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新人SEと学ぶ!Nutanixのキホン ~構築編~ 第7回 ストレージコンテナと仮想ネットワークの作成

ストレージ / HCI
2025.03.12

はじめに

こんにちは!SB C&Sの川衞です。この記事は「新人SEと学ぶ!Nutanixのキホン ~構築編~」の第7回となります。

「新人SEと学ぶ!Nutanixのキホン」シリーズでは、SB C&Sの新人SEメンバーがNutanixの「構築」「運用」「AHV機能」など、いくつかのテーマごとに検証した内容を連載記事として公開しています。今回の「構築編」では、Nutanix環境の構築方法を理解するために、Nutanix専用アプライアンスを用いてクラスターおよびAHVの仮想化基盤を構築していきます。これからNutanixを学びたい方はぜひ参考にしていただければ幸いです。以下「構築編」シリーズのリンクを掲載していますのでご参照ください。

~構築編~シリーズ連載記事
第1回 HCIとNutanixの紹介
第2回 Nutanix専用サーバーの中身をご紹介
第3回 Nutanixとスイッチ構成のご紹介
第4回 Foundation VMの構築
第5回 Foundation実行&クラスター作成
第6回 Prism初回ログインとNCC・LCMについて
第7回 ストレージコンテナと仮想ネットワークの作成

前回はNutanixクラスター作成後の初期作業として、Prism Elementへの初回ログインやNCC、LCMについて紹介しました。

今回は仮想マシン作成に向けて、仮想マシンの記憶領域となるストレージコンテナと、仮想マシンに割り当てる仮想ネットワーク(VLAN)を作成していきます!

ストレージコンテナの作成

ストレージコンテナとは

スクリーンショット 2025-02-25 140436.png

ストレージコンテナの説明に入る前に、まずはストレージプールについて説明します。

クラスタに存在する全ての物理ストレージは、CVMの中のAOSというソフトウェアによって、各サーバーのローカルのディスクを束ねたAOS Storage(分散ストレージファブリック)と呼ばれる大きな共有ストレージとなります。この大きな共有ストレージのことを、Nutanixではストレージプールとして扱います。

作成したストレージプールの中には論理的なストレージ領域が作成され、そこに仮想マシンのvDiskなどを配置しますが、この、ストレージプールの中に作成される論理的なストレージ領域のことを、ストレージコンテナと呼びます。

ストレージコンテナの設定についてですが、まず最初に認識していただくこととして、ストレージコンテナはシンプロビジョニングとなります。そのため、いくつコンテナを作ったとしても容量制限等を設定しない場合は、どのコンテナからもストレージプールの全容量が見える形となります。

また、Nutanixでは重複排除や圧縮といったキャパシティ最適化に関わる設定が可能となりますが、それに加えて複製データ保持数、予約容量、容量上限(Disk Quota)を含めたこれらのストレージポリシーが設定できるのは、このストレージコンテナ単位となります。

スクリーンショット 2025-03-07 115728.png

※一番容量効率の良い使い方は、ストレージコンテナを1つとして重複排除と圧縮を有効にすることです。例えば特定の重要なデータは3重コピーにしたいなどの要件がある場合は、コンテナを別途作成する必要があります。

ストレージコンテナ作成手順

それでは、実際にPrismの画面からストレージコンテナを作成していきます。

1.Prism の [ストレージ] メニューを開きます。

スクリーンショット 2025-02-26 163314.png

2. [ストレージ] 画面の [概要] では、現在のストレージ使用状況や IOPS の概要が表示されます。

スクリーンショット 2025-02-26 164324.png

3. [ストレージ] 画面の [ダイアグラム] では、ストレージの詳細情報が確認できます。また、画面中央部の各タブをクリックするとディスク使用状況の詳細やアラート等の情報が確認できます。

スクリーンショット 2025-02-26 164903.png

4. [ストレージ] 画面の [テーブル] →[Storage Pool] では、作成されているストレージ プールが表示されます。デフォルトでは [default-storage-poolXXXX] が作成されています。

スクリーンショット 2025-02-26 173557.png

5. 次に [Storage Container] をクリックします。作成されているストレージコンテナが表示されます。デフォルトでは以下のコンテナが作成されています。

・default-container-XXXX:仮想マシンの領域として使用可能
・NutanixManagementShare:FilesやObjectsなどのNutanix機能や、その他の内部ストレージのニーズに使用
・SelfServiceContainer:NCM セルフサービス ポータルによって仮想マシンのプロビジョニングに使用

つづいて画面の右上にある [+ ストレージ コンテナ] をクリックします。

スクリーンショット 2025-02-26 173243.png

6.作成するコンテナの情報を入力します。[NAME]に任意のコンテナ名を入力し、[STORAGE POOL]ではdefault-storage-pool-XXXXを選択します。入力したら [Advanced Settings] をクリックします。

