こんにちはー! GIGAスクール検証し隊です!
すでにGIGAスクール検証結果の動画はご覧くださいましたか?
このブログでは【検証で使用したAPの特長や仕様を紹介】をしちゃいます!
<紹介の流れ>
1...............APの特長
2...............各APの仕様や管理方法
◆1............APの特長
●特長1:【管理方法について】
APの管理方法ですが、今回のブログでは大きく4つに分類し紹介します!
大まかなイメージは下図をご覧ください。
今回はそれぞれの管理方法の主なメリット/デメリットを紹介します!
※管理方法におけるRFの調整など技術的なお話は
「GIGAスクール対策~技術解説編~」をご覧ください。
※当社エンジニアが執筆している下記のブログでは、違った視点の説明や屋内/屋外APの違いなどを
説明しておりますので、興味のある方は合わせてご覧ください。
「【ワイヤレスブログ 第2回】アクセスポイントの管理方法と屋内用/屋外用アクセスポイントの違い」
●自律型
・対象AP:なし
・メリット
1台ずつ設定を行うため、APごとに設定を変えることができます。
BuffaloやTP-Linkなどコンシューマーモデルもリリースしているメーカーの自律型のUIは
非常にシンプルで知識がないユーザーでも迷うことなく設定することができます。
・デメリット
基本的には1台ずつ設定する必要があるため、台数が多くなった場合(大体10台以上)に
事前の設計や設定の数が膨大となり、導入までにかなりの作業時間が必要となります。
また、電波管理において、周囲のAPの状況を取得して調整することができず
自身のみの管理となります。
そのため、自身が干渉を受けた際にチャネルを変更したが隣接APも同じチャネルを使用したため
新しい干渉が発生してしまったなどという事態に発展します。
自動では問題が起きるからと手動で管理しようにも無線環境は時々で変化しますので
手動管理は現実的ではありません。
結論として台数が多くなった場合、「設定」「管理」の両面から見て導入は厳しいです。
●集中管理型
・対象AP:C9120
・メリット
APが数十台以上の非常に多数のAPを管理する場合でも
物理コントローラー1台(冗長化するなら2台)で
全APを設定/管理することができます。
また、他の管理型と比べて多機能
(APの動作モードやRFパラメーターの細かなチューニングなど可能)な場合が多いです。
C9120を管理したC9800はCiscoの従来のコントローラー(WLC3504など)とOSが異なっており
WebUIは非常に見やすくなっており、トラブルシューティングツールも豊富になっています。
・デメリット
物理コントローラー分のコストがかかります。
Aruba、Ciscoの「仮想コントローラー型」はライセンスコストがかかりませんが
「集中管理型」で管理する場合は管理するためのライセンスが必要です。
※Ciscoは「Mobility Express」対象APで仮想コントローラー型で運用する場合にライセンス不要です。
多機能ゆえに必要となる知識量が多いです。
●仮想コントローラー型
・対象AP:AP-345、AP-515、AP-505、AP2800、AP1850
・メリット
複数台のAPを一台のAPの内臓コントローラーによって管理することが可能です。
物理コントローラーは不要です。
管理のためのライセンスが不要なことが多いです。
設定したエンジニアの主観が含まれてしまいますが
Arubaの仮想コントローラー型は
ロールベースのアクセスコントロールができるなど
他の仮想コントローラー型よりも多機能であり
Ciscoの「Mobility Express」は必要最低限の機能は備えつつ
シンプルでまとまって見やすく、設定も容易な印象です。
・デメリット
同じネットワークセグメントのAPしか管理できません。
(例:マスターAPのIPが192.168.1.1/24の場合、192.168.1.2~192.168.1.254までのIPを持つAPを管理)
したがって、セグメントがいくつも作られているようなある程度の規模のネットワークでは
マスターAPが多数必要となってしまい、結果的に自律型に近い手間が発生してしまいます。
●クラウド管理型
・対象AP:MR45、MR33
・メリット
集中管理型や仮想コントローラー型において
