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Nutanix AOS 7.0 / Prism Central pc.2024.3の新機能紹介

ストレージ / HCI
2025.01.14
※この記事は、Nutanix社の公開情報をもとに作成しております。その後の修正やアップデートについてはメーカー最新のリリースノートをご確認ください。

はじめに

こんにちは、SB C&Sの友松です。この記事では、NutanixのコアソフトウェアであるAOSのバージョン「7.0」および、Prism Central バージョン「pc.2024.3」の新機能についてご紹介します。なお、AOS 7.0は2024年12月4日、pc.2024.3は2024年12月5日にリリースされました。

AOS 7.0リリース時点では、バージョン「6.5~6.10(LTS)」が一般的に利用されていますが、今後は7.x.x系がリリースされてくる見込みですので、今のうちから情報収集されることをおすすめします。

LTS/STS の廃止とNCI Release Modelについて

AOS 7.0からは、これまでの「LTS/STS」というリリースの考え方が廃止され、新たに「NCI Release Model」というリリースおよびサポート期間の考え方が導入されております。NCI Release Modelでは、「新しいバージョンのリリースから15か月間のメンテナンスと9か月間のサポート」に統一されるようです。詳細についてはリンク先をご参照ください。

参考リンク: 新しいNutanixライフサイクル「NCI Release Model」の紹介
https://licensecounter.jp/engineer-voice/blog/articles/20241223_nutanix_8.html

AOS 7.0/pc.2024.3 で追加された主な新機能

AHV 10.0の登場(セマンティックバージョニング)

今回のAHVリリースからバージョンの数え方が変更となり、新しく「AHV 10.0」が登場しました。これまでは「2022.0304.xxx」といった採番でしたが、今後はメジャーバージョンやマイナーバージョン、パッチなどが「10.x.x.xx」といった人間が理解しやすいバージョン番号として管理されるようです。

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New and Updated Features | AHV 10.0
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Release-Notes-AHV-v10_0:top-features-updates-ahv-r.html


1N&1D 耐障害性3ノードRF3の追加

3ノードクラスターでの耐障害性を高める設定として、「1N&1D(RF3)」という構成が選択できるようになりました。従来のRF2、RF3との違いをまとめたものが以下の表です。
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1N&1Dでは、データのレプリカをはじめから3つ持たせることによって、1ノード+1ディスクといった2か所の同時故障への耐障害性を実現しています。ただし1N&1Dは、迅速な保守対応が困難な遠隔地での障害リスクを軽減するといった、特定の環境を対象として開発された「3ノードクラスター限定」の構成となりますので、新たなRFオプションとして多用するものではなさそうです。4ノード構成ではサポートされておりませんのでご注意ください。

Cluster Fault Tolerance
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Web-Console-Guide-Prism-v7_0:wc-cluster-fault-tolerance-c.html


Prism CentralにVM-VM アンチアフィニティポリシー機能が追加

仮想マシン間のアンチアフィニティポリシー機能がPrism Centralに追加されました。以前のリリースで追加済みのホストアフィニティポリシーと同様で、Prism Centralのカテゴリ機能を利用して仮想マシンにポリシーを適用することができるようになります。

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また、従来型のaCLIコマンドで設定する方法(レガシーアフィニティーポリシー)は、今後のリリースで廃止される可能性が記載されています。現行環境でaCLIによるアンチアフィニティをご使用の場合は、将来的にPrism Centralでの管理に移行する必要があることを覚えておくとよさそうです。

VM-VM Anti-Affinity Policies Defined in Prism Central
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Prism-Central-Guide-vpc_2024_3:mul-anti-affinity-policies-pc-c.html


マルチクラスターLCMインベントリ

各クラスターのLCMインベントリを実行する機能がPrism Centralに追加されました。これまで各クラスターのソフトウェア・ファームウェア管理はPrism Elementからの操作でしたが、今回のアップデートにて、Prism CentralのLCMに「連結クラスタ(Connected Clusters)」という項目が追加され、Prism Central管理下にあるクラスターのLCMインベントリ実行やバージョン情報の参照などができるようになりました。

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この機能はフェーズ1として追加されたようで、将来的にはPrism Centralから各クラスターのソフトウェアやファームウェアをアップグレードできるようになることが予想されます。

Connected Clusters
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Life-Cycle-Manager-Guide-v3_1:top-lcm-connected-clusters-pc-c.html


マルチクラスタープロファイル構成管理

DNSやNTP、Pulseといったクラスターの設定をプロファイルとして作成し、Prism Centralから複数のクラスターに対して一斉配布することができるようになりました。複数のクラスターを展開している環境にて、クラスター個別で設定する手間を省くことができます。

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Settings Profile for Clusters
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Prism-Central-Guide:mul-settings-profiles-clusters-pc-c.html


タスクダッシュボードの改良

Prism Centralのタスク画面が改良されました。タスク一覧でのフィルターの検索機能が強化され、また各タスクをクリックすることで、タスクの詳細が確認できる画面が追加されています。詳細画面では、タスクの実行ユーザーや処理の時間、また関連する子タスクなどが確認できます。

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Tasks View
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Prism-Central-Guide:mul-tasks-view-page-pc-r.html


システムアカウントパスワードの集中管理

Prism Central GUIにて、複数クラスターにおけるAHV、CVM、Prism Centralのシステムアカウント(root, admin, nutanix)のパスワード管理ができるようになりました。AHVのシステムアカウントなど、一部のパスワード管理はこれまでCLIでの操作のみでしたが、今回の機能追加によってGUIでも管理できるようになります。

