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VxRail VD-4000 の電源操作をオムロン UPS で行うには?

ストレージ / HCI
2024.09.17

こんにちは。SB C&Sの湯村です。

先日公開した記事で、Dell Technologiesのエッジ環境向けサーバー「PowerEdge XR4000」から派生した仲間たちとして、「VxRail VD-4000」というHCIがあるとご紹介しました。加えて、オムロンソーシアルソリューションズ株式会社(以下、オムロン)からリリースされたエッジ環境向けのUPS「BVシリーズ」と組み合わせることによって、エッジ環境で稼働するシステムを電源障害から保護できるようになります。

今回はオムロンにご協力いただき、BVシリーズを使用してVxRail VD-4000の電源操作(シャットダウンおよび起動)の動作確認していただきました。オムロンのUPSソリューションを使用してVD-4000の電源制御をどのように行うのかご紹介します。

なお、VxRail VD-4000については以下の記事で紹介されていますので、どのようなHCIなのか是非一度ご覧になってください!

<VxRail VD-4000紹介記事>
小規模HCIといえばコレ! 超小型2ノードvSAN「VxRail VD-4000」の全貌

1. 仮想化環境に最適なオムロン社の UPS

1.1. オムロン社 UPS に関する技術情報はこちら

本記事でも簡単にご紹介しますが、オムロン社のUPS関連ソリューションについてはENGINEER VOICE技術ブログで過去にも多くご紹介しておりますので、是非一度そちらをご覧ください。

<オムロンUPS関連の技術ブログ>
vSAN構築経験があるエンジニアがVxRailを触ってみた 〜UPS紹介編〜
NutanixとオムロンUPSで構成するシンプルな仮想化基盤の実現
VirtuAttendantの導入方法と基本設定
VirtuAttendantとNutanixの強固な連携機能
Nutanix × オムロンUPS 2020年10月アップデート内容を紹介

1.2. 仮想化環境で使用する "2つの神器"

一般的な仮想化環境では、管理系仮想マシン・ユーザー仮想マシン・ハイパーバイザー・共有ストレージ(SDS)の要素で構成されることが多いですが、この環境を丸ごとシャットダウンする際は "正しい順序" に従って実行する必要があります。

vSphereを基盤とするHCIであるVxRailは、以下の要素で構成されています。vSANデータストア以外の要素については電源制御が必要になりますが、適当な順番でシャットダウンしてはいけません。

  1. ユーザー仮想マシン
  2. vCenter Server(管理系仮想マシン)
  3. VxRail Manager(管理系仮想マシン)
  4. ESXiホスト(ハイパーバイザー)
  5. vSANデータストア(共有ストレージ)

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VxRailの場合は以下のような順序に従う必要がありますが、あらかじめユーザーが作成した仮想マシンを手動で停止しておけば、あとはVxRailのクラスターシャットダウン機能で自動で順番に停止してくれます。

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では、電源障害時にUPSによる電源制御へ切り替わった場合、どのようにシャットダウンすればよいでしょうか?

オムロンUPSでは、以下 "2つの神器" を使ってVxRailクラスターを安全にシャットダウンすることができます。

神器①:仮想化専用 自動シャットダウンソフト「VirtuAttendant」

VirtuAttendant(ヴァーチュ・アテンダント)は、UPSに関する設計・設定・テストの工数を削減することをコンセプトにした非常に頭の良いソフトウェアです。仮想化環境で動作する仮想アプライアンスとして提供されます。仮想化環境で稼働している仮想マシンの停止と起動を担当しています。Webブラウザによるわかりやすい管理画面を提供しています。自分自身も仮想マシンであるため、クラスターをシャットダウンする際はVirtuAttendantも一緒にシャットダウンされます。

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神器②:ネットワークカード「SC22」

SC22UPSに装着するネットワークカードです。Webブラウザによる管理画面で、あらかじめ実行したいコマンドを登録しておくことで、SSH接続後にコマンドを自動で実行してくれます。そのため、VirtuAttendantが実行できないクラスター(ハイパーバイザーホスト)のシャットダウンを担当します。

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以上、「VirtuAttendant」と「SC22」について簡単にご紹介しました。これらはVxRailだけでなく、Nutanix/vSAN/Azure Stack HCI/3Tier構成 のメジャーな仮想化環境に全て対応 しています。特にNutanixについては親和性が高いことが認められ、2023年8月にNutanix Ready Integratedの認定を取得しています。
※旧型のネットワークカード「SC21」はNutanix Ready AHV/Integrated の認定を取得 しています。

2. 検証結果のご紹介

それでは、オムロンに実施していただいた検証についてご紹介します。

2.1. 検証内容

VxRail VD-4000r(ラックマウント型)にUPS BV100REMを接続し、VirtuAttendantおよびSC22を使用して以下の動作検証を行いました。