コントローラー(もしくはAPのモデル)を選ぶ際に
APが何台まで管理可能か?というサイジングを気にする必要がありますが
クラウド管理型はサイジングを気にする必要はありません。
APの数が増えてもコントローラーを買いなおす必要はなく
APとライセンスを購入してネットワークに追加するだけですので
拡張性に優れています。
すべてのAPをクラウドのダッシュボードで管理することができます。
またどこからでもアクセス可能なクラウド型なので、管理者が現地にいる必要がなく
いつでもどこからでも設定/管理が可能です。
遠隔でトラブルシューティングを行うことが可能です。
・デメリット
APの設定はクラウドに行い、APはクラウドから設定内容をダウンロードします。
したがって、インターネットに通信できる環境が必須です。
インターネットに通信しないとAPが使用できませんので
インターネット通信回線の冗長など注意が必要です。
APをクラウドで管理をしているため、クラウドのダッシュボードで
確認できる情報はリアルタイムではなく多少遅延します。
(私の所感としてはほとんど気になりませんが・・・)
●特長2:【デュアル5GHz】
・対象AP:AP-345-JP、AP2800
※C9120AXI-Qもデュアル5GHz対応のAPですが、今回の検証ではバランシングされずに
片方のラジオに検証端末が全台接続してしまい、デュアル5GHzの環境を
実現できなかったため、ここでは除外しています。
実現できなかった背景などは
「GIGAスクール対策~検証裏話編~」をご参照ください。
※またデュアル5GHzを採用する場合は、通常よりも多く、5GHzのチャネルを使用しますので
チャネル設計(チャネルボンディング、干渉、DFSなど)で注意する点が増えてきますが
詳しくは当社のエンジニアが執筆した
「【ワイヤレスブログ 第11回】DFS」をご参照ください。
さて、デュアル5GHzのAPの検証結果ですが、どのAPも動画の再生具合やスループットに関して、かなりいい結果を出しています。
<スループット検証Downの結果>
AP-345...296.44Mbps
AP2800...351.9Mbps
上記以外のAPの平均:170.18Mbps
パフォーマンスを重要視する場合は、該当モデルを一考してみてはいかがでしょう。
さらにAP-345、AP2800は管理に関して
少数のAPを簡単に管理する「仮想コントローラー型」だけではなく
多数のAPを物理コントローラーで一元管理できる「集中管理型」、
どこにいても管理することが可能な「クラウド管理型」という選択肢もあるので
パフォーマンス、管理面の柔軟性ともに優れています。
●特長3:【Wi-Fi6対応】
・対象AP:C9120、AP-515、AP-505、MR45
今回の検証で使用した検証端末は「802.11ax(Wi-Fi6)」に非対応の端末だったため
Wi-Fi6対応APの本領は確認できませんでした。
ですが、Wi-Fi6クライアントが普及した環境においては
高パフォーマンスが期待されますので
将来的にWi-Fi6対応のクライアントを導入する予定があれば
今のうちから導入の検討をしていただく価値はあるかと思います。
●特長4:【初期セットアップや管理の容易さ】
今回使用したAPのUIはすべて"日本語対応"でした。
初期セットアップや管理方法が全く分からなかったAPはありませんでしたが
その中でも特に初期セットアップや管理が容易だったAPを紹介します。
※ある程度設定したエンジニアの主観が入りますが、ご容赦ください。
容易だったAPは大きく分けると2パターンあります。
・パターン1:感覚で操作可能なわかりやすいUI
・対象AP:AP2800、AP1850
APを設定する際に気になるのが
「この機能ってAP設定のタブにないけど、どこで設定するの?」
「●●を有効にするためには複数個所で設定が必要」
などの
・思った箇所で設定できず設定する場所が不明
・一つの機能を有効にするのに複数個所で設定しないといけない
といったわからないやややこしいがあるかどうかだと思います。
CiscoのMobility Expressですが機能数は物理コントローラー管理と比べると
かなり少なくなりますが、その分、設定箇所で迷うことがなく
「モニタリング」「設定」とタブがはっきり分かれており、「設定」タブの中も
