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DELL EMC PowerVault ME4024の紹介 第1回 概要・機能

ストレージ / HCI
2019.09.03

こんにちは。SB C&Sで仮想化製品のプリセールスエンジニアをしている笠原です。

早速ですが、これから5回に渡って、DELL EMCのストレージ製品である「PowerVault ME4024」についての連載をしていきます。仮想基盤の共有ストレージとして使用することを想定した連載となりますが、その他の用途で使う場合にも対応した内容となっています。

第1回 製品概要と機能
第2回 ストレージのセットアップ
第3回 vSphereの共有ストレージとしての構成手順
第4回 ADAPTについて
第5回 まとめ

それでは、第1回の製品概要と機能の紹介をしていきます。

製品概要

本製品は、DELL EMCのストレージではエントリークラスのPowerVault ME4シリーズの一種です。ME4シリーズのうち、2Uで2.5インチのディスクが24本搭載できるモデルがME4024となります。
IMG_0930.jpeg

接続は8/16Gb FC、10Gb iSCSI SFP+、1/10Gb iSCSI BaseT、12Gb SASで行えます。価格はエントリークラスでも、高いIO性能や、最大3PBの大容量、さまざまなストレージ機能を有しており、コストパフォーマンスのよい製品です。また、追加ライセンスなどいらず、全てのソフトウエア機能が標準で搭載されています。そして、セットアップや管理が簡単にできます。

仕様・機能

次に、製品の仕組みや機能、用語についてご紹介します。

RAID

仮想モード利用時、RAID0、RAID1、RAID5、RAID6、RAID10、ADAPTをサポートしています。ADAPTは高速なリビルドを実現する独自の分散RAIDとなっています。次回以降の記事で詳しく解説します。

2つのストレージタイプ

・仮想モード
ディスクグループからプールを構成し、プールからボリュームを作成します (次の項目参照)。 階層化やシンプロビジョニング、SSD Read Cacheなどの機能が利用できます。 この連載では基本的に仮想モードが前提の話となります。

・リニアモード
ディスクグループからボリュームを作成します。設定を簡単に行うことができます。

仮想モードのボリューム構成

複数のディスクでRAIDを組んだグループが1つの「ディスクグループ」となります。複数のディスクグループをまとめて1つの「プール」を作ります。プールの一部を切り出したものが「ボリューム」となり、サーバーへマウントできます。例えばESXiへマウントした場合、ボリュームがデータストアとなります。

ボリューム構成.jpg

プールはコントローラの数まで作ることができます。

階層化

使用頻度の高いデータを上位階層に自動で移動し、使用頻度の低いデータを下位階層に自動で移動することによって効率のよいデータアクセスを実現する機能です。

1つのプールに複数のディスクグループを作成した時に、ディスクグループに対して自動で階層が決まります。階層化はアクセス頻度の高く、IO性能のよい順から「パフォーマンス」、「標準」、「アーカイブ」の3階層を作ることができます。パフォーマンス層はSSD、標準階層とアーカイブ階層はHDDが使われます。

キャプチャ 階層化.JPG

SSDリードキャッシュ

頻繁にアクセスされるデータに対してSSDをリードキャッシュとして使用し、高速なデータアクセスを実現する機能です。

階層化とイメージは近いですが、階層化はSSDを保存領域として使用できることに対し、SSDリードキャッシュではSSDにデータが保存されません。階層化でSSDのグループを作ることと、SSDのリードキャッシュを同時に使うことはできません。

スナップショット

ある時点のボリュームの状態を保持し、必要な時にその状態へ復旧できる機能です。

本製品はそのボリュームのポインタ情報のみを保存し、その後変更があったブロックのみを新しいブロックに書き込まれるスナップショット方式を採用しています。それにより、必要最低限の容量の消費量で、スナップショット保持によるパフォーマンス劣化を起こさずにスナップショットの取得ができます。スナップショットはボリュームとしてサーバーにマウントすることも可能なので検証環境などに使用可能です。スナップショットの取得はスケジューリング可能です。

vSphere連携

vCenter PluginをインストールすることによってVMwareのvSphere Clientからストレージを一部管理することが可能となります。また、VAAIと連携し、仮想マシンの静止点レベルでのスナップショットが取得可能となります。

シンプロビジョニング

ボリュームに割り当てた容量ではなく、実際にデータが保存された容量が空き容量から減少する機能です。それによって、実際の容量よりも多くの容量をボリュームに割り当てること(オーバーコミット)ができます。

レプリケーション

リモートサイトにあるME4シリーズにボリュームをレプリケーションする機能です。バックアップや災害対策として使用可能です。

まとめ

以上がDELL EMC PowerVault ME4024の概要と機能のご紹介となります。エントリークラスといえど機能が充実しているということがお分かりいただけたでしょうか。

詳しいドキュメント類は以下からご覧いただけます。
https://www.dell.com/support/home/jp/ja/jpbsd1/product-support/product/powervault-me4024/docs

各機能の検証結果などについてはSB C&Sまでお問い合わせください。次回はセットアップ手順について説明していきたいと思います。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 ICT事業戦略・技術本部 技術統括部 第3技術部 2課
笠原 規裕

2018年入社。
西日本エリアにて仮想化製品のプリセールスエンジニアに従事。
最近では仮想基盤のストレージに焦点を当てた検証を粛々と実施。