
はじめに
みなさん、こんにちは。SB C&Sの沖田です。
今回は、Nutanixの機能の一つであるProtection Domainと、それを利用したバックアップの取得方法を紹介します。
Protection Domainとは
NutanixにおけるProtection Domainとは、データ保護を行う際の基本的な単位です。
Protection Domainを作成すると、仮想マシンやボリュームグループを一つのグループとしてまとめることができ、グループ単位でバックアップやリストアを行うことができます。
また、バックアップを行う際は、スケジュールや保持する世代数を柔軟に設定することができます。
その設定により自動的にスナップショットが作成され、古い世代は順次削除されます。
スナップショットは差分管理で保存されているため、ストレージ消費を抑えながら必要な復元ポイントを確保できる仕組みとなっています。
取得したスナップショットはローカルクラスター内に保持するだけでなく、リモートサイトへレプリケーションすることも可能です。
これにより、障害対応だけでなく災害復旧(DR)や事業継続(BCP)といった要件にも対応できます。
このように、Protection Domainは「どの仮想マシンを、どのような頻度で、どのくらいの期間保護するか」をまとめて管理できる仕組みです。
バックアップとスケジュール設定
ここからは実際の設定方法を解説していきます。
Prism Elementのホーム画面左上のメニューから「Data Protection」を選択し、「Table」→「+ Protection Domain」→「Async DR」と押下します。
Protection Domain名を入力し、「Create」を押下します。
次に、保護対象とする仮想マシンを選択し、Protection Domainに追加します。
保護する仮想マシンにチェックを入れ、画面左下の「Protect Selected Entities」を押下すると、対象の仮想マシンが左側(Unprotected Entities)から右側(Protected Entities)へ移動していることが分かります。
保護対象の仮想マシンを右側へ移動させたら「Next」を押下します。
最後に、スケジュールを設定します。
画面右上の「New Schedule」を押下します。
ここではバックアップの実行タイミングや保持する世代数を指定します。
例)
・取得タイミング:毎日AM 2:00
・保持する世代数:7
・開始日時:2025/9/26
NCI-Starterライセンス(標準ライセンス)では、最短1時間に1回の間隔でスナップショットを取得できます。
設定が完了したら「Create Schedule」を押下します。
スケジュールを設定すると一つ前の画面に戻り、先ほど設定したスケジュールが表示されます。
ここからさらに「New Schedule」を押下すると、同じ保護対象の仮想マシンに対して異なるスケジュールを設定することもできます。
リストア
Nutanixでは、Protection Domainに基づいて保存されたスナップショットを利用し、仮想マシンを任意の時点に復元できます。
リストアしたい対象のProtection Domainを選択し、「Local Snapshots」を押下します。
【バックアップとスケジュール設定】で指定したスケジュール通りにスナップショットが取得されているのが確認できます。
指定したスケジュール以外にも、「Take Snapshot」からもスナップショットを取得できます。
リストアしたいスナップショットの「Restore」を押下します。
対象の仮想マシンを選択し、上書きする(Overwrite existing entities)か別の仮想マシンとして新しく作成する(Create new entities)かを選択します。
新しく作成する場合は、接頭辞を指定します。
デフォルトでは、「Nutanix-Clone-"VM名"」として新たに作成されます。
※リストア時の注意点として、別の仮想マシンとして新しく作成した場合はネットワーク設定に留意が必要です。
元の仮想マシンと同じIPアドレスを持つと競合が発生するため、分離したネットワークを利用するか、復元後にIP設定を変更するなどの対応を行うことが推奨です。
仮想マシン一覧画面に移ると、すぐにリストアされた仮想マシンを確認できます。
最後に
いかがだったでしょうか。
今回は、Protection Domainによるバックアップについて紹介しました。
スケジュールや保持する世代数の設定など、非常にシンプルかつ直感的な操作で行えることを理解していただけたと思います。
より詳細なNutanixローカルバックアップを確認されたい方は、以下の記事も参照ください。
Nutanixのローカルバックアップ機能の紹介
本記事ではローカルサイトへバックアップを取得しましたが、次回はリモートサイトへのレプリケーションや、Disaster Recovery運用について紹介していこうと思いますのでお楽しみに。
著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 ソリューション技術統括部 ソリューション技術部 1課
沖田 志雲