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また、アカウント個別のステータス状況も表示されますので、パスワードの設定状況が視覚的に確認しやすくなりました。

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System Account Passwords - Centralized Management
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Nutanix-Security-Guide-v7_0:mul-manage-local-password-pc-c.html


Prism Centralからのホストメンテナンスモード管理

Prism Central GUIからの操作で、ホストのメンテナンスモード管理ができるようになりました。この機能は、AHV・ESXiにてサポートされます。Prism Elementからの操作時と同様で、ホストをメンテナンスモードに移行すると、CVMも自動でシャットダウンされます。

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Putting a Host into Maintenance Mode Using Prism Central
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Prism-Central-Guide:mul-putting-host-maintenance-mode-pc-t.html


MST DRにおけるゼロコンピューティングデプロイメント

MST(MultiCloud Snapshot Technology)を利用したこれまでのDisaster Recoveryでは、AWS上に最小構成のNC2(Nutanix Cloud Clusters)環境をパイロットライトとして待機させ、その上にMSTマイクロサービスを提供するVMを展開して、S3へスナップショット取得していました。有事の際には、NC2を拡張してS3からデータをリカバリするといった具合です。

それに対して、今回のアップデートでは、NC2環境を待機させることなく、MSTスナップショットをS3へ直接取得することが可能となりました。そのため有事の際のみ、必要なNC2を迅速に展開してS3からリカバリできますので、コスト効率が良くなりました。また、Nutanix ObjectsもMSTスナップショットの保管先としてサポートされました。これによりオンプレミスのNutanixクラスターへのリカバリといった構成もできるようです。

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MSTは、現在進化の過程にある新機能でもありますので、今後もサポート対象の環境や機能追加が増えてくると考えられます。気になる方は、引き続きアップデート情報をお待ちいただければと思います。

MST DR with Zero Compute Deployment
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Disaster-Recovery-DRaaS-Guide-vpc_2024_3:ecd-ecdr-mst-dr-with-zero-compute-deployment-new-c.html


Nutanix Disaster RecoveryにおけるFlow Network Security Next-Genサポート

Prism CentralでのANC(Atlas Network Controller)によるVLANやVPC環境において、Flow Network Security Next-Gen(FNS)のポリシーも含めたDisaster Recovery(DR)がサポートされました。単一のPrism Centralによって管理される別のクラスターへDRが構成されている場合は、Network ControllerによるVLANおよびVPCスコープのFNSがサポートされます。それに対して、異なるPrism Centralの管理下にあるクラスターへDRが構成されている場合は、Network ControllerによるVLANスコープのFNSのみがサポートされます。

FNS Next-Gen Support for Single-PC Disaster Recovery
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Nutanix-Flow-Network-Security-Guide:fns-1-pc-dr-and-metro-vpc-pc-c.html
FNS Next-Gen Support for Multi-PC Disaster Recovery
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Nutanix-Flow-Network-Security-Guide:fns-2-pc-dr-and-metro-vlan-pc-c.html


NGTクライアント証明書の自動更新

ゲストVMとCVM間の通信で使用されるNGT(Nutanix Guest Tools)クライアント証明書の有効期限を自動更新する機能が追加されました。証明書は、デフォルト1,000日の有効期限を迎えた際に手動更新が必要でしたが、今回のアップデートにて、有効期限が1年未満になると自動で再生成されるようになりました。

Automatic Regeneration of NGT Certificates
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Web-Console-Guide-Prism:man-ngt-automatic-certificate-regeneration-c.html


その他の新機能

  • クラウドKMSサポート
  • VMのCPUホットプラグを無効化
  • NVMe ソフトウェアの保守性
  • AHV ホストでサポートされる最大メモリの増加
  • VM 上の SCSI コントローラを無効化
  • WSL2 クラスター内ライブマイグレーションのサポート
  • ESXi 8.0 Update 3 上の Skylake サーバーのサポート
  • ESXi 上のボリューム グループのストレージ ポリシーのサポート
  • Nutanix ディザスタリカバリの保護とリカバリスケールの改善
  • Cisco Intersight デバイス コネクタの統合
  • サービス有効化のための Prism Central とホスティング クラスター間の登録依存関係の削除
  • Objects Lite
  • マイクロサービス インフラストラクチャ クラスターのアップグレード

※詳細はリリースノートをご参照ください。

AOS 7.0 Release Notes
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Release-Notes-AOS-v7_0:Release-Notes-AOS-v7_0
Release Notes | AHV 10.0
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Release-Notes-AHV-v10_0:Release-Notes-AHV-v10_0
Release Notes | Prism Central pc.2024.3
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Release-Notes-Prism-Central-vpc_2024_3:Release-Notes-Prism-Central-vpc_2024_3
Nutanix Guest Tools (NGT) 4.2 Release Notes
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Release-Notes-NGT-v4_2:Release-Notes-NGT-v4_2
Release Notes | Flow Network Security Next-Gen Release Version 5.1.0
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Release-Notes-Flow-Network-Security-v5_1_0:Release-Notes-Flow-Network-Security-v5_1_0

まとめ

いかがでしたでしょうか。AOS 7.0からはソフトウェアのリリースモデルも変更となり、Nutanixは引き続き進化を続けています。特に、最近の傾向であるPrism Centralへの機能追加やクラウド環境における機能拡張などが、今回も目立っておりますので、早めの情報取得にご活用いただければと思います。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 3課
友松 桂吾 - Keigo Tomomatsu -

DC運用や留学などの経験を経て2019年にSB C&S入社。好きなことは料理とお酒。嫌いなことは睡眠不足。