのディスクをまとめた共有ストレージ」を作り出す

ホストはCPUやメモリだけでなく、もちろんディスクも搭載できます。
vSANは、ホストに搭載されたディスクをまとめて「ひとつのデータ置き場(=ストレージ)」とし、
共有ストレージとして利用できるようにするソフトウェアです。
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vSANがもたらすメリット

コストの削減+省スペース

vSANに仮想マシン(仮想デスクトップも含む)のデータを配置すれば、
追加機器として共有ストレージを用意する必要は無くなります。
機器が減ることで、調達コストだけでなく運用コストの削減も見込むことができます。

均一な機器を追加するだけで、容易にシステム拡張

システムの拡張時には、vSANの最大のメリットともいえる部分が活きてきます。
サーバーを増設する際、データの保存先も増設しなければならないことは多くありますが、
その都度共有ストレージを選定してサイジングを行うのは、相当な手間が掛かります。
場合によってはサーバーとストレージ間のネットワークにも面倒な作業が発生することも。
vSANであれば、同等の構成のホストを追加するだけで済みますので、非常にシンプルです。

vSANならではの機能

加えて、VSANでは仮想マシン1台ごとに、
異なるホストのディスクへ二重三重にデータを複製して配置することで万が一の故障に供えたり、
例えばシステム撤去後もディスクにデータが残ってしまった場合に備え、データを暗号化しておくことができたりと、
エンタープライズITシステムのデータ保存に求められる様々な機能を持っています。

vSANの構成をもう少し詳しく

vSANを利用するには、原則としてホストが最低3台必要となります。
...が、じつはホストが2台でもvSANを組む方法があります。詳しくはこちらをご参照ください。
なおホストの台数に関わらず、統合管理サーバーである vCenter Server が必須となりますのでご留意を。

まず1台のホストの中で、ディスク複数をまとめてディスクグループがつくられ、
スクリーンショット 2019-05-08 20.08.42.png

ディスクグループを複数まとめてvSANの領域全体がつくられます。
スクリーンショット 2019-05-08 20.13.54.png

各ディスクグループには、
キャッシュ領域(一時的にデータを置いて素早く応答するための領域)として使われるディスクが最低1枚必要で、
これには磁気ディスクではなく、高速な読み書きが可能なSSDが使われます。

なお、キャッシュ領域以外も含め、ディスクグループの全てのディスクをSSDとする構成も可能です。
スクリーンショット 2019-05-08 20.20.26.png
この構成は「オールフラッシュ」と呼ばれ、非常に高いパフォーマンスを出すことができます。

vSANは採用実績が豊富なHCI

vSANも含め、サーバーと共有ストレージを同一機器として構成したプロダクトを
「HCI (Hyper Converged Infrastructure)」と呼びます。
現在、様々なオリジナリティを付加したHCIプロダクトが市場に登場していますが、
仮想化のスタンダードであるVMwareのvSANは、その中でも採用実績の豊富さはトップクラスです。

構成の上限について

ディスクグループに含まれるディスクの上限数や、ディスクグループの数、
さらにはvSANを構成するホスト数の上限などが決まっています。
2019年5月現在の情報は、公式ドキュメント、もしくは VMware Configuration Maximums などから確認可能です。


以上、簡単ではありますがvSANのご紹介でした。
また近いうちに、より詳しい技術的な内容をご説明する予定です。

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 2課
幸田 章 - Akira Koda -

VDI を含む仮想化、クラウド、NVIDIA GPU によるコンピューティング(グラフィックス, AI/HPC)等のプリセールス・エンジニア業務に従事。
VMware vExpert 2015-2022