SB C&Sの最新技術情報 発信サイト

C&S ENGINEER VOICE

SB C&S

Dell EMC VxRail とは

ストレージ / HCI
2020.03.30

※当記事は2020年時点の情報を元に作成したものです。
 最新の VxRail に関するご紹介は、2023年版をご覧下さい。
 スクリーンショット 2023-10-26 16.23.55.png
 Dell Technologies の VxRail とは? ~ 2023年版 ~

はじめに

こんにちは、SB C&Sの友松です。この記事では、Dell EMC社のHCIアプライアンスである「Dell EMC VxRail」(以下、VxRail)について紹介します。

VxRailは、Dell EMC社とVMware社が共同開発したHCI(ハイパーコンバージドインフラ)製品です。そのため、HCIを実現するSoftware-Defined-Storage(SDS)には、VMware社のvSANが採用されています。今回はいくつかのトピックに注目して、このVxRailを紹介したいと思います。

HCI(ハイパーコンバージドインフラ)についてはこちらを参照ください。

※この記事は2020年2月時点に作成した記事であるため、その後の製品アップデートによる仕様変更などについては最新のメーカードキュメント等をご確認ください。

ソフトウェア/SDS機能の特徴

VxRailはVMware社が直接開発に関わった製品であるため、VMware製品の機能がそのまま使われています。一般的なHCIのSDSでは、ストレージコントローラーの役割を果たす仮想マシン(仮想ストレージアプライアンス )が提供されており、それをハイパーバイザ上にデプロイして共有ストレージを作成しています。それに対して、VxRailではVMware社が提供している「vSAN」と呼ばれるSDS機能を採用しています。これは、ESXiのカーネルに標準で組み込まれたモジュールで実現されるものであり、追加のアプライアンスを必要としないものです。

スクリーンショット 2019-12-17 14.35.34.png

VxRail Managerとは

VxRailでは「VxRail Manager」というクラスターのデプロイ・アップグレード・監視・保守などを実施できる管理ツールが提供されています。一般的なサーバでvSANを構築する場合は、vSphere ClientからクラスターのvSANを有効化して、ディスクグループを作成して、といった作業を実施しますが、VxRailでは、それらの構築作業や、ノードの追加、アップグレードなどをVxRail ManagerのUIから簡単に行うことができます。

スクリーンショット 2019-12-17 15.16.43.pngスクリーンショット 2019-12-17 15.19.32.png
VxRail ManagerのUIの画面

また、VxRailのバージョン4.7以降では管理UIを統合するために、「VxRail Manager Plugin for VMware vCenter」というプラグインが提供されています。このプラグインをvCenter Serverへ導入することによって、VxRail Managerで実施できる管理操作をvSphere Clientから透過的に実行できます。

スクリーンショット 2019-12-13 13.52.48.png
プラグインを導入したvSphere Clientの画面

製品ラインアップ

VxRailの筐体は、Dell EMC社のPowerEdgeをベースとしており、現行ではE・P・V・S・Gの5種類のモデルが提供されています。それぞれのアルファベットには以下のような意味があります。

 E:ロープロファイルシステム

 P:パフォーマンス最適化システム

 V:VDI最適化システム

 S:大容量システム

 G:コンピュート集約システム

それぞれの特徴については以下の表にまとめていますので、参考にしてみてください。

ソフトウェアパッケージ

VxRailアプライアンスにはVMware社製品とDell EMC社独自のソフトウェアがバンドルされており、VxRailを購入すると以下のようなソフトウェアが含まれます。仮想環境やHCIを作成するためのVxRail Managerに加えて、サポートツールであるSRSが提供されています。また、データ保護のためにvSphere ReplicationやRecoveryPoint for VMsなども付属されています。

vxrail.PNG

ソフトウェアアップグレード

VxRailでは、ライフサイクルマネジメントをシンプルに行うために、アップデートソフトウェアは単一のパッケージとして提供されています。Dell EMCとVMwareの協力体制により、BIOS、ファームウェア、ハイパーバイザーといったソフトウェアのパッケージが、メーカーで事前検証されたうえで提供されます。これにより、各コンポーネントの互換性の確認やソフトウェアごとの動作確認、バージョン管理などにかかる工数削減が可能になります。

運用・保守サポート

VxRailでは、サポート窓口が一本化されており、ハード/ソフト両方のサポートを受けることが可能です。VxRailチームとVMwareチームは連携しているので、仮にVMware製品のソフトウェアによる、障害、トラブルがあった場合でもVxRailのサポート担当がVMwareチームと連動して対応してくれます。また、ProSupportやProSupport Plusといったメニューがあり、VxRailではソフトウェアのアップデートをDell EMCのサポート担当者がリモートで実施するというサービスも提供されています。サポートレベルによって、サポート範囲や内容が異なりますので、詳細はメーカードキュメント等を確認ください。

まとめ

今回は、VxRailについていくつかトピックを分けて紹介しました。VxRailはHCIのSDSとしてvSANを採用していることや、製品モデル、ソフトウェア群などを確認いただけたかと思います。また、VMware Cloud Foundation on VxRailといったサービスも開始しており、VMwareとDell EMCの連携強化もみて取ることができ、VxRailは今後も注目の製品です。

参考リンク紹介

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 3課
友松 桂吾 - Keigo Tomomatsu -

DC運用、MBA留学などの経験を経て、2019年にSB C&S入社。若いうちに技術を習得しておきたいとの想いから、日々HCIや仮想化製品をいじり回している。ちなみに好きな食べ物はささみ。