こんにちは、SB C&Sの羽根です。
2023年4月より、PTCのハイエンド3D CAD「Creo Parametric」の最新バージョンである「Creo 10」が正式にリリースされました。Creo 10ではCADモデルの管理、操作、把握のための新ツールをはじめとして、モデルベース定義(MBD)、シミュレーションなどで各種新機能が追加されています。
本記事ではCreo 10のアップデート内容を簡単にご紹介します。
複合材の設計と製造(Ver 10.0.1でリリース)
複合材は強度、耐久性、軽量性に優れた材料として、現在さまざまな産業で採用が進んでいます。Creo 10では複合材の設計および製造準備、解析に必要な機能が提供されます。
- プライとコアの作成、IMLキルト作成などの設計機能
- Creo Simulateと統合などのシミュレーション機能
- 個別のプライのドレーピングや、文書化、製造機能
電動化のための設計
Creo 10ではケーブルとハーネスを設計するためのツールが改善されました。配線ハーネスの作成および管理がより効率的になっています。
- ケーブルのハーネスの分割 / マージ機能
- ECADでペーストマスク、穴パラメータの対応
人間工学のための設計
Creo ではマネキン(人体モデル)を組み込み、製品の安全基準を考慮しながら設計を進めることができます。Creo 10では、新たに視野機能が追加され、オブジェクトを選択して反射解析を実施できるようになりました。
- 視野機能で、オブジェクトを選択して反射解析が実施可能に
- 複数のリーチ領域に対応(人差し指、中指、親指、手のひらの中心)
生産性と使いやすさ
Creo はアップデートのたびにユーザーの業務の簡素化および迅速化を実現しています。Creo 10ではマルチボディ設計、サーフェス管理、モデルツリー管理などの領域でアップデートが実施されました。
- スケッチャー投影 / オフセット機能の強化
- マルチボディの分割 / トリム機能や、ブール演算で外観の適用
- ワープの延長ツール / スパインツールの強化
モデルベース定義(MBD)とデジタルスレッド
設計業務を円滑にするための手法としてMBD(Model-Based Definition)がありますが、Creo でももちろんMBDの機能を搭載しています。Creo 10ではいくつかのMBDツールの機能強化が実施されました。
- シンボルと表面仕上げをMBDの他のアノテーションに関連付け
- GD&T Advisorの一般輪郭度交差のセマンティック動作を改善
シミュレーション
Creo で使用可能な Creo Simulation Advancedの機能強化が実施されました。
- Neo-Hookean超弾性、線形異方性弾性、双線形塑性などの非線形材料に対応
- CSL(Creo Simulation Live)の接触シミュレーションのオプションの強化
ジェネレーティブデザイン
Creo では強度、材料や製造方法の機能要件、設計目標を設定することで、AIによりいくつもの設計パターンを生成することが可能です。Creo 10ではこの機能(Generative Design)にいくつかの機能強化が実施されています。
- 回転対称拘束条件に対応
- 1点を通るリモートフォース荷重に対応
製造
Creo 10では付加製造と除去製造の両方の機能が改善されました。
- 3つの新しいビームセル、オーセチック格子、IWPセルの追加
- 式駆動の格子でシミュレーションベースの可変肉厚に対応
さいごに
Creo 10のアップデート内容は以上となります。
内容について詳細を知りたい場合、下記のページにてCreo 10のアップデート内容をシート形式で公開しておりますので、ぜひダウンロードしてみてください。
資料ダウンロード先:IT Exchange「Creo ページ」
また現在Creo 10.0.0.0がどなたでも30日間無料でお試しいただけるトライアル版を公開しています。一度触ってみたい!という方は下記のURLよりお申し込みください。
トライアル申し込み先:Creo特設ページ
他のおすすめ記事はこちら!
著者紹介
SB C&S株式会社
クラウド・ソフトウェア推進本部
CAD&ドローン&AR事推課
羽根 隆嘉