
こんにちは。SB C&Sの下山です。
この記事は、【速報】NVIDIA GTC 2026 Keynote Session (基調講演) レポート の番外編として作成しております。ぜひ本編もご覧ください。
今回のGTCで、NVIDIAはAIファクトリー(注、GPUデータセンターという概念を発展させ、トークンを最大効率で生産するための工場型インフラであると定義した語)のための新たなプラットフォームとしてNVIDIA DSXを発表しました。

DSXは、AIファクトリーのデジタルツインを構築し、設計段階から運用段階までを一貫してシミュレーションし、最適化する仕組みです。これにより、多くのAIファクトリーで生じている無駄な電力消費を設計段階から抑制し、トークン処理能力の最大化、ひいては収益の最大化を目指します。
つまり、「NVIDIA自体のテクノロジーを用いて、NVIDIAと関連するその他の機器が稼働するAIファクトリーをデジタルツインで設計・構成・シミュレート」してしまう、というプラットフォームです。高度なAI・グラフィックス・物理シミュレーションすべて必要だと考えられますが、まさにこれらこそNVIDIAが得意としている領域、というわけです。
このセクションの中で上映された映像ではDSXの中核機能として次の4つのコンポーネントが紹介されています。
DSX Sim

物理・電力・熱・ネットワークをシミュレーションするモデル。これによりAIファクトリーをOmniverse上で高精度にシミュレーションすることが出来るようになります。
DSX Simに含まれるNVIDIA DSX Airによって、GPU, ネットワーク、その他インフラ全体を含むフルスタックのAIファクトリーのシミュレーションをデジタルツインで実行することが可能です。物理的に正確なシミュレーションが可能であることを示すSimReadyに対応した資産であれば、詳細な3Dジオメトリ(外観)や機器の物理的動作・移動などの挙動までを忠実に再現できることが示されました。
DSX Exchange

一般的なデータセンターインフラからのシグナル、運用プロセスから得られる情報等を統合し、システムから横断的に扱うことを可能とします。
計算、ネットワーク、エネルギー、電力、冷却プラントなどのシグナルを統合できるとされます。
DSX Flex

AIファクトリーに発電施設が備わっている場合、その供給能力と電力消費を考慮しながら、需給を動的に最適化することで、エネルギー効率のさらなる向上と電力網の安定性維持に貢献します。つまり、「発電の段階から節約」することが可能になるといえます。
DSX Max-Q

あらかじめ定められている電力のリミット内で、コンピューティング能力やトークンの処理能力を最大化することを支援します。
これら「DSX Sim」「DSX Exchange」「DSX Flex」「DSX Max-Q」は、それぞれの機能を通じて、設計から建設、稼働後の運用まで、AIファクトリー全体の高効率化と高い耐障害性の確保を実現するためのソフトウェアライブラリとして提供されます。
実際にVera RubinのAIファクトリーを設計するためのガイドとして、NVIDIA Vera Rubin DSX AI Factory reference design が発表されています。
なお、デジタルツインの構築やシミュレーション実行のため具体的に必要となるデータやソフトウェア、ライブラリの詳細は、すでに NVIDIA Omniverse DSX Blueprint から把握するすることが可能となっています。
DSXについては簡単ですが以上です。
NVIDIAが特に注力するフィジカルAIのテクノロジーを、NVIDIA自体の事業領域において存分に活用している様子を読み取ることができる発表でした。AIファクトリーでの活用の広がりに加え、これに着想を得たデジタルツインの新たなユースケースの発生も期待したいですね。
著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第2技術部 1課
下山 翔也 - Shoya Shimoyama -
NVIDIA社製品のプリセールス・エンジニア業務を担当。
GPUのほか、クラウドサービスやサーバー、ネットワーク機器についても取り扱う。
