IT管理者向け
画像
  • ★ この記事は5分で読めます。
この記事のライター:Microsoft 365 相談センター 五味ちゃん

こんにちは、Microsoft 365 相談センターの五味です。Microsoft 365は1ユーザーに1ライセンスが必要な「ユーザー サブスクリプション」なのですが、共有PCを使っているために、Microsoft 365のような「ユーザー ライセンス」の場合、どうすれば良いのか悩まれるお客さまも多くいらっしゃいます。昔から現在まで、非常によくお問い合わせをいただく質問の一つなんですよね。

今回の記事では、 【 共有PCでMicrosoft 365を使うのに必要なライセンスと、共有PC利用時の設定 】 について解説していきますので、販売店のご担当者さまはもちろん、エンドユーザー管理者の方にもぜひご一読いただけたら嬉しいです。

[ブログ]共有PCでM365 Appsを利用する条件まとめ

1.[はじめに理解しよう]Microsoft 365 = ユーザーサブスクリプション

共有PCについてお問い合わせいただく方の中には、共有PCでOfficeライセンスを使うと考えた時に、どうしてもデバイス目線、デバイス中心の考え方になってしまうので、Microsoft 365のライセンスが「ユーザーサブスクリプション」であるという前提を忘れてしまっていたり、理解されていないケースもあります。

そこでまず、Microsoft 365はユーザーサブスクリプションであるということを改めてお伝えしたいと思います。
ユーザーサブスクリプションはユーザーライセンスと読み替えていただいても結構です。

Microsoft 365は、原則従業員1名に対して1つのライセンス(サブスクリプション)が必要なユーザーサブスクリプションです。そのため、1 つのユーザーライセンスを「複数人で共有して使う」ことはライセンス規約違反に該当いたします。すると、『同時に使わなければよいのでしょ』と勘違いされて、今日はAさん、明日はBさんというように、「複数人で使いまわす」ことを考える方もいらっしゃるのですが、もちろんそれも出来ません。
Microsoft 365 の既に割り当て済みのライセンスを他のユーザーへ「再割り当て」をする場合には、90 日ルール(90 日以内での再割り当ては禁止)が適用されるため、そう簡単に使い回すことが出来ないようになっています。(退職されて使わなくなった場合は別)

Microsoft 365 Apps を「大企業」向けの包括契約「EA/ESA」ライセンスで購入した場合のみ、 「デバイス(端末)」単位の Microsoft 365 Apps ライセンスが提供されるオプションがありますが、 NCE ライセンスでは「Microsoft 365 Apps のデバイスライセンス」は提供されません。

Microsoft 365 Apps の謎に探偵五味ちゃんが迫る!

2.Microsoft 365 App を「共有 PC」で利用するのに必要なライセンスと設定

Microsoft 365=ユーザーサブスクリプションというところをご理解いただいたところで、次にMicrosoft 365 Apps(Word, Excel, PowerPointなどのOfficeアプリケーションのこと)を共有PCで利用する場合に必要なライセンスと設定について解説いたします。

(1) 共有PCで利用するのに必要なライセンス

Microsoft 365 Appsを共有PCで利用するのに必要なライセンスは以下です。

  • Microsoft 365 Apps for enterprise
  • Microsoft 365 Apps for enterprise を含む Microsoft 365/Office 365
  • Microsoft 365 Business Premiumで契約したMicrosoft 365 Apps for business※
  • ※ご注意:Microsoft 365 Apps for business単体プランを契約しての「共有 PC」での利用はできません。

Microsoft 365の料金をシミュレート

(2) Microsoft 365 App を「共有 PC」で利用するための専用の設定

■【事前準備】共有 PCを利用する全ユーザー(人)に、共有コンピューターのライセンス認証設定ができるライセンスを割り当てる

Microsoft 365はユーザーサブスクリプションです。利用する方「全員」分のライセンスをご用意いただき、割り当てる必要があります。 ユーザーは、共有PCに自分のユーザー アカウントでサインインしてOfficeを利用します。

■共有 PCに初めてOffice をインストールする際は、共有PCのライセンス認証の設定を行う

通常、Microsoft 365 AppsはMicrosoft 365にwebブラウザからログインしてアクセスするポータルからインストーラーをダウンロードして実行しますが、通常通りインストールを実行しても、共有PCで利用出来る設定にはなっていません。Microsoft 365 Appsを共有PCで利用するには、そのための設定が必要です。Microsoft 365 Appsを共有PCで利用するには、そのための設定が必要です。
そのため、下記のような方法でMicrosoft 365 Appsをインストールし、共有PCで利用するための専用設定を行わなければなりません。

<Office 展開ツールを利用してOffice(Microsoft 365 Apps)をインストールする方法>

STEP1:
Microsoftが提供する「Office展開ツール」をダウンロードして実行(管理者としての実行が必要です。)

STEP2:
インストール対象のxmlファイル※に <Property Name="SharedComputerLicensing" Value="1″ />※ と記載

