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NASだけじゃないっ!ONTAP実現するオブジェクトストレージ『ONTAP S3』!!

ストレージ / HCI
2021.01.26
 
みなさん、こんにちは
SB C&S 技術担当の小川です。
 
NetAppのOSを担う統合管理ソフトウェアのONTAPの最新版であるONTAP 9.8のGA版がついにリリースされました。
ONTAP 9.8では様々な新機能やアップデート機能がありますが、その中でも大きなトピックの1つである『ONTAP S3』について全2回にわたり紹介します。今回は第1回となる概要編です。
 
 ONTAP S3の概要             
 
『ONTAP S3』は読んで字の如くONTAPでAmazon S3互換のオブジェクトストレージを実現する機能です。ONTAP S3はONTAP 9.7ではTech Previewの機能としてコマンドのみで設定が可能でしたが、ONTAP 9.8から正式リリースとなり、設定方法もCLIだけでなく管理GUIであるONTAP System Managerからも設定ができるようになりました。
 
オブジェクトの保存方法として、クラスタ配下のコントローラのFlexVolを1つの大きなボリュームに見せる機能である「FlexGroup」のアーキテクチャを流用しています。
ONTAP S3を設定すると自動でFlexGroupが設定され、クラスタ配下のコントローラのData AggregateにFlexGroupのメンバーボリュームが作成されます。
データをバケットに保存するとFlexGroupのいずれかのメンバーボリュームにオブジェクト単位で保存されます。データをブロックに分解してFlexGroupを構成するFlexVolに分散配置されるわけではないのでご注意下さい。
データを配置するメンバーボリュームは以下の条件を元に自動で選択されます。
−保持するデータ量(使用率)
−利用可能な空き容量
−最後のN秒分の新しいコンテンツ割り当てリクエスト
−最後のN秒分のi-node割り当てとそれらがどこから引き出されたか
−メンバーボリューム内の空きi-node数ならびにファイルの数
01_ONTAP_S3バケットのアーキテクチャ.png
 
ONTAPのファイルシステムであるWAFLでオブジェクトを管理していることから最大16TBのサイズのオブジェクトを保存することも可能です(Amazon S3で最大5TB)。
また、ONTAPの特徴であるStorage EfficiencyやQoS、スケジュールSnapshotといった機能も利用可能になっています。
更にONTAP S3を利用することで、HDDベースのFASシリーズをFabricPoolのクラウドティアとして利用することも可能になりました。これにより、古いFASを有効活用したいというニーズやAll Flashストレージの容量を効率的に利用したいけどクラウドの料金が気になるからオンプレで実現したいというニーズにも答えられるようになりました。オンプレでFabricPoolを利用していたとしてもFabricPool Mirrorを設定すれば途中からクラウドのオブジェクトストレージへの切り替えも可能です。
 
02_ONTAP_S3_FabricPool_Mirrorでの移行.png
 
 
 利用可能なプラットフォーム             
  
 ONTAP S3をご利用になるには以下のプラットフォームが対応しています。
 
 ●FASシリーズ (HDD構成も可。ONTAP 9.8以上)
 ●AFFシリーズ (ONTAP 9.8以上)
 ●ONTAP Select (ONTAP 9.8以上)
 
 ONTAP S3環境の最大値            
  
 ONTAP S3利用時の最大値をまとめました。
 
 項目
 最大値
 1つのオブジェクトの最大サイズ
 16TB
 バケットの最大数
 12000バケット
 1つのSVMあたりの最大ユーザ数
 4000ユーザ
 1つのクラスタあたりの最大値(NetApp検証値)
 10ノード、20PB、4000億ファイル
 
 
 ONTAP S3環境でのサポート機能             
 
前述の通り、ONTAP S3はStorage Efficiencyなどの機能と併用することが可能ですが、利用できる機能とできない機能があります。ONTAP S3ご利用の際はご注意下さい。
 
 カテゴリ
 サポート機能
 未サポート機能
 データ
 プロテクション
 • Cloud Sync
 • Erasure coding
 • Information lifecycle management
 • NetApp MetroCluster™
 • NDMP
 • NetApp SnapLock® technology
 • NetApp SnapMirror® technology
 • NetApp SyncMirror® technology
 • Object versioning
 • SMTape
 • SVM-DR
 • 手動snapshots
 • WORM
 暗号化
 • NetApp Aggregate Encryption (NAE)
 • NetApp Volume Encryption (NVE)
 • NetApp Storage Encryption (NSE)
 • TLS/SSL
 • SLAG
 ストレージ効率化
 • インライン重複排除
 • ポストプロセス重複排除
 • バックグラウンド重複排除
 • インライン圧縮
 • ポストプロセス圧縮
 • データコンパクション
 Aggregateレベルのストレージ効率化
 ストレージ仮想化
 -
 NetApp FlexArray® technology
 Quality of service (QoS)
 •QoS maximums (ceiling)
 •QoS minimums (floors)
 -
 その他
 -
 • Audit
 • NetApp FPolicy software
 • Qtrees
 • Quotas
 •ONTAP S3の含まれるFlexGroupのボリュームクローン
 
ONTAP S3の概要は以上となります。
次回はONTAP S3の設定方法を紹介します。
 

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著者紹介

SB C&S株式会社
技術統括部 第1技術部 2課
小川 正一(VMware vExpert)