こんにちは、Microsoft 365相談センターを運営している五味です。2025年10月14日に、Microsoftから重大なポリシー変更がサラッと発表されていた※ので、急いで記事を書いております。現時点で発表されている内容をまとめますが、まだ不明点も多く、最新情報については弊社の販推や営業担当にお問い合わせください。
というわけで今回は、今知っておきたい【 Microsoft 365のライフサイクルと新制度「EST」 】を分かりやすく解説します。販売店ご担当者さまはもちろん、エンドユーザーの契約ご担当者さまやIT管理者の方も、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
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ぜひ最後まで記事をお読みいただきたいのですが...
「5分でも時間が惜しい!」そんな忙しい皆さんに本記事のまとめを最初にお伝えします。
詳細はこの先にありますので、ぜひ気になった方は最後までお付き合いくださいね。
Before(~2026.3.31) | After(2026.4.1~) | |
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契約満了時に出来ること | Auto-renewがオフの場合、"無料の猶予期間"が開始 | - 契約終了と同時にサービス終了(猶予期間なし) - ESTに移行し有償継続 - ESTは毎月自動更新(いつでもキャンセルは可能) |
猶予期間 | 契約終了から30日間 | 廃止 |
料金 | 猶予期間は無償 | 月契約・月払料金+3%上乗せした価格(月次プランがない場合+23%) |
ただし、SB C&S商流でご契約いただいたMicrosoft 365 CSPサブスクリプションの場合、Auto-renewが「オン」になっているため、現在Microsoft 365 CSPをご契約いただいている場合、知らない間にESTに移行しているというケースは想定されません。
Microsoft 365は、サブスクリプションの契約期間が終了した後でも、一定期間サービスやデータにアクセスできる期間が設けられています。これを「猶予期間」(Grace Period)と呼称します。
Microsoft 365のサブスクリプションは、契約期間が終了すると、以下のフェーズを経て(これを「ライフサイクル」とも呼びます)最終的にMicrosoftのクラウド上から完全に削除されます。「猶予期間」とは以下のライフサイクルのフェーズ2「期限切れ」の期間を指します。
【フェーズ1】アクティブ
- 期間:契約期間中
- ユーザー:通常通り利用可能
- 管理者:M365、データ、アプリに通常アクセス
- データの状態:利用可能
- 再アクティブ化:―
【フェーズ2】期限切れ
- 期間:契約期間終了から30日間
- ユーザー:通常通り利用可能
- 管理者:管理センターにアクセス可
- データの状態:利用可能
- 再アクティブ化:可能
【フェーズ3】無効
- 期間:期限切れフェーズ終了から90日間
- ユーザー:利用不可(読み取り専用)
- 管理者:管理センターにアクセス可だが、ライセンス割当不可
- データの状態:管理者のみアクセス可
- 再アクティブ化:不可
【フェーズ4】削除済み
- 期間:無効フェーズ終了後
- ユーザー:完全に利用不可
- 管理者:操作不可
- データの状態:完全削除
- 再アクティブ化:不可
Microsoft 365のサブスクリプションは、現行では期限切れになってから最大 90 日間は無償でアクセスできましたが、2026年4月1日以降はこの猶予がなくなることが10月14日に発表されました。その代わりに導入されるのが、Extended Service Term(以下、EST)という有償の延長期間制度です。ESTは有償となりますが、契約満了後もサービスを止めずに継続できる「柔軟な延長期間」、とマイクロソフトは表現しています。
ESTが導入された理由は、LSPの価格レベル統一で話題になっているEA(Enterprise Agreement)などから CSP への移行時や、CSP の契約更新・継続時に、顧客が「ダブル課金 (二重請求)」を回避しながら、契約間の隙間を埋めるような猶予期間を設ける/旧契約との整合性を取るような調整をするためとしています。
EST に自動移行されるのは、次の条件をすべて満たすサブスクリプションです:
①2025年4月1日以降に購入された契約
②2026年4月1日以降に有効期限を迎える契約
