
この記事は「VCF/VVF 9.0 構築シリーズ」の第1回目です。
VMware Cloud Foundation(VCF)では、VMwareの複数コンポーネントを統合的に構成、管理していくことが可能である一方で、展開に関しては複雑さを懸念される方もいるかもしれません。VCF 9では、新たにVCF Installerと呼ばれる、VCFのコンポーネントを自動展開することができるアプライアンスが提供されています。しかし、VCF Installerを使用して自動展開を行うには、前段となる計画と準備が必要となります。第1回目では、この計画に活用できるツールと、必要な準備作業の手順をご紹介します。
Planning and Preparetion Workbookについて
VCFでは、Planning and Preparetion Workbookと呼ばれるExcelファイルが提供されていました。VCF 9からこのPlanning and Preparetion Workbookがアップデートされ、必要な項目の確認がより行いやすくなったと感じました。こちらのリンクからダウンロードできますので、ぜひご活用いただくことをお勧めします。
VCF 9の構成について
VCF 9からVCFに関する構成が少し変化したためここでご説明します。
- VCFフリート
同じVCF Operationsによって管理される、1つ以上のVCFインスタンスとvCenterで構成される環境を指します。 - VCFインスタンス
1つのManagementドメインと1つ以上のViドメインで構成されるインスタンスです。VCFのManagement DomainとWorkload Domainになります
VCF 9ではVCFインスタンスを複数構成させるのはもちろんのこと、VCFフリートも複数構成していくことが可能になっています。
また、VCF 9では下記の2つのデプロイモデルが選択できます。
- シンプル
このデプロイモデルでは単一ノードとなり、VCF Operations、VCF Automation、NSX Managerの各アプライアンスが1つずつデプロイされます。 - 高可用性
このデプロイモデルでは、VCF Operations、VCF Automation、NSX Managerの各アプライアンスが3つずつデプロイされ、可用性を確保した構成が可能です。本番環境ではこちらのデプロイモデルが推奨されます。
全体図
今回の検証環境の全体図になります。第1回目では、赤枠の範囲を解説します。
ネットワーク図
今回の検証環境のネットワーク図になります。
DNS・DHCP・NTPの準備
VCF環境にて使用するDNS・DHCP・NTPを準備します。DNSサーバーには、下記コンポーネントのレコードを登録しておく必要があります。一部アプライアンスはデプロイモデルに応じて数が変化するため、必要な分のレコードをご準備ください。
- VCF Operations
- VCF Automation
- VCF Operations Fleet Management
- VCF Operations Collector
- ESX
- vCenter
- NSX Manager
- SDDC Manager
今回の検証環境では、下記の外部NTPサーバーを使用します。
- ntp.nict.jp
ESXの準備
VCF/VVFを新規構築する際には、あらかじめサーバーにESXをインストールしておく必要があります。また、全てのESXのrootパスワードは同じものを設定しておく必要がありますのでご注意ください。
※Techdocs一部抜粋
"The VCF Installer requires that all ESX hosts share a common password."
https://techdocs.broadcom.com/us/en/vmware-cis/vcf/vcf-9-0-and-later/9-0/deployment/deploying-a-new-vmware-cloud-foundation-or-vmware-vsphere-foundation-private-cloud-/deploy-a-new-vcf-fleet-or-a-new-vcf-instance.html
その他はNTPの設定や自己証明書の再作成など、いくつか準備しておく項目があります。これらの詳細や手順については、こちらのTechdocsを参照ください。
VCF Installerについて
VCF Installerを使用することで、VCF/VVFを新規構築したり、既存環境をVCF/VVF環境へImport/Convergeすることができます。Broadcom Support Portal(BSP)上から、OVAファイルとしてダウンロード可能です。
VCF Installerは、VCF/VVFを新規構築する環境内のESX上にデプロイを行い、構築を進めていくことも可能になっています。今回の検証では、新規構築する環境の外にデプロイを行い、環境構築を行います。
VCF Installerのデプロイ
VCF Installerのデプロイを行っていきます。VCF Installerを展開する際に必要とされるリソースは下記になります。
-
4vCPUs
-
メモリ:16GB
-
ストレージ:914GB
BSPからOVAファイルをダウンロードし、外部環境へデプロイをしていきます。デプロイする手順は他のアプライアンスと同様になりますので省略します。デプロイする際に入力が必要な項目は下記のとおりです。
- rootユーザーのパスワード
- Localユーザーのパスワード
- ホスト名
- NTPサーバーのFQDN or IP
- IP アドレス
- サブネットマスク
- デフォルトゲートウェイ
- DNSドメイン名
- ドメインサーチパス
- DNSのIPアドレス
デプロイ完了後、設定したIPアドレスにアクセスすると下記の画面が表示されますので、設定したパスワードを入力してログインします。
VCF Installerのデポ設定
VCF Installerを使用してVCF/VVF環境を展開するには、あらかじめデポ設定を行っておく必要があります。デポ設定では、各コンポーネントのバイナリを、オンラインで取得するか、オフラインで取得するか選択することができます。今回の検証では、オンラインへ接続し、バイナリをダウンロードする手順を紹介します。BSP上でトークンを発行する手順は、こちらのKBを参照ください。
オンラインデポへの接続にある「構成」をクリックします。
トークンを入力し、「認証」をクリックします。
デポ接続がアクティブになれば成功です。
バイナリのダウンロード
次にバイナリ管理にある製品を選択します。VCF/VVFを選択すると、それぞれに必要なバイナリがダウンロードできます。今回は「VMware Cloud Foundation」を選択して、全てのバイナリをダウンロードしておきます。
全てのバイナリにチェックを入れ、「ダウンロード」を選択します。
ダウンロードが全て終了したら、バイナリの準備は完了です。
以上で、VCF/VVFを新規構築する際の計画と事前準備が完了しました。
次回はVCF Installerを使用して、VCFを新規構築します。
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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
大塚 亜人夢 - Atomu Otsuka -
VMware vExpert