みなさん、こんにちは
SB C&S 技術担当の小川です。
NetAppのOS機能を担う統合管理ソフトウェアのONTAPにはパブリッククラウドなどのオブジェクトストレージとの階層化を実現する『FabricPool』という機能があることを以前ブログで紹介しました。
これまでのFabricPoolも非常に便利な機能でしたがONTAP 9.8で更に機能が強化されました。今回はその中でも代表的なアップデート内容を紹介します。
これまでのFabricPoolではパブリッククラウドで提供されるオブジェクトストレージへの階層化やオンプレのStorage GRIDへの階層化を提供していました。ONTAP 9.8からはS3プロトコルを利用可能に設定したONTAPへの階層化が可能になりました。ONTAP S3については以下のブログをご参照下さい。
なお、Cloud TierとしてONTAP S3を利用する場合のライセンス費用は発生しません。
ONTAP S3をCloud Tierとして利用する場合の最大容量は300TBまでとなっているためご注意下さい。
HDD搭載のFASシリーズのFabricPool対応 |
ONTAP 9.7までのFabricPoolはAFFシリーズかSSDフル搭載のFASシリーズで設定が可能でしたが、ONTAP 9.8からはHDD搭載のFASシリーズでもFabricPoolの設定が可能になりました。
ただし利用できないモデルもあるのでご注意下さい。FabricPoolを利用できないFASシリーズは以下のモデルです。
・FAS8020
・FAS2554
・FAS2552
・FAS2520
ONTAP 9.7まではそれぞれの階層化ポリシーでデータ読み込み時のデータの移動動作が異なっていました(FabricPoolアーキテクチャ紹介 〜その2〜 を参照)。ONTAP9.8からCloud retrievalという機能が実装されティアリングポリシーがどれであれCloud retrievalポリシーに従いCloud TierからLocal Tierへデータが移動するようになりました。
Cloud retrievalポリシーは以下の4つのポリシーを指定します。
・Default
・Never
・On-Read
・Promote
Cloud retrievalは以下のコマンドで設定します。
それぞれのCloud retrievalポリシーを指定した際の動作を説明します。
▶ Default
▶ Never
コールドブロックが読み込まれてもCloud TierからLocal Tierへデータは移動せず、Cloud Tierからコントローラを介してデータが読み込まれます。
▶ On-Read
コールドブロックが読み込まれる際にランダムリード、シーケンシャルリードのどちらであってのLocal Tierへデータを移動します。
▶ Promote
Local Tierへのデータ移動が許可されている階層化ポリシーが設定されている際、1日1回のTiering ScanのときにデータをCloud TierからLocal Tierに移動させます。
【Promoteの例①】
1.階層化ポリシーがAutoポリシーの際にデータを保存
2.階層化ポリシーをNoneポリシーに変更
3.Cloud retrievalポリシーをPromoteに変更
4.Tiering Scanでコールドデータがホットデータになる
【Promoteの例②】
1.階層化ポリシーがAutoポリシーの際にデータを保存
2.階層化ポリシーをSnapshot Onlyポリシーに変更
3.Cloud retrievalポリシーをPromoteに変更
4.Tiering ScanでSnapshot以外のコールドデータがホットデータになる
今回のアップデートではHDDのFASの対応やデータ配置に関するアップデートなど、より柔軟な構成に重点を置いたアップデートになっていました。
これまでHDDのFASは持っていたがAll Flash環境がなく試すことができなかった方もいらっしゃるかと思います。ONTAP 9.8を機にぜひFabricPoolをお試し下さい。
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