
こんにちは。SB C&Sで技術支援を担当しています、萩原です。
仮想化プラットフォームの市場が大きく変化している昨今、Nutanix製品を検討いただくケースが以前にも増して多くなっているように感じます。併せて、Nutanixが日本市場に浸透し始めた頃によく寄せられていた質問を、最近になって改めて受けるケースも増えてきました。Nutanixが日本市場に上陸した時代から比較すると、Nutanixの様々な制度やルールは進化しています。保守サービスもその一つです。今回は、Nutanix製品における保守サポートサービスについてご紹介いたします。
Nutanixにおける保守サポートの考え方
ハードウェアとソフトウェア
まずNutanix製品は、ハードウェアとソフトウェアの2つの区分があります。ハードウェアは、NutanixのHCIアプライアンスであるNXモデル(いわゆるNutanix純正ハードウェア)を指します。HCIアプライアンスは、Nutanix製品以外にも、DELLのXC CoreやHPEのProLiant DXなど、サードパーティー製のハードウェアプラットフォームの選択も可能です。Nutanix純正ハードウェア以外は、ハードウェアメーカーの保守ルールに準じます。
ソフトウェアは、サブスクリプション提供
Nutanixのソフトウェアは、2025年現在Portfolio 2.0のリリースとなり、サブスクリプションとして提供されます。そのため、利用期間=保守サポート期間と捉えることができます。言い換えると、"買い切りのライセンスではありません"ので、保守が切れてもNutanixソフトウェアを継続して利用可能かという質問には、Noという答えになります。
ソフトウェアサポートの詳細
では、Nutanixソフトウェアのサポートから見ていきます。
プロダクションサポート | ミッションクリティカルサポート | |
サポート受付 | 24時間365日 | 24時間365日 |
優先度1(P1) | 1時間 | 30分間 |
優先度2(P2) | 4時間 | 2時間 |
優先度3(P3) | 8時間 | 4時間 |
優先度4(P4) | 翌2営業日以内 | 翌2営業日以内 |
ソフトウェアサポート: メジャーおよびマイナーメンテナンス、パッチリリース、アップグレード | ○ | ○ |
シニアレベルエンジニアへの直接転送 | - | ○ |
根本原因解析* | - | ○ |
Nutanix Insights | ○ | ○ |
自動サポートモニタリング | ○ | ○ |
1契約あたりの最大サポートシステム管理者数 | 6 | ○ |
Nutanixのソフトウェアサポートについては、「プロダクション」と「ミッションクリティカル」の2つのサポート体系が提供されています。通常保守サポートのイメージとしては、平日9時-17時と24時間365日の2つのサポートがあるように印象を持つ方も多いと思いますが、Nutanixのソフトウェアサポートについては、プロダクション、ミッションクリティカルのどちらであっても、24時間365日の受付を行っています。
サポートの対応は、重要度1~4に分類されます。例えばNutanixクラスターが停止し業務に甚大な影響が生じている場合など、緊急性を要するものについては、P1として定義されます。プロダクション・ミッションクリティカルのどちらのサポート契約であっても、原則24時間365日で日本語サポートを受けることができます。P2は、業務に甚大な影響はないが解決を急ぐ課題事項、P3は、課題が生じているが解決を急がないものという順になります。日本語サポートが平日の日中帯だけでそれ以外は、いかなる場合も英語でしかサポートされないなどの誤った認識を持たれている方もいますが、2025年現在そのようなことはありません。
Nutanixソフトウェアのアップグレードバイナリなどは、サブスクリプションであることから契約期間中であれば、サポートポータルからの提供、もしくは、LCMを経由してバイナリを取得することができます。
障害が発生した際に、Nutanixサポート側で検知を行ういわゆるプロアクティブなサポートですが、「自動サポートモニタリング」として、Nutanix Insightsを利用することで、実現可能です。Nutanixクラスターの稼働に影響がある障害を検知した場合、自動的にケースオープンされ、利用者に連絡を行う仕組みがあります。どのような障害が発生した際に、自動でケースオープンされるかは、以下のナレッジベースを参考にしてください。
KB:1959 / Which Alerts Automatically Generate a Support Case with Nutanix Support
ハードウェアサポートの詳細
Nutanixのハードウェアは、Nutanix純正のハードウェアとサードパーティのハードウェアでハードウェア保守の対応が異なります。
Nutanix純正のハードウェア保守は以下のように、ProductionとMission Criticalの2つの保守が選択できます。
Production サポート | Mission Critical サポート | |
ハードウェア交換: 診断完了からオンサイトパーツ配送までの時間 |
翌営業日対応 (午前8時~午後5時) | 24時間365日 |
パーツ交換のフィールドエンジニアリング | 翌営業日対応 (午前8時~午後5時) | 24時間365日でお客様と調整 |
ポイントは、Nutanixのソフトウェアとハードウェアの保守レベルを分離することも可能です。例えば、Nutanixのソフトウェアは、Production保守、NXアプライアンスのハードウェア保守は、Mission Criticalといったソフトとハードで保守レベルを分けることも可能です。
NXモデルにおける保守で注意する点は、Mission Criticalで対応できるエリアが一部制限されている点です。 Mission Critical保守を希望する場合、設置場所がMission Criticalに対応しているかを事前に確認しておくことをお勧めします。
HPE ProLiant DX/DLやDELL XC Coreなどのサードパーティハードウェアの場合、各ハードウェアメーカーの保守サポートルールに準じます。ハードウェアメーカならではの幅広い保守対応が可能となります。また長期保守(5年以上)なども、各ハードウェアメーカーごとに用意されているメニューを選択可能です。
HPE ProLiant DXにおける保守(TechCare)は、こちらをご参照ください。
https://h50146.www5.hpe.com/directplus_ent/supportservice/
ハードウェアの障害発生時におけるプロアクティブなサポートについても、サードパーティ製ハードウェアの場合、各ハードウェアメーカーが提供する通報ソフトウェアを導入する必要があります。(HPE ProLiant DX/DLであれば、IRS、DELL XC Coreであれば、Secure Connect Gateway(SCG5)が該当となります。)
まとめ
今回は、Nutanixのサポートについて見てきました。Nutanixに日本法人ができて間もない頃は、サポート体制が現在よりも充実していなかったことから、様々な憶測や断片的な情報で誤った認識をされている方もいるようです。重要な点をまとめると以下の通りになります。
- ソフトウェアはサブスクリプションであり、買い切りライセンスではない
- ソフトウェアとハードウェアで保守分離が可能である
- ソフトウェアの重大な障害が発生した場合、24時間365日日本語でサポートを受けることができる
- サードパーティ製ハードウェアを利用した場合は、そのハードウェアメーカーのサポート体制に準じる(柔軟なサポートを受けることが可能)
著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
萩原 隆博 - Takahiro Hagiwara - (Nutanix NTC)
HCIを中心とした仮想化とMicrosoft 365のプリセールスエンジニアを担当しています。
Nutanix Technology Champion 2018-2024