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【UiPath Test Cloud】第1回:全体像とアーキテクチャの解説

UiPath
2026.10.16

みなさま、こんにちは。植木です。

今回は、UiPath の「Test Cloud」についてご紹介します。

UiPath では、これまで「Test Suite」を通じて自動テスト機能を提供してきましたが、アーキテクチャやライセンス体系の再編に伴い、現在はテストの設計・実行から品質管理までを一元化するクラウドプラットフォームとして「Test Cloud」を展開しています。

本連載では、Test Cloud の概要や機能に加え、サンプルシステムを用いたテスト作成手順、実機検証で得られた運用の注意点などを複数回にわたって解説します。

初回となる本記事では、Test Cloud の全体像、従来の Test Suite との主な違い、デプロイメント形態、そして今後の検証に向けた「60日間無料トライアル環境」のセットアップ手順について詳しく取り上げます。

 


目次

  1. はじめに
  2. Test Cloud の概要
  3. 従来の Test Suite と Test Cloud の比較
  4. Test Cloud のデプロイメント形態とアーキテクチャ
  5. 60日間無料トライアル環境の準備手順
  6. 導入・利用時の注意点
  7. さいごに


1. はじめに

ソフトウェア開発において、品質の担保とリリースの迅速化を両立するために、テスト自動化の導入が進んでいます。

UiPath のテスト機能は、Web やデスクトップアプリ、SAP、API など幅広い対象のテスト自動化をサポートしています。

今回取り上げる Test Cloud は、テストの設計から自動化の実装、実行、結果の分析、要件管理までを一元管理できるエンタープライズ向けのテストプラットフォームです。

従来のオンプレミス中心の構成や RPA 混在の環境から整理され、テストエンジニアや QA チームが扱いやすい構成へと進化しています。

 


2. Test Cloud の概要

Test Cloud は、対象システムのテストライフサイクル全体をクラウド上で統合管理する SaaS プラットフォームです。

主な特徴は以下の通りです。

  • 幅広いテスト対象をカバー:
    Web、デスクトップ、SAP、モバイル、API などの各種アプリケーションに対応
  • テスト管理の一元化:
    要件管理、テストケースの作成(手動・自動)、テスト実行、不具合追跡までを Test Manager 上で集約
  • インフラ管理コストの削減:
    クラウド環境として提供されるため、テスト管理サーバーの構築や保守が不要
  • AI によるテスト支援機能:
    生成 AI を活用した要件・テストケースの生成や、テスト実行ログの分析機能を提供

 


3. 従来の Test Suite と Test Cloud の比較

従来の「Test Suite」と新しい「Test Cloud」を比較すると、主に以下のような違いがあります。

 

項目 従来の Test Suite (Flex プラン) 新しい Test Cloud (Unified プラン)
位置づけ RPA テストとシステムテストが混在 Web・デスクトップ・基幹システム等の検証に特化
ライセンス体系 Flex Pricing プラン Unified Pricing プラン
テスト開発環境 Studio Desktop 主体 Studio Web および Studio Desktop
テスト実行・管理 Orchestrator または Test Manager Test Manager へ一本化(Orchestrator のテスト機能は廃止)
今後の更新・保守 保守・バグ修正が中心 新機能や AI 連携機能は Test Cloud 限定で提供

 

① RPA テストとアプリケーションテストの分離

従来の Test Suite では、自社で作成した RPA ワークフロー自体の動作確認(RPA テスト)と、業務システムや Web アプリそのものの検証が同一の枠組みで扱われていました。

Test Cloud への移行に伴い、RPA テストは業務自動化基盤である Automation Cloud 側に残され、外部システムを検証するアプリケーションテストが Test Cloud に集約されました。

今後の新しいテスト機能は Test Cloud 向けにリリースされる方針となっています。

 

② ライセンス体系の変更(Unified Pricing)

ライセンスは、従来の「Flex Pricing」から「Unified Pricing」へと移行します。主なライセンス構成は以下の通りです。

・App Test Developer: テスト設計・自動化スクリプトの実装者向けユーザーライセンス
・App Tester: 手動テストの作成・実行や要件管理を行うテスター向けユーザーライセンス
・App Test Robot: 自動テスト実行専用のランタイム
・App Test Platform: Test Manager や Insights などの基盤サービスを有効化するライセンス
・Platform Units: クラウド環境での実行や AI 機能の利用に応じた消費ユニット

※Flex から Unified へのライセンス移行時は即時適用となり、同一組織内で両方のライセンスが重複して有効になる猶予期間は設けられていません。

※ライセンスの詳細は以下の公式ドキュメントも併せてご確認ください

 参考:UiPath公式ドキュメント:Test Suite から Test Cloud に移行する - ライセンスのマッピング

 

③ Orchestrator から Test Manager への機能集約

これまでテストセットの作成やスケジュール実行は Orchestrator 上でも行えましたが、クラウド環境における Orchestrator のテスト機能(Testing モジュール)は 2026年7月31日をもって提供終了となりました。

これにより、テストの作成、スケジュール設定、実行、結果確認のすべての作業が Test Manager に一本化されています。

 


