
みなさん、こんにちは。SB C&S 市島です。
VMware by BroadcomからEUC(End User Computing)部門から独立してスタートしたOmnissaですが、2025年9月に年次カンファレンスである"Omnissa ONE 2025 Las Vegas"が開催されました。
今年は当社から私を含め3名のメンバーが現地ラスベガスへ飛び、Omnissa ONE 2025 Las Vegasに参加してきました。本ブログでは、Omnissa ONE 2025 Las Vegasのイベントで発表された内容から、会場の様子とともに最新情報をピックアップしてお届けします。
※可能な限り正確な情報を掲載するよう努めていますが、イベント発表直後の内容を含むため、後日の修正が必要となることや、情報が古くなることで正確性を保てなくなる可能性もあります。必ずしも情報の正確性を保証するものではない事をあらかじめご了承ください。
Omnissa ONE 2025 Las Vegas イベント概要
Omnissa ONE 2025 Las Vegasは、2025年9月15日~17日の3日間、米国ラスベガスのThe Cosmopolitan of Las Vegasで開催されました。2024年7月1日に独立企業としてOmnissaがスタートしてから、今回で2回目の開催となります。会場には世界中からIT管理者、開発者、パートナー企業が集まり、Omnissa社のビジョンやEUCソリューションの技術革新が発表されました。
本イベントのメインセッションであるKeynoteセッションは2025年9月16日に実施されました。その後はBreakoutセッションとして、HorizonやWorkspace ONEの最新機能を紹介するセッションや、米国のユーザー企業による事例セッション、Omnissaのインストラクターが製品操作をレクチャするラボセッションなど、70以上のセッションがイベント期間中に開催されました。
・キーノートセッション会場 オープン時の様子
Keynoteセッションの導入と主たるメッセージ
Omnissa ONE 2025 Las VegasのメインセッションであるKeynoteセッションは、OmnissaのCEOであるShankar Iyer氏の登場から幕を開けました。
Shankar氏はまず、「今、EUC(End User Computing)の世界は大きな転換点にある」と語りました。変化するワークスタイルとユーザーの期待に応えるため、増大する複雑な課題に対処しながら進化を続ける必要があると説明します。
特に課題となっている点としてShankar氏が説明したのは、" Fragmentation(断片化)"です。IT管理者は日々の社内システム運用のために多くのツールを使う必要がありますが、ツールそれぞれが独立しているために管理は複雑化し、コストも膨らみ続けていることが大きな課題となっています。
また、昨今のAIによる変革も大きな考慮事項の1つだと語ります。AIは単なる業務効率化のツールにとどまらず、ユーザーの業務やITシステムの裏側で動作する"Invisible Infrastructure(見えないインフラ)"として、働き方を支える存在になっていくと語られました。
上記の様な昨今のEUCを取り巻く課題や変革を紹介した後、Shankar氏は「バラバラのツールを寄せ集めて利用するのではなく、Unified Platform(統合プラットフォーム)が求められている」と説明しました。
そして、この統合プラットフォームが以下の3つの役割を果たし、Omnissaが従来から掲げている"Autonomous Workspace(自律型のワークスペース)"コンセプトを実現します。
- Self-Healing(自律型の修復)
- Self-Configuring(自律型の構成)
- Self-Securing(自律型のセキュリティ)
そして、Autonomous Workspaceを構成するOmnissaソリューションが、今後の企業が直面する課題に応える道筋であるとShankar氏は強調しました。
本ブログの投稿者である私は、VMware by Broadcomからの独立前からHorizonやWorkspace ONEといったEUC製品の状況を継続的に追っておりますが、この"Autonomous Workspace"のコンセプトは、Broadcom社による買収やEUC部門の独立前の2023年から掲げられている変わらないコンセプトです。
企業買収・独立後に方針が大きく変化するメーカーも少なくないですが、Shankar氏が今回のイベントで語った"Unified Platform(統合プラットフォーム)"のアプローチや、"Autonomous Workspace"のコンセプトは、VMware EUC部門の時代からOmnissaという会社として独立した後、そして現在も継続されている方針であり、今後もHorizonやWorkspace ONEといった主力ソリューションを継続した道筋で進化させ続けていくメッセージだと感じ取れました。
続いてKeynoteセッションでは、Bharath Rangarajan氏(Senior Vice President ,Chief Product Officer) が登場し、"Autonomous Workspace"の実現に向けたOmnissaのテクノロジーアップデートにおける、3つの柱を紹介しました。本ブログ後半で今回発表された各機能アップデートをご紹介していきますが、各機能アップデートはこれらのコンセプトを基盤に開発を進めていることが感じとれます。
- Consolidation without Compromise(妥協なき統合)
- 寄せ集めではなく、HorizonやWorkspace ONEといった製品を深く統合
- 運用効率の最大化・コスト削減・セキュリティを両立する
- Open Ecosystem(オープンなエコシステム)
