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FabricPool 〜ONTAP 9.8でのアップデート内容紹介〜

ストレージ / HCI
2021.02.17
 
みなさん、こんにちは
SB C&S 技術担当の小川です。
 
NetAppのOS機能を担う統合管理ソフトウェアのONTAPにはパブリッククラウドなどのオブジェクトストレージとの階層化を実現する『FabricPool』という機能があることを以前ブログで紹介しました。
 
 
これまでのFabricPoolも非常に便利な機能でしたがONTAP 9.8で更に機能が強化されました。今回はその中でも代表的なアップデート内容を紹介します。
 
 ONTAP S3への階層化             
 
 
これまでのFabricPoolではパブリッククラウドで提供されるオブジェクトストレージへの階層化やオンプレのStorage GRIDへの階層化を提供していました。ONTAP 9.8からはS3プロトコルを利用可能に設定したONTAPへの階層化が可能になりました。ONTAP S3については以下のブログをご参照下さい。
 
 
なお、Cloud TierとしてONTAP S3を利用する場合のライセンス費用は発生しません。
ONTAP S3をCloud Tierとして利用する場合の最大容量は300TBまでとなっているためご注意下さい。
 
01_ONTAP 9.8_FabricPool_FAS対応.png
 
 HDD搭載のFASシリーズのFabricPool対応             
 
 
ONTAP 9.7までのFabricPoolはAFFシリーズかSSDフル搭載のFASシリーズで設定が可能でしたが、ONTAP 9.8からはHDD搭載のFASシリーズでもFabricPoolの設定が可能になりました。
ただし利用できないモデルもあるのでご注意下さい。FabricPoolを利用できないFASシリーズは以下のモデルです。
 
・FAS8020
・FAS2554
・FAS2552
・FAS2520
 
 未アクセスを判断する期間の延長             
 
 
ONTAP 9.7まではデータの未アクセスを判断する期間を2〜63日で設定できました(FabricPool アーキテクチャ紹介 〜その1〜 を参照)。ONTAP 9.8からはこの期間が長くなり183日まで設定が可能になりました。
 
 Cloud retrieval             
 
 
ONTAP 9.7まではそれぞれの階層化ポリシーでデータ読み込み時のデータの移動動作が異なっていました(FabricPoolアーキテクチャ紹介 〜その2〜 を参照)。ONTAP9.8からCloud retrievalという機能が実装されティアリングポリシーがどれであれCloud retrievalポリシーに従いCloud TierからLocal Tierへデータが移動するようになりました。
Cloud retrievalポリシーは以下の4つのポリシーを指定します。
 
・Default
・Never
・On-Read
・Promote
 
Cloud retrievalは以下のコマンドで設定します。
 
volume modify -vserver <SVM名> -volume <ボリューム名> -cloud-retrieval-policy <default|never|on-read|promote>
 
それぞれのCloud retrievalポリシーを指定した際の動作を説明します。

▶ Default

コールドブロックが読み込まれると、階層化ポリシーのデフォルトの動作が使用されます。デフォルトの動作はFabricPoolアーキテクチャ紹介 〜その2〜 を参照して下さい。

▶ Never

コールドブロックが読み込まれてもCloud TierからLocal Tierへデータは移動せず、Cloud Tierからコントローラを介してデータが読み込まれます。
 
02_ONTAP 9.8_FabricPool_Never.png

▶ On-Read

コールドブロックが読み込まれる際にランダムリード、シーケンシャルリードのどちらであってのLocal Tierへデータを移動します。
03_ONTAP 9.8_FabricPool_On-Read.png

▶ Promote

Local Tierへのデータ移動が許可されている階層化ポリシーが設定されている際、1日1回のTiering ScanのときにデータをCloud TierからLocal Tierに移動させます。
 
【Promoteの例①】
 1.階層化ポリシーがAutoポリシーの際にデータを保存
 2.階層化ポリシーをNoneポリシーに変更
 3.Cloud retrievalポリシーをPromoteに変更
 4.Tiering Scanでコールドデータがホットデータになる
 
04_ONTAP 9.8_FabricPool_Promote01.png
 
【Promoteの例②】
 1.階層化ポリシーがAutoポリシーの際にデータを保存
 2.階層化ポリシーをSnapshot Onlyポリシーに変更
 3.Cloud retrievalポリシーをPromoteに変更
 4.Tiering ScanでSnapshot以外のコールドデータがホットデータになる
 
05_ONTAP 9.8_FabricPool_Promote02.png
 
 
今回のアップデートではHDDのFASの対応やデータ配置に関するアップデートなど、より柔軟な構成に重点を置いたアップデートになっていました。
これまでHDDのFASは持っていたがAll Flash環境がなく試すことができなかった方もいらっしゃるかと思います。ONTAP 9.8を機にぜひFabricPoolをお試し下さい。
 
 

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著者紹介

SB C&S株式会社
技術統括部 第1技術部 2課
小川 正一(VMware vExpert)