③自動更新(Auto-renew)が「オフ」に設定されている契約
EST は 月次課金制で、その料金は月額料金(月契約・月払)に+3%上乗せした価格(月額プランがない場合は+23%)となるとのこと。ESTのSKU が価格表に追加(プレビュー価格)されるのは、2026年2月1日に予定されており、2025年10月17日時点では明確な価格は発表されていません。
なお、ESTに移行したユーザーは、ESTを継続利用(毎月自動で更新)することも出来ますが、任意のタイミングでESTをキャンセルしたり、標準サブスクリプションへ移行することも出来るとのことです。
ライセンスベースのサービス(Microsoft 365, Dynamics 365 など)で、CSP/MCA-E/Buy-Online 全チャネル共通
・ソフトウェアサブスクリプション(例:SQL Server, Visual Studio)
・永続ソフトウェア
・Azure Reservations, Third-party offers, Azure Savings Plans
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Q. | Auto-renewとは? |
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A. | Auto-renewとは、サブスクリプションの自動更新の有無を設定する項目のことです。 SB C&S商流でご契約いただいたMicrosoft 365 CSPのサブスクリプションにおいては、Auto-renewはデフォルトで「オン」に設定されています。そのため、気付かないうちにESTに移行するということはありません。 なお、解約申請をいただいた際に従来はAuto-renewを「オフ」に設定していました。今後は「オフ」にするとESTに移行されてしまうため、新たに設定される「キャンセル」に設定することで、解約申請いただいた後もESTが発生しないように手続きを行うことが想定されています。 |
Q. | Auto-renew の設定はどうやって行う? |
A. | Auto-renewの設定はSB C&S商流(SB C&Sから直接ないしSB C&Sの販売代理店さま経由でのご契約)でご契約いただいている場合、SB C&Sが設定を行うもので、お客様ご自身での設定変更は出来ません。 なお、SB C&S商流でご契約いただいている場合、Auto-renewはデフォルトで「オン」に設定されています。 ※SB C&Sの販売代理店さまにおいても、設定変更作業を行うことは出来ません。 |
いかがでしたか?今回はMicrosoft 365のサブスクリプションのライフサイクルと、2026年4月以降導入されるESTについて解説しました。
今回の変更によって「期限切れでもしばらく使える」運用慣習が完全に撤廃されるので、契約期間をきちんと管理し期限内にサブスクリプションの更新手続きを行う、ないし不要な分は契約終了の手続きを行うことがかなり重要になりますね。
とは言え、既に弊社経由でMicrosoft 365 CSPのサブスクリプションをご契約いただいている場合、"Auto-renew"はデフォルトでonとなっているので、ESTが知らない間に適用されてたなんてことは起こらないはずですから、そこはご安心くださいね。
買い切り型のSoftware in CSPで提供されるOfficeはどんどん値上げされていきますし、Microsoftとしても推奨していない状況です。他にも直近ではLSPから購入できるEAなど大規模ユーザー向けのライセンスも価格が見直されるなど、OfficeをはじめとするMicrosoft 365のサブスクリプションの購入を考えた際、ユーザーにCSPでの契約を選んでもらえるように、マイクロソフトが選択肢を意図的に狭めてきているなと感じますね。
とは言え、CSPはもちろん悪いものではありません。今や、Software in CSPなどでオンプレのOfficeライセンスを購入するよりも、CSPでMicrosoft 365 Appsを買ったほうが長期スパンで見ても安い時代です。
Microsoft 365 CSPライセンス導入のご相談や、ライセンスのお見積りは、ぜひSB C&SまたはSB C&Sの販売パートナー様までお問い合わせください。どんなライセンスが必要かお困りの方は、ぜひMicrosoft 365相談センターにライセンスプランニングのご相談をくださいね。
それではまた、次回のブログでお会いいたしましょう!
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