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新人SEと学ぶ!Nutanixのキホン ~構築編~ 第2回 Nutanix専用サーバーの中身をご紹介

ストレージ / HCI
2024.09.25

はじめに

はじめまして!SB C&Sの吉水です。この記事は「新人SEと学ぶ!Nutanixのキホン ~構築編~」の第2回となります。

「新人SEと学ぶ!Nutanixのキホン」シリーズでは、SB C&Sの新人SEメンバーがNutanixの「構築」「運用」「AHV機能」など、いくつかのテーマごとに検証した内容を連載記事として公開しています。今回の「構築編」では、Nutanix環境の構築方法を理解するために、Nutanix専用アプライアンスを用いてクラスターおよびAHVの仮想化基盤を構築していきます。これからNutanixを学びたい方はぜひ参考にしていただければ幸いです。以下「構築編」シリーズのリンクを掲載していますのでご参照ください。

~構築編~シリーズ連載記事

第1回 HCIとNutanixの紹介
第2回 Nutanix専用サーバーの中身をご紹介
第3回 Nutanixとスイッチ構成のご紹介
第4回 Foundation VMの構築(仮)
第5回 Foundationの設定(仮)
第6回以降も作成予定

今回はNutanix専用アプライアンスとなるサーバーの天板を開けて中身を確認し、機能を紹介していきたいと思います!Nutanixの物理サーバーの中身を確認する機会はあまりないかと思いますので、初心者の方はもちろん、普段からサーバーを運用管理されている方も、新人になった気持ちでご覧いただけたらと思います。

Nutanixのサーバーは様々なメーカーから専用モデルが提供されています。今回は富士通製のNutanix専用モデルであるXF1070 M3を用いて検証していきます。こちらはPRIMERGY RX2530 M6という型番のサーバーをベースに、Nutanix専用モデルとして提供されているものです。

ちなみに、Nutanixではハイパーバイザーがインストールされる物理サーバーの事を「ノード」と呼びますが、この記事では一般的なサーバーやハードウェア観点の内容を紹介しますので、あえて「サーバー」という呼称を使用します。

サーバー開梱

さっそくNutanix専用の物理サーバーを開けて中身を見てみましょう。天板を開けると大小様々な部品で構成されているのが確認できます。ここからは、サーバー内の主要なコンポーネントの外観と機能を紹介していきます!

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CPU

データ処理や命令の実行をするための部品で「中央処理装置」とも呼ばれ、サーバーの脳に例えられるほど重要なパーツです。CPUは複数のコアで構成されており、コア数を増やすことによってより多くの並列処理ができるようになります。CPUは稼働中に発熱するため、冷却のためのファンが付いています。一般的なサーバーにはCPUを2ソケット搭載しているものも多いですが、今回は1ソケット構成のサーバーを用いて検証していきます。

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メモリ

データを処理する際に一時的にデータを保管するための部品で「主記憶装置」とも呼ばれます。CPUと近い所に配置することで迅速な処理を行うことができ、メモリ容量が大きいほど、一度により多くのデータを処理することができます。写真では多数のメモリスロットがマザーボード上に搭載されていますが、使用するメモリの枚数や容量によって、メモリの搭載位置となる配列が決められています。このサーバーには16GBのメモリが8枚搭載されていました。

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ストレージ

長期的にデータを保管する部品で「補助記憶装置」とも呼ばれます。Nutanix HCIのストレージとして使用されるデバイスとしては、主に次の2種類があります。

  • SSD:データの読み書きが高速で耐久性にも優れているため、利用頻度の高いデータやハイパフォーマンスが要求されるデータの保管先として適しています。
  • HDD:大容量のデータを低コストで保存できるので、長期保管のデータやバックアップなどの用途にも適しています。

今回使用したサーバーでは、SSDとHDDのハイブリッド構成が組まれています。下の画像の左側が1.9TBのSSD、右側が6TBのHDDです。ハードウェアモデルにもよりますが、リソース要件によって様々な容量を選択することができます。

ちなみに、Nutanixのストレージには階層化機能が標準搭載されており、ハイブリッド構成ではSSD層にホットデータを、HDD層にアクセス頻度の低いコールドデータを配置します。

参考
https://www.nutanixbible.jp/#anchor-ストレージの階層化と優先順位付け

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M.2 SSD

M.2の接続端子を持ったフラッシュストレージです。M.2とは接続端子の規格の事であり、高速なデータ伝送が可能なSSDとして機能します。Nutanix専用サーバーにはブートデバイスとしてM.2 SSDが搭載されており、ハイパーバイザーの実体や、ストレージコントローラの役割を果たす仮想アプライアンス(CVM)のブート領域が保存されます。通常は2枚のM.2 SSDでミラーリングして冗長構成にします。

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電源

サーバーに電力を供給する装置の事をPower Supply Unit(PSU)と呼びます。Nutanix専用モデルでも一般的なサーバーと同様、100Vまたは200V電源に対応したPSUが搭載されます。商用環境で使われるサーバーでは、画像のように2台のPSUを搭載して冗長化します。これにより、片方の電源が故障した場合でも、サーバーは停止することなく稼働を続けます。

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NIC

サーバーと通信機器を接続するための部品をNIC(Network Interface Card)やLANカードと呼びます。Nutanix専用モデルではRJ-45やSFP+, SFP28など、様々な規格から要件に合わせてNICを選択できます。今回の検証機には以下2種類のNICが搭載されていました。

  • 10Gbase-T RJ-45の2ポートNIC
  • 10Gbase-SR SFP+の2ポートNIC

ちなみに、サーバー・スイッチ間のネットワークは、NICの各ポートや複数のNICをまたいで冗長化することができますが、Nutanix環境においても一般的な仮想化製品と同様に、アップリンクのチーミング設定で冗長化します。また、PCIの空きスロットも用意されており、必要に応じてNICを追加することができます。

IPMI

サーバーをリモートで管理できる標準インターフェースの事をIPMI(Intelligent Platform Management Interface)と呼びます。各メーカーがIPMIに対応した独自のチップを提供しており、今回の検証機には富士通製のiRMCというチップが搭載されています。一般的なサーバーにはIPMIに接続するための管理ポートが搭載されており、リモートからサーバーの電源ON/OFFやコンソール操作ができるようになります。Nutanix専用サーバーにも、IPMI(iRMC)管理用ポートが標準的に搭載されています。

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ラッキング

今回は検証用にサーバーを3台ラッキングします。サーバーラックにブレードを取り付け、長さを調節して1台ずつラッキングしていきます。サーバーラックには、搭載位置を示すユニット番号が割り当てられており、ラック搭載図などのドキュメントで管理することが一般的です。

サーバーラッキング.png

3台のNutanixサーバーのラッキング作業が終わった図がこちらです。

クラスターラッキング.jpg

最後に

いかがだったでしょうか。今回はNutanixサーバーの中身を確認し、基本となる構成部品を紹介しました。一般的なエンタープライズ向けサーバーではシステムを安定稼働するための冗長性やパフォーマンス向上のための拡張性が備わっていますが、Nutanix専用モデルにおいても同様の設計であることがお分かりいただけたかと思います。今後のNutanixの提案や導入に際して、今回ご紹介したようなハードウェアの知識が少しでも役に立てば幸いです。

次回はスイッチの接続やIPアドレスの設定を行い、Nutanixのネットワーク環境を準備する様子をお届けしますので、お楽しみに!

第3回の記事はこちら

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 3課
吉水 崚 - Ryo Yoshimizu -