「WLAN」や「アクセスポイント」などわかりやすいうえに項目が少ないので
迷うことなく設定ができます。
・パターン2:モニタリング/トラブルシューティングツールが豊富にもかかわらず感覚で操作可能なUI
・対象AP:MR33、MR45
機能が豊富な分、「パターン1」よりも必要な知識は増えますが
UIのタブの配置などが非常にわかりやすく作られており、それほど細かくないので
操作をするのにマニュアルを読み込む必要もなく、少し操作すればすぐに習得できるGUIです。
基本的にはMerakiダッシュボード(クラウド)でAPの設定内容(SSIDや電波設定)を
登録しておき、APをネットワークに接続するとクラウドから設定内容を読み込むので
複数APの設定をAP接続前から設定を行えるという点が複数台のAPを接続する際にかなり便利です。
さらに、パケットキャプチャや電波状況診断など
遠隔でトラブルシュートなどを行うためのツールが多く
管理者が現地にいない場合などに非常に有効です。
◆2............各APの仕様や管理方法
この章では冒頭で紹介したAPの
・簡単な仕様
・対応する管理方法
・今回の検証で採用した管理方法
を紹介します。
【今回の検証で採用した管理方法のまとめ】
【Aruba】
●AP-345
<基本的スペック>
・アンテナ :4×4
・空間ストリーム数 :4空間ストリーム
・対応規格 :802.11 a/b/g/n/ac wave2
・電源 :PoE対応(802.3at)
・対応する管理方法 :集中管理型、仮想コントローラー型、クラウド管理型
・今回の検証時のAP管理方法:仮想コントローラー型
●AP-515
<基本的スペック>
・アンテナ :4×4
・空間ストリーム数 :4空間ストリーム
・対応規格 :802.11 a/b/g/n/ac/ax
・電源 :PoE対応(802.3at)
・対応する管理方法 :集中管理型、仮想コントローラー型、クラウド管理型
・今回の検証時のAP管理方法:仮想コントローラー型
●AP-505
<基本的スペック>
・アンテナ :2×2
・空間ストリーム数 :2空間ストリーム
・対応規格 :802.11 a/b/g/n/ac/ax
・電源 :PoE対応(802.3af/at)
・対応する管理方法 :集中管理型、仮想コントローラー型、クラウド管理型
・今回の検証時のAP管理方法:仮想コントローラー型
【Cisco】
●C9120
・アンテナ :4×4
・空間ストリーム数 :4空間ストリーム
・対応規格 :802.11 a/b/g/n/ac/ax
・電源 :PoE対応(802.3at)
・対応する管理方法 :集中管理型、仮想コントローラー型、クラウド管理型
・今回の検証時のAP管理方法:集中管理型
●AP2800
<基本的スペック>
・アンテナ :4×4
・空間ストリーム数 :3空間ストリーム
・対応規格 :802.11 a/b/g/n/ac wave2
・電源 :PoE対応(802.3at)
・対応する管理方法 :集中管理型、仮想コントローラー型、クラウド管理型
・今回の検証時のAP管理方法:仮想コントローラー型
●AP1850
<基本的スペック>
・アンテナ :4×4
・空間ストリーム数 :3空間ストリーム
・対応規格 :802.11 a/b/g/n/ac wave2
・電源 :PoE対応(802.3at)
・対応する管理方法 :集中管理型、仮想コントローラー型、クラウド管理型
・今回の検証時のAP管理方法:仮想コントローラー型
【Cisco Meraki】
●MR45
<基本的スペック>
・アンテナ :4×4
・空間ストリーム数 :4空間ストリーム
・対応規格 :802.11 a/b/g/n/ac/ax
・電源 :PoE対応(802.3at)
・対応する管理方法 :クラウド管理型
・今回の検証時のAP管理方法:クラウド管理型
●MR33
<基本的スペック>
・アンテナ :2×2
・空間ストリーム数 :2空間ストリーム
・対応規格 :802.11 a/b/g/n/ac wave2
・電源 :PoE対応(802.3af)
・対応する管理方法 :クラウド管理型
・今回の検証時のAP管理方法:クラウド管理型
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技術本部 技術統括部 第2技術部 1課
石川 隆文