検証①:停電などの電源障害時を想定したVxRailクラスター自動シャットダウン

UPS自体に供給している電源をストップさせて(ケーブルを抜く等)、疑似的に停電状況を発生させます。SC22にはクラスターシャットダウン機能を実行するコマンド(※1)を登録しておくことで、全ての要素を自動で順番にシャットダウンできます。

(※1)VxRailクラスターの運用管理は、VxRail REST APIを使用することでGUIと同じように実行できます。VxRail REST APIについては「VxRail Appliance API User Guide」にまとまっていますので参考にしてください。また、具体的なコマンド例を知りたい場合は、VxRail導入後に使えるようになるAPIツールで確認することができます。APIツールは以下のURLでブラウザアクセスすることができ、様々な管理操作をとても簡単に実行することができます。実際に実行されるコマンド(画像赤枠部分)も表示されますので、今回のようなスクリプトシャットダウンを計画する場合は利用してみてください!

<VxRail APIツール>
https://<VxRail Manager IP>/rest/vxm/api-doc.html#/

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検証②:復電時のVxRailクラスター自動起動

電源が復旧して再びVD-4000が通電した後は、各コンピュートノードのiDRACを経由してESXiホストの起動を行います。SC22にはiDRAC経由でサーバーを起動するコマンドを登録(※2)しておきます。VirtuAttendantの起動もSC22が行うように設定します。

(※2)iDRACはサーバーの電源がオフになっていても、通電しているだけで使用できるブラウザGUIで提供される管理モジュールです。リモートからサーバーの電源をオンにしたい場合は、iDRACにログインすることで電源操作を実行できます。今回のようにCLIでiDRACを操作する場合は「RACADM」と呼ばれるコマンドラインを使用します。SC22には [iDRACへのSSH接続] ⇒ [racadm serveraction powerup] のようなスクリプトを記述するとESXiホストを起動することができます。

2.2. 使用した検証環境

今回使用した環境は以下の通りです。

  • 電源制御対象
    • 筐体:VxRail VD-4000r(ラックマウント型筐体に以下ノードを搭載)
    • コンピュートノード:VD-4510c × 2
      ESXi 7.0 Update 3がインストール済
    • Witnessノード:VD-4000w × 1
      Witnessノードの中身はESXiがインストールされています。
    • Witness仮想マシン × 1
      ※実際のWitness役割はWitnessノードの中で稼働している仮想マシンが担います。
    • ユーザー仮想マシン × 7
      ※ゲストOSには次のOSを使用
      Ubuntu 21.04
      Oracle Linux 8.6Windows Server 2019Windows 10
  • オムロンUPS
    • BV100REM × 1
      ※今回は検証のため最低限の電源供給時間があれば問題ないですが、本番環境でUPSを導入する場合はVD-4000の消費電力を計算したうえで、UPSの台数や増設バッテリーの有無を検討しましょう。Dell TechnologiesではEIPTEnterprise Infrastructure Planning Toolと呼ばれる消費電力計算ツールを提供していますので、使用してみてください。
  • オムロンUPS 関連ソリューション
    • 自動シャットダウンソフト:VirtuAttendant 2.6.0
      VxRailクラスター上に構築される仮想アプライアンスであるため、自身も電源制御の対象になります。
    • ネットワークカード:SC22 1.10

検証環境のイメージは下図のようになります。

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2.3. 検証結果

最後に、それぞれの検証結果をご紹介します。

検証①の結果:VirtuAttendantとSC22の組み合わせによりVxRailクラスターが正常にシャットダウンされた。

当初の予定通り、VirtuAttendantによってユーザー仮想マシンと自分自身がシャットダウンされた後、SC22からVxRalクラスターシャットダウン機能が実行され、残りの要素についても順番にシャットダウンされました。下図はVxRailクラスターシャットダウン時のフローです。

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検証②の結果:復電後、iDRAC経由でESXiホストが起動され、VxRailクラスターが正常に起動した。
※VxRailはホストが起動すればユーザー仮想マシン以外の要素は全て自動で起動します。

下図はVxRailクラスター起動時のフローです。

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このように、電源障害時のVD-4000においても、VirtuAttendantとSC22を組み合わせることで安全にシャットダウンや起動を実行できることを確認できました。今回はVirtuAttendantやSC22の詳しい設定方法を割愛させていただきましたが、NutanixだけではなくVxRailにも親和性が高いことがご理解いただけるかと思います。

次回は、2ノードNutanixクラスター環境における検証結果を公開予定です。是非楽しみにしてください。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 2課
湯村 成一 - Seiichi Yumura -

Dell Technologies社製品のプリセールス業務を行うエンジニア。
主にVxRail・Azure Stack HCIといったHCI製品を担当している。