- 幅広いパートナーとの連携を可能にし、顧客が自由にテクノロジーを選べる柔軟性を担保する
- AI-driven core capabilities(AI駆動のコア機能)
- AIで自律的な運用へシフト、リアルタイム修復を可能にする基盤を提供する
これら3つ柱を原則として、Omnissaが考える真の統合プラットフォームを実現していく方針が語られた後、Keynoteセッションの中でHorizonやWorkspace ONEの具体的な製品アップデートが数多く紹介されました。
本ブログの次の章からは、今回のイベントで発表されたOmnissaソリューションのアップデートをご紹介していきます。
Horizon アップデート
まずは、Horizonに関するアップデートです。
マルチハイパーバイザー対応
Horizonをご利用されているお客様やパートナー様が今最も注目しているのは、Horizonのマルチハイパーバイザー対応ではないでしょうか?今年の5月にNutanixが開催した".NEXT 2025"では、HorizonのNutanix AHVの対応予定が発表され話題になりました。
今回のOmnissa ONEのイベントの中では、Nutanix AHVへの対応に加え、OpenStack・OpenShift Virtualizationへの対応予定が発表されました。以下にOmnissa ONEのブレイクアウトセッションで紹介された内容も含め、新たに対応予定のハイパーバイザーの情報を整理いたします。
- Nutanix AHV対応
- 2025年末GA予定(以前の発表から変更なし)
- 本ブログ投稿時は一部機能制限のあるLimited Availability(限定提供)での提供
- Limited Availabilityリリースのご紹介ブログはこちら
- OpenShift Virtualization対応
- 現在は手動プール・ファームでのサポートを提供
- 2026年中盤を目標に、自動プール・Non-Persistentデスクトップの展開に対応予定
- ブレイクアウトセッションで紹介
- ベータプログラム2026年Q1提供予定
- OpenStack対応
- 現在は手動プール・ファームでのサポートを提供
- Horizon Cloudの機能によりPlatform9やRackspace OpenStackと連携し、OpenStack環境での展開を可能に
- ベータプログラムでの提供を近日提供予定
- その他のハイパーバイザーへの対応
- 現在も、手動プール・ファームによる展開であれば、Microsoft Hyper-VやHPE Morpheus VM Essentials Softwareといった、他のハイパーバイザーでもHorizonの利用をサポート
- 需要が高まったハイパーバイザーは順次対応を検討
- 将来的に、手動プールにおけるHorizon Agentの登録プロセスを簡素化する計画
Horizon Cloud on vSphere (Limited Availability)
章のタイトルだけご覧いただくと「vSphereは元々サポートしているのでは?」と思われる方が多いかと思います。今回発表されたHorizon Cloud on vSphereは、従来から提供されているHorizon Cloud on Azureのように、コントロールプレーンのサーバーをHorizon Cloudがクラウドサービスとして提供するアーキテクチャです。
オンプレミスvSphere環境でありながら、DaaSライクな運用を可能とする機能拡張です。
Horizon Cloud on vSphereのアーキテクチャイメージ図は、以下のOmnissaコミュニティサイトに公開されておりますので、詳しい情報が知りたい方は合わせてご覧ください。
Omnissa Monitor
オンプレミスHorizon VDI環境のモニタリングツールとして、Omnissa Monitorが今回新たに発表されました。
Horizon環境のモニタリングといえば、以前はAria Operations Management Pack for Horizon (MP4H)を使ったモニタリングが一般的でした。ですが、2025年3月にMP4Hのサポート終了がBroadcom社からアナウンスされ、MP4Hを活用されてきたお客様はモニタリングツールの切り替えが必要になっております。
モニタリングツールの代替えとしては、Omnissaがクラウドサービスとして提供するDEX for Horizonが後継扱いとなっており着々と機能アップデートを続けております。
ただし、DEX for Horizonは仮想デスクトップのインターネット接続が必須となってしまうため、閉じられたネットワークでHorizonを利用されているお客様は、Omnissaソリューションとしての代替え製品がない状態が課題となっておりました。
今回発表されたOmnissa Monitorはインターネット接続ができない環境でも利用でき、Horizonの仮想デスクトップとあわせ仮想基盤もモニタリングできるツールとしてリリースされる予定とのことです。
残念ながらイベント会場でOmnissa Monitorのデモ画面を見ることはできなかったのですが、ブレイクアウトセッションでは、DEXに類似した分析機能を提供するとの紹介がされていましたので、DEX for Horizonに近いUIが提供されるのではないでしょうか。今年中の近いうちに詳細情報が公開されるとのことですので、今後のリリース情報をお待ちいただければと思います。
続きは後編へ
前編でのご紹介は以上です。
後編の記事では、Workspace ONE と Omnissa の AI テクノロジーに関するアップデートをご紹介します。
著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部
市島 拓弥 - Takuya Ichijima -
VMware vExpert