STEP3:
下記コマンドを実行してインストール
setup.exe /configure configuration-●●●●.xml

  • ※ configuration-Office●●●●.xml という名前のxmlファイルです
  • ※ <>は半角です。(当ブログの仕様でこのような表記になっておりますがご容赦ください...)
  • ※ xmlファイルの書き方についての詳細は、Microsoftの提供するドキュメントを参照してください。
    Office 展開ツールのオプションの構成:https://docs.microsoft.com/ja-jp/deployoffice/office-deployment-tool-configuration-options

■すでにOffice(Microsoft 365 Apps)がインストールされている場合は、3つのいずれかの方法で共有PCのライセンス認証を有効化

①グループポリシーを利用する場合

STEP1:
Microsoftが提供する「Office 用管理テンプレート ファイル (ADMX/ADML)」をダウンロードして実行(管理者としての実行が必要です。)

STEP2:
admxファイルを、セントラルストアの「PolicyDefinitions」配下に配置

STEP3:
Entraサーバーの「設定:共有コンピューターのライセンス認証を使用」を「状態:有効」にセット

②レジストリエディタを利用する場合

STEP1:レジストリエディターを起動して、以下の設定を実行

  • キー:HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Office\ClickToRun\Configuration
  • 名前:SharedComputerLicensing
  • 種類:REG_SZ
  • データ:1
③Microsoft サポートおよび回復アシスタントを使用する場合

STEP1:
Microsoftが提供する「Microsoft サポート/回復アシスタント」をダウンロードして実行(管理者としての実行が必要です。)

STEP2:
Officeに使用するアカウントを入力したら「開始」をクリック

STEP3:
「これは問題が影響しているコンピューターですか?」という画面に遷移するので [はい] をクリック

STEP4:
「この処理を開始するには[再起動]をクリックしてください」と出たら [再起動] をクリック

STEP5:
「現在インストールされている、共有コンピューターのライセンス認証が出来ない問題が見つかりました。修正しますか?」と出たら [はい] の状態にした上で [次へ]。共有コンピューターの問題が修正されました」と表示されるたら次へ、で完了!

(3)参考:Microsoft 365 Appsを共有PCで利用する際の使用許諾

Microsoft 365 Appsを共有PCで利用する際の使用許諾は以下の「製品条項」で確認ができます。
製品条項(オンラインサービスの場合:ライセンスの再割り当て): https://www.microsoft.com/licensing/terms/product/ForallOnlineServices/all

Microsoft 365 Apps の謎に探偵五味ちゃんが迫る!

3.まとめ

いかがでしたか?
今回は、【 共有PCでMicrosoft 365を使うのに必要なライセンスと、共有PC利用時の設定】について解説しました。参考になりましたでしょうか?

【 Microsoft 365 伝道師 五味ちゃんのワンポイントまとめ 】

  • Microsoft 365はユーザーサブスクリプション。
    共有PCで利用するのであっても、利用する全員分のライセンスの契約と割当てが必要!
  • Microsoft 365 Appsを共有PCで利用するのに必要なライセンスは、Microsoft 365 Apps for enterprise(またはそれを含む Microsoft 365/Office 365)
    ただし、Microsoft 365 Business Premiumで契約したMicrosoft 365 Apps for businessも対象です。
  • 共有PCに新しくOfficeをインストールするなら「Office展開ツール」を利用。
    通常通りインストールを実行しても、共有PCで利用出来る設定にはなっていないので注意!
  • すでにOfficeがインストールされている場合は、
    ①グループポリシーを利用する
    ②レジストリエディタを利用する
    ③Microsoft サポートおよび回復アシスタントを使用する
    のいずれかの方法で共有PCで利用するための専用設定を行う

この他、法人でのMicrosoft 365導入時(導入前)のご相談は、Microsoft 365相談センターまでお気軽にお問い合わせください。
Microsoft 365の専任スタッフが皆さまからのお問い合わせやご相談に丁寧に回答いたします。

  • ※ 導入後のお問い合わせは、販売店さま、もしくは購入後の問い合わせ窓口までお願いいたします。

それではまた、次回のブログでお会いいたしましょう!

Microsoft 365の法人での導入でお悩みならSB C&SのMicrosoft 365 相談センターにお問い合わせください!

