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基礎から学ぶ!vSAN検証環境構築 第4回 vSANのメンテナンス

仮想化
2022.03.14

こんにちは。SB C&Sの石井です。
この記事は「基礎から学ぶ!vSAN検証環境構築」シリーズ 第4回の「vSANのメンテナンス」についてです。今回は、vSAN環境でESXiをメンテナンスモードに移行した際の動作を確認します。

1. vSANにおけるメンテナンス

運用を開始したvSANクラスターでは、停電対応やハードウェア障害に伴う保守作業などで、ESXiホストを停止する必要がでてきます。その際に利用するものがメンテナンスモードです。メンテナンスモードに切り替える場合は、仮想マシンを別ホストに移行するかシャットダウンする必要があります。このときvSphere DRSが有効であれば、仮想マシンは自動的にvMotionで退避されます。
つまり、メンテナンスモードにしてからESXiホストを停止することで、仮想マシンのシャットダウンし忘れやデータ破損を防止できます。

vSAN環境においてもメンテナンスモードは重要であり、データ移行について3つのモードが用意されています。仮想マシンに設定されているストレージポリシーやメンテナンス目的の違いにより、「アクセシビリティの確保」、「データの移行無し」、「全データの移行」の3つからメンテナンスモードのオプションを選択します。

「アクセシビリティの確保」では、仮想マシンがデータにアクセス可能な状態を維持します。

下図の例をご覧ください。前回の投稿で紹介したように、FTT 1以上の仮想マシン(vm-a1)の場合はデータが必ず冗長化されています。そのため、メンテナンスによってホストが停止したとしても、他のホストにあるデータにアクセス可能な状態が継続されます。

対して、FTT 0の仮想マシン(vm-a2)の場合はデータが冗長化されないので、ホストがメンテナンスモードになってしまうとデータにアクセスできなくなってしまいます。そのため、メンテナンスモードに切り替わる前に、別ホストにコンポーネントが移行されます。

アクセシビリティの確保.png


「データの移行無し」では、メンテナンスモードに切り替わる前に仮想マシンのデータが移行されません。つまり、ポリシー設定やデータ配置の状況にもよりますが、仮想マシンがデータにアクセスができなくなってしまう可能性があります。これは、停電対応時など、全てのホストをシャットダウンする場合に選択するオプションです。

データの移行無し.png


「全データの移行」では、ストレージポリシーの設定に限らず、メンテナンスモードにするホストの全てのコンポーネントに対して移行が行われます。長時間ホストを停止する場合や、クラスターからホストを削除する場合に選択するオプションです。

全データの移行.png

以上がメンテナンスモードのオプションによる動作です。それでは、実際にメンテナンスモードの動作を確認していきます。

2. 使用する環境

今回使用した環境は以下の通りです。以前の「基礎から学ぶ!vSphere検証環境構築」シリーズで構築した環境をベースにしていますが、vSANにあわせてESXiホストのハードウェア構成を変更しています。

  • ハードウェア:Nested ESXiとして作成した仮想マシン3
    ※今回の検証環境ではvSANクラスターを構成するために、各仮想マシンにvSAN用のディスク容量を追加しています。詳しくは以下の環境情報をご覧ください。
  • ソフトウェア:VMware ESXi 7.0 Update 3c vCenter Server Appliance 7.0 Update 3c
    ※「基礎から学ぶ!vSphere検証環境構築」で利用していたiSCSIストレージは不要になります。
現在、7.0 Update 3bは重大な製品不具合が発生しているため、製品版および評価版共にソフトウェアがダウンロードできなくなっています。
本番環境では7.0 Update 3c以降を使用してください。
【参考】https://kb.vmware.com/s/article/86398