スクリーンショット 2025-03-07 120404.png

7.[Advanced Settings] では、圧縮、重複排除、複製データ保持数、予約容量、容量上限といったコンテナのストレージポリシーを設定します。

また先ほどご説明したように、ストレージコンテナはシンプロビジョニングとなります。そのためいくつコンテナを作ったとしても、容量制限等を設定しない場合はどのコンテナからもストレージプールの全容量が見える形となります。そのためストレージコンテナには、予約容量、容量上限といった、ストレージのオーバーコミットによる容量あふれを防ぐ機能を設定することができます。

・予約容量(Reserved Capacity):ストレージコンテナの容量を予約する機能。他のストレージコンテナの空き容量からはこの予約した容量が削減された状態となる。予約容量を超過しても、ストレージプールに空き容量があればデータを書き込みができる。

・容量上限(Advertised Capacity):ストレージコンテナの容量に対して上限を設定する機能。それぞれのコンテナで容量制限したい場合に設定する。容量上限で上限を指定しても、ストレージプールの空き容量に変化はない。

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今回はデフォルトのまま設定は変更せずに、[Save] をクリックしてコンテナを作成します。

※default-container-XXXXは圧縮(Compression)がデフォルトでオフになっていますが、ストレージコンテナの新規作成時は、圧縮(Compression)はデフォルトでオンになっています。圧縮は基本有効にしておくことが推奨となります。

8. 新規のコンテナが作成されました。正常にコンテナが作成されると、画像のようなポップアップが表示されます。

スクリーンショット 2025-03-07 120626.png

また、検索ウィンドウにコンテナ名を入力することで表示を絞り込むことができます。

スクリーンショット 2025-02-28 111245.png

以上でストレージコンテナの作成は完了となります。ストレージコンテナはストレージプールを論理的に複数に分割することができますが、あくまで最初に必要な分のコンテナを作成しておき、そこに仮想マシンを配置する運用が推奨となります。冗長性レベルをワークロードによって使い分けたい、部門毎に容量予約や上限を設定したいといった、特別な要件が無い限りは不必要に分割する必要はありません。

続いて、仮想ネットワークを作成します。

仮想ネットワークの作成

仮想ネットワーク(VLAN)は、Virtual Switch (vs) と呼ばれる仮想スイッチ上に存在します。

まず各ノードには、ブリッジ(br)と呼ばれるものが存在します。さらにVirtual Switch (vs) と呼ばれる仮想スイッチが、ノードをまたいでクラスター全体に作成されます。さらにこのVirtual Switch (vs) に対して、仮想ネットワークを作成することができます。仮想マシンに対しては静的IPアドレスを設定することもできますが、IPAMと呼ばれる DHCPに相当する機能を仮想ネットワークに設定することができます。この仮想ネットワークに対して仮想マシンが接続して、ある特定のVLANネットワークに参加していく、といったような仕組みになります。

スクリーンショット 2025-03-05 140458.png

ブリッジ(br)のアップリンクはアップリンクボンドポートとして、チーミングされた形で物理NICと紐づけられます。この際、Active-Backupと呼ばれる設定を行うことで、片方のリンクがアクティブとして常に通信を行い、一方は待機系として、アクティブな方に何か障害があればアクティブに切り替わるといったような構成にすることができます。

物理 NIC のチーミング設定はActive-Backupのほかにも、Balance-SLB、Balance-TCPと呼ばれる設定があります。この2つの設定は、どちらのポートも通信を行う、Active-Activeの設定となります。NutanixではActive-Backupがデフォルトの設定かつ推奨の設定となります。

※Active-Activeの設定の場合、物理スイッチ側でLACPの設定が必要となる場合があります。Nutanixではデータローカリティの機能で極力ネットワークのリソース負荷を軽減しているため、Active/Activeの構成のように両方の帯域をフルで使用するようなネットワークのリソースを必要としません。そのためActive-Backupがデフォルトの設定かつ推奨の設定となります。

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仮想ネットワーク作成手順

それでは、実際にPrismの画面から仮想ネットワークを作成していきます。

1. [仮想マシン] 画面の右上にある [ネットワーク設定] をクリックします。

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2. [+ネットワークを作成] をクリックします。

スクリーンショット 2025-03-06 002536.png

3. [名前]と[VLAN ID] を入力し、[IP アドレス管理を可能にする]のチェックは今回は外しておきます。つづけて[保存]をクリックします。

※vs0はクラスター作成時に作成されます。

スクリーンショット 2025-03-07 124130.png

4. 新規の仮想ネットワークが作成されました。正常に仮想ネットワークが作成されると、画像のようなポップアップが表示されます。

スクリーンショット 2025-03-07 123840.png

最後に

以上でストレージコンテナと仮想ネットワークの作成が完了しました。ストレージコンテナと仮想ネットワークがそれぞれNutanix環境においてどのような役割を果たし、Prismからどのように作成するのかをご紹介しました。ご覧いただいたように、Prismから感覚的な操作で作成できることが理解いただけたかと思います。Prismはこの他にも、Nutanix環境における様々な設定が感覚的な操作で可能となります。その他の機能や操作も今後ご紹介していきます。

次回はいよいよ仮想マシンの作成に入ります。お楽しみに!

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
川衞 優大