IT管理者向けに関する記事

うちのテナント、いつアップグレードが適用されるの?
次のOSは「Windows 11」!要件や互換性、Win10/11それぞれのサポート期間などよくある質問にお答えします
Office 365の製品なのに
IT管理者向け Office 365の製品なのに"Azure" AD?
Office 365 Openライセンス新規利用/更新利用の仕方
IT管理者向け Office 365 Openライセンス新規利用/更新利用の仕方
20%値上げ前に!IT管理者なら理解しておきたい5つのポイント
もうOutlookを使った移行は要らない!Office 365へ直接インポート!
Officeの新しいインストール方式「クイック実行」
IT管理者向け Officeの新しいインストール方式「クイック実行」
法人の新規利用/更新利用のお客様へ、有効化処理にお困りですか?
Office 365のこと、どこに問合せすればいいの?
IT管理者向け Office 365のこと、どこに問合せすればいいの?
今後のWindows 7に対するOffice 365のサポート方針は?ESUをつけたらどうなる?
またまた安全性強化?標準でSharePointとOneDriveが暗号化される!?
Microsoft 365 Apps for businessだけを契約してTeamsが使えるのか?その真相を解説します
Microsoft 365・Office 365の管理センターについて機能や使い方を紹介
上限「300」はテナントごと!! Business系SKU購入条件変更まとめ
Microsoft 365の購入先/プラン/支払タイミングを変えられる?変えたらどうなる?
Teamsで組織外のユーザーとの通信を制御する方法
IT管理者向け Teamsで組織外のユーザーとの通信を制御する方法
アカウント乗っ取りや不審アクセス対策の心強い味方「Microsoft Defender for Cloud Apps」
Openライセンス終了後もOffice 365/Microsoft 365を使うには、どうすれば良い?
Windows 7 を Windows 10 Proにアップグレードする方法
IT管理者向け Windows 7 を Windows 10 Proにアップグレードする方法
ズバリ解説!Microsoft 365のテナントは統合できる?テナント間のライセンス移動は可能?
OneDrive for Businessの容量を拡張することは出来る?出来ない?ズバリ解説!
Microsoft 365の初期ドメイン(onmicrosoft.com)が既に使われているかどうかの調べ方
万が一に備え、絶対にやっておくべきMicrosoft 365ログ管理の強化とは?
Windows 7を継続利用するためのライセンス「ESU」と2021年の更新のご案内
永続ライセンスのOfficeと、Microsoft 365のクラウドサービスを接続して使える?真相を解説!
みんな使ってる!?IT部門のお悩みを解決する人気のオプションプランを紹介
テレワーク時代の端末紛失対策ならIntune!どんな管理設定ができるかご紹介します
AutoPilotとは?利用のメリットや従来の「イメージ展開」との違い、必要なライセンス・システム要件を解説!
「電子情報開示」(eDiscovery)とは?Microsoft 365ではどんな事ができる?
Microsoft 365 Defender サービスのイロハ ~含まれるサービスと旧名称、主な機能まとめ~
Microsoft 365を安心して使える理由!Microsoftの4つのセキュリティ対策
どこまで設定すれば安心?OneDrive for Businessの安全対策~どんな事ができる?どうやって設定する?~
Microsoft CSP:永続型ライセンス(Software in CSP) とは?メリデメ、対象製品などまとめてみた
不正サインインを防ぐ!Microsoft 365の多要素認証と注意したいこと
【Open プログラム変更】2022年1月以降、Open ライセンスでのOffice 365新規発行ができなくなります
Office 2019とOffice 365の「OSのシステム要件」とは
IT管理者向け Office 2019とOffice 365の「OSのシステム要件」とは
クラウドストレージだから尚更気になる!監査機能
IT管理者向け クラウドストレージだから尚更気になる!監査機能
Exchange OnlineでもグローバルIPで接続制限が可能に。
IT管理者向け Exchange OnlineでもグローバルIPで接続制限が可能に。
Office 365のOfficeにデバイス用ライセンスはありません!
管理者に朗報!使われなくなったTeamsのチームの自動削除機能
Office 365のOfficeの更新プログラムは管理できる?
IT管理者向け Office 365のOfficeの更新プログラムは管理できる?
Teamsは、外部ユーザーも招待できます
IT管理者向け Teamsは、外部ユーザーも招待できます
ちょっと難しい・・・SharePoint Onlineのアクセス権
IT管理者向け ちょっと難しい・・・SharePoint Onlineのアクセス権
Officeアプリの「商用利用権」とは?
IT管理者向け Officeアプリの「商用利用権」とは?
Microsoft 365のメールってどのくらい使える?メールボックスの容量や拡張可否まで、一挙解説

あなたにおすすめの資料

Microsoft 365相談センターでは、 Microsoft 365 により詳しくなれるお役立ち資料をご提供しています。

注目の記事

10月リリース!Office LTSC 2024情報まとめ
製品情報 10月リリース!Office LTSC 2024情報まとめ
Microsoft 365 Apps を共有PCで使うには?
IT管理者向け Microsoft 365 Apps を共有PCで使うには?
Copilot for Microsoft 365 対象製品拡大
製品情報 Copilot for Microsoft 365 対象製品拡大

あなたにおすすめの資料

Microsoft 365相談センターでは、 Microsoft 365 により詳しくなれるお役立ち資料をご提供しています。

製品についてのお問い合わせ

導入検討にあたって
情報収集中の方へ

Microsoft 365導入にあたって情報収集中の方に嬉しいホワイトペーパーをご提供しています。

導入でお困りの方へ

Microsoft 365導入にあたって不明点などございましたら、Microsoft 365相談センターへ。Microsoft 365に精通したスタッフが皆さまからのお問い合わせをお待ちしております。