今回の環境では、以下の情報を使用しています。

コンポーネント ホスト名 IPアドレス ディスク追加
ESXi-A1 esxi-a1.demo.local 192.168.255.10/24 キャッシュディスク:30GB×1
キャパシティディスク:300GB×2
ESXi-A2 esxi-a2.demo.local 192.168.255.20/24 キャッシュディスク:30GB×1
キャパシティディスク:300GB×2
ESXi-A3 esxi-a3.demo.local 192.168.255.30/24 キャッシュディスク:30GB×1
キャパシティディスク:300GB×2
ESXi-A4
(追加用ホスト)
esxi-a4.demo.local 192.168.255.40/24 キャッシュディスク:30GB×1
キャパシティディスク:300GB×2
vCSA vc-a1.demo.local 192.168.255.100/24 -

下図の赤枠部分を設定変更していきます。

全体像.png

3. 事前準備

メンテナンスモードへの切り替え前に、前回の投稿で仮想マシンのストレージポリシーを変更してある場合は、[vm-a1] 仮想マシンのストレージポリシーをデフォルトであるFTT 1のポリシーに戻しておきます。

1. ストレージ ポリシーを編集します。

  • [vm-a1] をクリックします。
  • [構成] をクリックします。
  • [ポリシー] をクリックします。
  • [仮想マシン ストレージ ポリシーの編集] をクリックします。

手順-1.png

2. ストレージ ポリシーを変更します。

  • 仮想マシン ストレージ ポリシーを [vSAN Default Storage Policy] に変更します。
    [vSAN Default Storage Policy] はデフォルトで用意されているRAID 1のストレージポリシーです。
  • [OK] をクリックします。

手順-2.png

4. メンテナンス ~ アクセシビリティの確保 ~

vSANクラスターのESXiホストをメンテナンスモードにします。
まずは、データの退避モードとして「アクセシビリティの確保」を選択した時のコンポーネントの配置を確認します。

1. 仮想マシンの配置を確認します。

  • [Cluster] をクリックします。
  • [監視] をクリックします。
  • [vSAN] をクリックします。
  • [仮想オブジェクト] をクリックします。
  • [vm-a1][vm-a2] 左の [>] をクリックします。
  • [Hard disk 1] をクリックします。
  • [配置の詳細の表示] をクリックします。

手順-3.png

2. コンポーネントの配置場所を確認します。

  • 本環境ではvm-a1vm-a2 共に [esxi-a1.demo.local]に配置されていました。
  • [閉じる] をクリックします。

手順-5.png

3. ホストをメンテナンス モードに切り替えます。

  • [esxi-a1.demo.local] を右クリックします。
    ※本手順では、[esxi-a1.demo.local]に対してメンテナンスを行いますが、実際に操作を行う際には、vm-a1vm-a2 共にコンポーネントが配置されているホストをメンテナンス モードに切り替えてください。
  • [メンテナンス モード]をクリックします。
  • [メンテナンス モードへの切り替え]をクリックします。

手順-6.png

4. メンテナンス モードの事前チェック画面に移動します。

  • vSAN データの移行が [アクセシビリティの確保]になっていることを確認します
  • [事前チェックに移動]をクリックします。

手順-7.png

5. 事前チェックをします。

  • [事前チェック] をクリックします。
  • チェックが終了したらテストの結果を確認します。ホストがメンテナンス モードにできることを確認します。
  • [メンテナンス モードに切り替える] をクリックします。

手順-8.png

6. ポップアップが表示されます。[OK] をクリックします。

手順-9.png

7. メンテナンス モード切り替え後の、仮想マシンの配置を確認します。

  • [esxi-a1.demo.local(メンテナンス モード)] と表記されていることを確認します。
    ※メンテナンス モードになるまで13分程度かかります。
  • [Cluster] をクリックします。
  • [監視] をクリックします。
  • [vSAN] をクリックします。
  • [仮想オブジェクト] をクリックします。
  • [vm-a1][vm-a2] 左の [>] をクリックします。
  • [Hard disk 1] をクリックします。
  • [配置の詳細の表示] をクリックします。