4. Test Cloud のデプロイメント形態とアーキテクチャ

■Automation Cloud とのインフラ共通性

Test Cloud は、Automation Cloud と同じインフラ上で稼働しています。ユーザー管理や認証、セキュリティ基盤が共通しているため、すでに社内で Automation Cloud を利用している環境であれば、新たなインフラ評価やセキュリティ審査の手間をかけずにスムーズに導入できます。

 

■デプロイメント形態

セキュリティ要件や運用方針に応じて、クラウド版(SaaS:3種類) と オンプレミス版(自社運用:1種類) が用意されています。

 

① クラウドプラットフォーム(SaaS)

インフラの構築・保守が不要なクラウド環境として、以下の3種類が提供されています。

  • Test Cloud(マルチテナント):
    標準的なクラウド環境です。すぐに利用開始でき、各リージョンでのデータ保管に対応しています(接続先:`cloud.uipath.com`)。
  • Test Cloud Public Sector:
    米国政府・公共機関向けの環境です。FedRAMP などの厳格なセキュリティ基準に準拠しています(接続先:`govcloud.uipath.us`)。
  • Test Cloud Dedicated(シングルテナント):
    専用インフラ(Azure)上に個別環境を構築するモデルです。他社と分離された環境で稼働し、バージョン更新時期の調整(最大30日遅延)や独自ドメインの設定が可能です。

※参考:UiPath公式ドキュメント:クラウド プラットフォーム

 

② オンプレミスプラットフォーム(自社管理)

完全な閉域網や自社サーバーでの運用が必要な環境向けです。

  • Private Test Cloud:
    UiPath の統合サーバー基盤「Automation Suite」を利用して、自社インフラ上に環境を構築します。

※参考:UiPath公式ドキュメント:オンプレミス プラットフォーム

 


5. 60日間無料トライアル環境の準備手順

ここでは無料の検証環境の準備手順について解説します。

 

トライアル環境に含まれるリソース

  • 期間:60日間
  • App Test Developer:2 ユーザー
  • App Tester:2 ユーザー
  • App Test Robot:2 ランタイム
  • Platform Units:3,000 ユニット

 

手順 1:サインアップと組織の作成

  1. Test Cloud トライアル登録ページ をブラウザで開きます。
  2. 「Try Test Cloud」を選択し、アカウント情報を入力します。
    ※ Test Cloud のトライアル登録には、企業ドメインのビジネス用メールアドレスが必要です(Gmail などの無料メールアドレスは利用できません)。
  3. 認証メールに記載された確認コードを入力し、会社名や表示名を設定します。
  4. 任意の組織名(Cloud Organization Name)を入力して組織を作成します。

 

手順 2:サービスの有効化確認

組織が作成されたら、必要なサービスが有効になっているか確認します。

  1. 左側メニューの 「管理(Admin)」 を開き、対象テナントの 「サービス(Services)」 を選択します。
  2. サービス一覧に 「Orchestrator」 と 「Test Manager」 が含まれており、有効(Enabled)になっていることを確認します。  
    (未追加の場合は、「サービスの追加」から追加します)

 

手順 3:ユーザーライセンスの割り当て

作成したユーザーにテスト作成権限を付与します。

  1. 「管理(Admin)」>「ライセンス(Licenses)」>「ユーザー(Users)」 を開きます。
  2. 使用するユーザーに 「App Test Developer - Named User」 が割り当てられているか確認します。  
    未割り当ての場合は、「ライセンスの割り当て」から該当ライセンスを付与してください。

 

参考:UiPath公式ドキュメント:Test Cloud クイックスタート

参考:UiPath公式ドキュメント:Test Cloud に登録する

 


6. 導入・利用時の注意点

実際に環境を触る中で確認しておきたい実務的なポイントをまとめました。

 

① ログイン後の初期画面について

同一の組織内で通常の自動化ライセンス(Automation Developer など)と Test Cloud ライセンスの両方を割り当てている場合、ログイン時は Automation Cloud のポータル画面が表示されます。
Test Cloud の機能を使用する際は、画面左上のプロダクトランチャー(9つの点アイコン)から 「Test Manager」 を選択して画面を切り替えてください。

 

② 公式ドキュメント閲覧時の選択

UiPath 公式ドキュメントを参照する際、ページ上部に提供形態(Delivery)を選択するドロップダウンが存在します。

  • Test Cloud: SaaS 版の解説(通常の Test Cloud はこちらを参照)
  • Test Cloud(プライベート): オンプレミス版の解説(Private Test Cloud の場合はこちらを参照)

01.png

 

選択している提供形態によって画面項目や設定手順が異なる場合があるため、閲覧時は対象環境と一致しているか確認することをおすすめします。

 


7. さいごに

今回は、Test Cloud の概要、従来の Test Suite からの主な変更点、デプロイメント形態、そしてトライアル環境のセットアップ手順についてご紹介しました。

テスト機能が専用 SaaS として独立したことで、今後はクラウドネイティブな開発環境や AI を活用したテスト機能の拡充がさらに進んでいく見込みです。

次回は、サンプルシステムを題材に、Test Manager を使った要件定義や手動テストケースの作成、入力作業を効率化するテクニックについて詳しく解説していきますので、ぜひご一読ください。

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術統括部 第2技術部 3課
植木 真