手順-10.png

8. コンポーネントの配置場所を確認します。

  • vm-a1 [esxi-a1.demo.local] に属していたコンポーネントが[なし]になり、新たに [持続性コンポーネント] が作成されていることを確認します。
    ※持続性コンポーネントとは、データの冗長性が失われている状態の間に一時的に作成されるコンポーネントで、差分のデータが格納されます。メンテナンスモードを終了すると、元のコンポーネントと持続性コンポーネントで同期処理が行われ、完了後に削除されます。
  • vm-a2[esxi-a1.demo.local] に属していたコンポーネントが他のホストに移動されていることを確認します。
  • [閉じる] をクリックします。

手順-11.png


続いて、メンテナンスモードを解除して、コンポーネントの配置を確認します。

1. メンテナンス モードを解除して、コンポーネントの配置を確認します。

  • [esxi-a1.demo.local(メンテナンス モード)] を右クリックします。
  • [メンテナンス モード] をクリックします。
  • [メンテナンス モードの終了] をクリックします。

手順-12.png

2. メンテナンス モード解除後の、仮想マシンの配置を確認します。

  • [esxi-a1.demo.local] のメンテナンス モードが解除されていることを確認します。
    ※メンテナンスモードが解除されるまで13分ほどかかります。
  • [Cluster] をクリックします。
  • [監視] をクリックします。
  • [vSAN] をクリックします。
  • [仮想オブジェクト] をクリックします。
  • [vm-a1][vm-a2] 左の [>] をクリックします。
  • [Hard disk 1] をクリックします。
  • [配置の詳細の表示] をクリックします。

手順-13.png

3. コンポーネントの配置場所を確認します。

  • vm-a1の持続性コンポーネントがなくなり、[esxi-a1.demo.local] にあるコンポーネントが[アクティブ] に戻っていることを確認します。
  • vm-a2のコンポーネントはそのまま変わらず [esxi-a2.demo.local] にあることを確認します。
  • [閉じる] をクリックします。

手順-14.png

5. メンテナンス ~ データの移行無し ~

続いて、データの退避モードとして、「データの移行無し」時のコンポーネントの配置を確認します。なお、基本的な手順は「アクセシビリティの確保」の場合と変わらないため、ここでは一部簡略化して記載します。

1. ホストをメンテナンス モードに切り替えます。

  • 対象のホストから [メンテナンス モードへの切り替え] をクリックします。
    ※本手順では、[esxi-a2.demo.local] に対してメンテナンスを行いますが、実際に操作を行う際には、vm-a1vm-a2 共にコンポーネントが配置されているホストをメンテナンス モードに切り替えてください。
  • vSAN データの移行を [データの移行なし] に変更します。
  • [事前チェックに移動]をクリックし、事前チェック画面からメンテナンス モードへの切り替えを行います。

手順-15.png

2. メンテナンス モードへ切り替え後の仮想マシンの配置を確認します。

  • vm-a1 [esxi-a2.demo.local] に属していたコンポーネントが [なし] になり、新たに [持続性コンポーネント] が作成されていることを確認します。
  • vm-a2のコンポーネントが [なし] になっていることを確認します。
  • [閉じる] をクリックします。

手順-16.png

3. メンテナンス モードを解除して、少し待ってから仮想マシンの配置を確認します。

  • vm-a1の持続性コンポーネントがなくなり、[esxi-a2.demo.local] にあるコンポーネントが[アクティブ] に戻っていることを確認します。
  • vm-a2のコンポーネントが [アクティブ] になっていることを確認します。
  • [閉じる] をクリックします。

手順-17.png

6. メンテナンス ~ 全データの移行 ~

最後に、データの退避モードとして「全データの移行」を選択した時のコンポーネントの配置を確認します。なお、基本的な手順は「アクセシビリティの確保」と変わらないため一部簡略化して記載します。

1. ホストをメンテナンス モードに切り替えます。

  • 対象のホストから[メンテナンス モードへの切り替え]をクリックします。
    ※本手順では、[esxi-a2.demo.local] をメンテナンスモードに切り替えますが、実際に操作を行う際には、vm-a1、vm-a2 共にコンポーネントが配置されているホストをメンテナンス モードに切り替えてください。
  • vSAN データの移行を [全データの移行] に変更します。
  • [事前チェックに移動]をクリックし、事前チェック画面からメンテナンス モードへの切り替えを行います。

手順-18.png

2. メンテナンス モードへ切り替え後の仮想マシンの配置を確認します。

  • vm-a1 [esxi-a2.demo.local] に属していたコンポーネントが、別ホストに移行していることを確認します。
  • vm-a2 [esxi-a2.demo.local] に属していたコンポーネントが、別ホストに移行していることを確認します。
  • [閉じる] をクリックします。

手順-19.png

3. メンテナンス モードを解除して少し待ってから、仮想マシンの配置を確認します。

  • vm-a1vm-a2のコンポーネントは、メンテナンスモードを解除する際には元の場所に戻されず、解除前と変わらないことを確認します。
  • [閉じる] をクリックします。

手順-20.png

7. Tips ~ vSANクラスターのシャットダウン・再起動 ~

停電対応でのメンテナンスなど、vSANクラスター全体を停止する場合には、全てのホストをメンテナンスモードにする必要があります。

以前までは以下のKBに記載されている手順を実行する必要がありました。
https://kb.vmware.com/s/article/70650?lang=ja

vSAN 7.0 U3からは、GUI形式のウィザードに従ってvSANクラスターをシャットダウンできるようになりました。ここからは、クラスターのシャットダウンウィザード機能による手順を紹介します。

本環境では、vCneter Server AppliancevSANクラスター内にデプロイされています。そのため、クラスターをシャットダウンすることにより、vCenter Serverにもアクセスできなくなります。このウィザードではvCnter Serverが起動されているホストのことをオーケストレーション ホストと呼び、vCenter Serverを含めたクラスターの再起動にも対応しています。オーケストレーション ホストのアドレスをメモしておくことにより、シャットダウンプロセスを監視できるようになり、vCenter Serverに接続できない間に問題が発生した場合もトラブルシュートしやすくなります。

1. vSANクラスターのシャットダウンをします。

  • vCenter Server以外の全ての仮想マシンをシャットダウンしてから、[Cluster] を右クリックします。
  • [vSAN] をクリックします。
  • [クラスタのシャットダウン] をクリックします。

手順-21.png

2. シャットダウンの事前チェックが行われます。チェックマークが緑色になっていることを確認し、[次へ]をクリックします。

※赤色のマークがついている場合は、問題を解決してから実行してください。

手順-22.png

3. 今回は、vCenter ServerがvSANクラスター内にあるため通知が表示されます。確認し、[次へ] をクリックします。

手順-23.png

4. シャットダウンをします。

  • シャットダウンの原因にて、任意の理由を選択します。
    ※今回は、[スケジュール設定されたメンテナンス]にしました。
  • [シャットダウン] をクリックします。

手順-24.png

以上でクラスターのシャットダウンは終了です。このように、ウィザード形式で簡単にシャットダウンを行うことができます。

起動時には、全てのホストがパワーオンされるとvCenter Serverが自動起動されます。そして、[クラスタの再起動] をクリックするとvSANのサービスが利用可能になります。

1. vSANクラスターの再起動をします。

  • ESXiホストをパワーオンし、vCenter Severが再起動されたら [Cluster] を再起動します。
  • [vSAN] をクリックします。
  • [クラスタの再起動] をクリックします。

手順-25.png

2. ポップアップが表示されます。[再起動] をクリックすると、あらためて再起動されるわけではなく、そのままvSANのサービスが起動されます。

手順-26.png

以上でクラスターの再起動は終了です。

今回は、vSANのメンテナンスについてご紹介しました。これで、基本的な機能や手順が検証できるvSAN検証環境が用意できました。

今後は、VMware Horizonの検証環境構築シリーズを連載予定です。是非楽しみにしていてください。


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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 ICT事業戦略・技術本部 技術統括部 第1技術部 1課
石井 基久 - Motohisa Ishii -